
恐怖(怖れ)とは、
対象が具体的な時に起きる感情で
不安とは、
対象が恐怖よりも漠然としている時に起きる感情とします。
強い地震が起きた時には、平気でいられない。(怖れ。)
強い地震が起きたらどうしよう。(不安。)
と言ったように、
対象が自分の眼の前、現実に起きた時に感じるのが怖れで、
まだ対象が起きていない時に感じるのが不安とします。
別の言い方をすれば、
怖れは、具体的なものが起きたことへの心の反応であって、
不安は、自分の想像に対しての心の反応です。
ですから、
想像は、自由に出来ますから、
不安は、時や場所とは関係なく、どんな状況でも
その反応は起きても不思議ではありません。
私達の全ての感情は、大切な心の反応なのですが、
怖れや不安は、気持ちの良い感情ではないので
過ぎるとちょっと困ったことになります。
悪戯に不安を感じ続けることを止めるための
基本的な方法としては、
1、不安の気持ちと向き合う。
不安になった時に、自然と他のことに気持ちが向くようなら
それはそれで良いのかもしれませんが、
力づくに気持ちを他のことに向けているようなら
また再び同じことが繰り返されてしまいます。
繰り返される度に、
だんだんとその反応が小さくなっていく場合は良しとしても
繰り返しても全く小さくなることがなかったり、
逆にだんだんと大きくなっていくような場合には、
その不安の元、想像(予想)としっかりと向き合うことが求められます。
これはただ不安がると言うのではなく、
不安の元となる自分の想像としっかりと向き合うことで
対処すると言うことです。
不安の感情は、不快ですが大切な感情です。
その役割は、それが起きた時への備えが脆弱だと感じていることを
教えてくれている反応なのですから、
脆弱だと感じていることを特定して、
それに対する備えを強化することが本筋で、
備えが整うに連れて不安が小さくなります。
不安をどれだけ強く感じても、備えが整う訳が無く
不安は消えることはありません。
また、それが事に前もって身構えることで
ショックを小さくしようとする意図があるとしても
まだそれは起きていないのですから、
不安を感じることに注いでいるエネルギーの何割かを
備えを整え強化するために回した方が
より不安を小さくするためには効果的なのは言うまでも有りません。
2、望みではなく自分が出来ることを
地震が起きないことをいくら望んでも
私達には、どうにもすることが出来ません。
他人から批判されたくないと望んでも
私達には、それを完全にコントロールすることが出来ません。
飛行機が落ちないで欲しいといくら望んでも
乗った飛行機が飛んでしまえば
私達が出来るものは何もありません。
自分が望んでいることと自分が出来ることを区別して
自分が出来ることを行うのです。
現実的な備えがしっかり整えば整うほど
その不安を維持することが難しくなります。
3、自分の気持ちを疑う。
不安が強かったり持続する時には、
不安に関係する気持ちが、まるで今起きているかのように、
また、真実であるかのように受け止めてしまっていたりします。
それに気持ちを向けて疑います。
例えば、「今日、明日にも地震が起きる。」を疑うと、
「その気持ちが正しいという根拠は?」(あげれるはずがありません。)
「その気持ちが真実でないとしたら?」(あげれるはずです。)
「だすると、もっと現実的な考えは?」
と言ったように、
より現実的な考えを確認し、
その考えと気持ちが一体化するように援助して、
今日、明日から、うんと遠くへと追いやります。
自分の予想を的中させるためであるとか、
予知能力があると信じていたいのであるなら、
今日明日に地震が起きると毎日毎日言い続けるのは有効手段ですが、
(いつかは的中するはずですから。)
不安を軽減したり解消するためには全く役には立ちません。
いっそのこと、本気で予想し、本気で不安がり
予想が外れると一日毎に1万円を寄付したり、
慈善活動を一日行うのであるなら、
やがては、その不安の馬鹿らしさに気が付くかもしれませんし、
寄付することで不安が喜びへと変わるかもしれません。
3、その本質を扱う
エレベーターが怖い。歩道橋が渡れない。電車に乗れない。
といったようなものについては、
これまでのような形で取り組むことも出来るには出来ますが、
本人が目の前にしているものではなく、
それらは象徴的なものと考えて、
その本質を捉えて取り組むことも時には必要です。
つまり、閉塞感等に深くかかわる本人の記憶を探り、
その記憶を扱います。
ある方は、子供の頃に聞いた母の言葉
「人に笑われるよ。」に強く影響を受けていたことが
問題の根本原因でした。
そして、
細かい所まで徹底的に取り組み不安を完全に無くしてしまうのも
良いのかもしれませんが、
不安を圧倒されない程度まで小さくすることが出来たら、
後は、不確定なことをやんわりと受け入れることを勧めます。
私達は何処まで行っても
完全に全てをコントロール出来ることはなく、
不確定なものはどうしても存在します。
最後は、それを受け入れるしかありません。
深呼吸をしたり、楽しめるような他のことに気持ちを向けたり、
上手く行っていることについて想像したり、
飛行機が飛び立ったら寝てしまったり、
そして、
無理なく不安から離れることが出来、
その時見る夢が悪夢でなければ上手くいっている証なのです。
催眠療法&心理療法 神戸ストレスカウンセリング・ルーム花時計