天才繋がりでもう一人。
現在の将棋界での天才棋士と言えば、
羽生善治氏。
将棋に興味が無い人でも
この人の名前は聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
プロの将棋の世界の7つのタイトルを
一時期、一つ残さずにひとり占めして
前人未到の7冠王の偉業を成し遂げた人です。
現代催眠の父と言われるミルトンエリクソン氏は、
クライアント自身さえも気付いていないような気持ちや
クライアントが意識して隠した気持ちさえも
話された言葉、話し方、表情、仕草、得られた断片情報等から
その全てを見通してしまったので
その鋭い視線を、誰が言ったのか
尊敬や畏怖の念をもってエリクソン睨みと言われていますが、
羽生氏も、対局者の
どんなにささやかな甘い手であろうとも
決して見逃さないような鋭い視線を
ハブ睨みと言われ恐れられています。
そして、30代の頃より大きな棋戦の終盤に
勝利を読み切った時には、
コマをまともに持てなくなる位にコマを持つ手が震えてしまうのが
40代の半ばになった今も続いているのですが、
この局面では、まだ勝負になると思っている対局相手も
その手の震えを見るともう勝てないことを自覚するそうです。
ある状況の時に限って手が震えてしまうのを
心理療法の世界では、イップスとか書痙と言いますが、
羽生氏のそれも原理は同じものと言えるのではないでしょうか。
羽生氏の場合は、大きな喜びを目の前にしたことによる興奮からくる震えで
書痙の方の場合は、恐怖や不安からの震えで
どちらも心が平常心ではなくなっていることは同じです。
書痙と言われる状態の方は、
文字を書く時や、来客に飲み物を運ぶ時など
本人が震えて欲しくないと思う状況に限って
その震えが起きてしまう事で苦しみます。
この状態から抜け出すために必要な事は、
言うまでもないことですが、
手が震えてしまう状況において、
平常心でいられるようになる事です。
羽生氏の場合は、興奮からくるもので
その興奮は喜びでもありますから
平常心を保つと言う事は、
大きな喜ぶや興奮を小さくしてしまう事ですから、
その手の反応を何としたいとは思っていないと思われるし、
今や、それは羽生氏の武器、代名詞にまでなり
人によっては勝負師らしくて
カッコイイと思う人もいる位のものとなっているので
あれなんですが、
書痙の方の手の震えは、恐れや不安からくるもので
手が震える度に大きな恐れや不安、
羞恥の気持ちを経験することになるので
それらの不快な気持ちを何とか無くしてしまいたいと思うのも
当然のことかと思われます。
しかし、無くしてしまいたいと思えば思うほど、
その気持ちの下の
怖れや不安、羞恥心を意識してしまう事になるので
逆にそれを強めたり、永遠と繰り返すことになります。
ですから、平常心を保つために必要な事を簡単に言うと
手の震えが起きて欲しくない状況において
例え手が震えたとしても良いやと開き直ることが出来、
実際に手が震えたとしても意に介さなくないほどの
気持ちを完璧に持てたら一発でその震えはなくなくなりますし、
完璧でなくともそれらの気持ちが大半を占めたら
次第にその反応がなくなっていきます。
しかしながら、これは言うは易しで
それを聞いて「あっそうかなるほど。」と納得できたとしても
実際にそのような気持ちになることは簡単ではありませんから
施療者側がそのままクライアントにそれを求めるのは、
あまりにも過酷すぎます。
考え方は間違っていないとしても
ハードルが高すぎる場合には、改善どころか状態を余計に酷くしてしまう
可能性だってあります。
催眠暗示のみでアプローチをするとすれば
その状況で平常心を保てるように暗示をしたり、イメージングをしたり、
過去の平常心を保っていた気持ちの在りようや、
身体の感覚を呼び戻していくようなやり方も考えられますが、
心理的なアプローチをプラスして行った方が
より効果を期待出来るように思います。
そこで、心理療法的なアプローチとして
手の震えに対して直接的にアプローチをするのではなく
クライアントにとってもっとハードルが低く負担の少ないと
感じられる所を取り組むことになります。
催眠は、心理療法的なアプローチがある程度成功してからの方が
より効果が期待出来るように思います。
催眠療法&心理療法 神戸ストレスカウンセリング・ルーム花時計