先日、ある文庫本を読んだ。
読んだ本というのは、ホイチョイ・プロダクションズの「電通マン36人に教わった36通りの「鬼」の気くばり」。
ホイチョイプロダクションズと聞いて、「あ~~」と思い出される方は、「ビックコミックスピリッツ」の愛読者だろうか?
ビックコミックスピリッツに掲載されている「気まぐれコンセプト」は、広告代理店を舞台のマンガで、実は私もよく読んでいた。
そのようなマンガの題材をつくっているからこそ、このような本が出来上がったのだろう、ということはわかる。
何より、タイトルにつけられている「鬼」という言葉は、電通の「鬼十則」(pdfファイル)からきたのだろう。
本の内容そのものは、「鬼の気くばり」というほどでもなく、ビジネスマナーとして当たり前のようなところが多い内容だったのだが(「それは、違う!」と思われる気くばりもあったが)、その中で一つ印象に残ったコトがある。
それは「雨の中、傘もささずずぶ濡れになって、ビールケースの上で選挙演説ができるのが、自民党」という内容だった。
ホイチョイ・プロダクションズの分析によると、自民党の選挙戦というのは「情に訴える型」だそうだ。
確かに「どぶ板選挙」という言葉がある通り、政策を街頭演説で訴えるというよりも、握手をし「選挙戦、頑張っております」と選挙カーで連呼、時には演説会の最後に「勝たせてください」の土下座だ。
先回の選挙でも、私の選挙区の自民党候補は「アベノミクスで、経済発展」とは言ってはいても、その「アベノミクスの内容」に触れるような演説は一切なく、そのあとは紋切り型の「選挙戦、頑張っております。応援お願いします」という、まさに「情に訴える型」だった。
今回の選挙から投票年齢が18歳からになる。
「情に訴える型」選挙というのは、投票年齢が高ければそれなりに効果があると思う。
なぜなら、「情に訴える」ためには、訴える相手が様々な経験をし「人の情」がわかっている必要があるからだ。
ところが18歳という年齢では、それは難しい。
まして今時の18歳は、SNSなどを日常的に使いこなし、マスメディアの情報を半分くらい信用をしていない。
一方選挙に立候補する側は、このようなSNSに疎い。
疎いだけではなく、選挙活動としてインターネットの使用は制限をされているはずだ。
選挙の投票年齢が下がる、ということは選挙戦そのものも変わる必要がある、ということになるはずだ。
何より「情に訴える型」の選挙戦が通用する相手と、通用しない相手が求めている政策の違いを、政治家自身が理解する必要がある。
投票する人すべてが、共感できる政策を作ることはできない。
「なんでもできます、やります」選挙公約が通じなくなったのも、今回の選挙だと思う。