2004年のケニアの男性が
10年もの間、お風呂どころか水浴びすらせず、
その悪臭に耐えかねた村人たちが、
その男性を強制的に拉致をして
4人がかりで垢を落とすのに4時間かかったそうです。
(男性の健康状態は、いたって健康。)
個人差はあるかと思いますが、
人間と言うのは強いもので、
10年間、お風呂に入らなくても
重大な結果を招くとは限らないことを
男性は身をもって証明したようです。
病原菌から自分の身を守るために
26年間も自室に閉じこもった女性と、
この男性とが出会い、
膝を突き合わせて語り合ったとしたら
どのような展開が待っているのだろうか。。。
そして、面白いのが
村人が耐え切れず、垢落としの強制執行となった
男性の悪臭も、自分自身は
さほど気にならなかったようですから、
人間というのは良くも出来てもいます。
これは、男性が常に共にある悪臭に
鼻が慣れたという理由だけでは、
村人達も同じように悪臭に慣れるはずなので
理由付けとしては不十分です。
人間の身体は、常に刺激を受けているので
自分自身が与える刺激に対しては、
弱く感じるようになっているようなので、
村人は悪臭に耐え切れなくなり、
男性は自ら放つ悪臭に適応した訳です。
人間の持つ能力には、それとは逆に
実際に存在しない臭いを
自分が作り出してしまうこともあります。
自分の口臭や体臭が非常に強いものだと思い込み、
「他人に嫌われる。」「他人に迷惑をかけているのでは。」
と不安や恐怖を感じてしまうことがあります。
これは、自己臭症などと呼ばれる神経症の症状で、
対人恐怖症の一種です。
仲間の輪に上手く入ることが出来ない。
他人と仲良くなれない。
他人から話しかけてもらえない。
と感じて、
その原因を
「自分は嫌な臭いがするからだ。」
と思い込んでしまっている状態です。
実際には、そこに無い臭いなのですから、
周りの人はもちろん本人にも臭いを感じませんが、
他人が鼻に手を当てた。咳をした。
怪訝な表情を見せた等、
近くの人の仕草に敏感に反応して、
自分の臭いが、他人にそれをさせたと結論づけます。
つまり、このような心の動きの根本的な原因は、
自分が嫌な体臭を発していると
思い込んでいることではなく、
自分は、他人に受け入れてもらえない人間だ。
自分は、他人に嫌われる人間だ。
のような思い込みです。
自分の存在を否定している思い込みと
向き合うことは非常に怖く耐えがたいので、
その原因を、体臭にスライドさせて
幾分か辛さを軽減する無意識の防衛機能が
働いている状態です。
人によっては、自分だけが感じる臭いを、
自分の脳が創り出して、その本人は
本当に臭いを感じていることがあります。
そのような能力が私達の脳が有していることは、
催眠現象で感覚をコントロールして、
臭いを作り出したり、臭いを変えたり、
臭いを消したり出来ることで確認できますし、
もっと身近なことで言うと、
梅干しやレモンをかじるイメージをすると
口の中が実際にすっぱくなるのと同じ能力です。
人間が持つそれらの能力を
本人が無意識に作動させて
そこにないはずの自分だけが感じる臭いを
作り出してしまっているのです。
どちらにしても、
他人から「全然、臭いなんかしていないよ。」
と、言ってもらっても、
「私、今臭いしていない?」
と、他人に聞いて確かめたとしても
元々の原因が体臭の有る無しではないので、
一時、安心できるだけになります。
この問題を解消するには、元々の原因となっている
私は人から受け入れてもらえないというような
何かの思い込みを変える必要があります。
ただ、元々、本当の原因と向き合うことを避けるために
問題を体臭にスライドさせている状態なのですから
施療でも本当の原因と向き合うことを
避けようとする人も少なくありません。
しかしながら、本当の原因を解決しなければ、
自己臭の問題も解決することはありません。
なので、施療に取り組む場合には、
自己臭に対する理解を持ってもらえることが
第一歩の目標となります。