初回の催眠誘導時に、
施療に役立てることの出来る
催眠レベルまで被験者が到達したことを
確認できたら、
その日の催眠誘導を終えても良いのですが、
出来れば、誘導の最後に次の誘導のための
何らかのアプローチをして
その日の催眠誘導を終えたいものです。
例えば、
「あなたは、催眠から戻った後も
今の身体の素晴らしい感覚、
今の素晴らしい気分を
よく覚えておくことが出来ます。」
と言うような暗示をしておくことで、
次の催眠誘導がよりスムーズになります。
あるいは、
「あなたは、催眠から覚めた後も
あなたの無意識は活動し続けます。
そして、
あなたが、より穏やかな気分で過ごすために、
あなたが、より生き生きとした気分で過ごすために
役立つこと、大切なことを発見し、
次回の催眠体験の時に、
あなたに教えてくれます。」
のように、
間接的、包括的にアプローチをすることで、
被験者の問題解決や改善のための
地ならし的効果を狙えます。
これらのアプローチは、
被験者の無意識からのNOが出る危険性は
とても低くなるので、被験者の無意識に
受け入れてもらいやすいのが利点です。
また、別のアプローチとして、
被験者の無意識にNOを出してもらうために
あえて直接的なアプローチを行うことも有効です。
例えば、
「あなたは人前でリラックスして話すことが出来ます。」
のように直接的な言葉の暗示や
イメージでのアプローチをした場合には、
その直後は、なんかやれそうな気分に
なれたりするのですが、
被験者には、そうなるための準備が
まだ整っていないので
これらのアプローチが成就することは稀です。
多くの場合は、被験者に起きる良い変化は
次の面接日までには元に戻ります。
催眠暗示はメッキのようなものと考えて、
何度も塗り重ねることで本物になるとし、
繰り返し施療を受けることを
推奨するところもあります。
そして、同じ種の暗示やイメージを
幾度となく繰り返すことで効果が得られることも
有るには有るのですが、
繰り返せば、その岩戸が開くという確信がないまま
ノックし続ける強さが私にはありませんし、
被験者をギャンブルのようなアプローチに
参加してもらう責任を負う強さも
私にはないんですよね。
話を元に戻すと、
直接的なアプローチをするのは、
被験者にあえて挫折、失敗を経験してもらうことで
被験者を問題の状態に留めている要因を
施療者が知ることが出来ますし、
それ以上に重要なのことは、
被験者自身で感じ知ってもらうことを
狙って行います。