世界各地で「選挙」が、行われている。
イギリスでは、EUから脱退するのか?残るのか?という国民投票。
日本でも、参議院選挙の告示が明日に迫っている。
そして、昨年から長い予備選を繰り広げ、やっと候補者2名が決まったのが米国の大統領選だ。
以前から言われているのでご存じの方も多いと思うのだが、米国の大統領選で使われる「資金」の多くが「寄付」によって集められている。
小口の個人もあれば、有名ミュージシャンや映画俳優などが数千万という額の場合もある。
もちろん、企業からの寄付も候補者にとっては大切な「活動資金」だ。
これまで一般的に、民主党への寄付が目立ったのは有名ミュージシャンやハリウッドセレブだった。
それに対して、共和党は大企業や富裕層への優遇政策を打ち出すことが多いこともあり、優遇政策で恩恵を受けやすい企業や富裕層が「寄付」をする傾向が強いと言われていた。
わかりやすく言うなら「リベラルな民主党VS保守的な共和党」という、政党色に準じた人や企業からの「寄付」が集まりやすい、ということだ。
このコト自体、おそらく世界各国どこでも同じような傾向があると思う。
自分たちにとって有利な政策を打ち出す政党を応援したくなるのは、万国共通だと思う。
しかしトランプ氏が共和党の候補となってから、共和党への寄付を取りやめる企業が出てきているようだ。
中日新聞:アップル、共和党大会に協力せず 機器提供見送り「反トランプ」
最初、appleが共和党に対して協力的である、ということに驚いたのだが、記事をよく読むと共和党だけではなく民主党大会でも機器提供をしているので、「公平」な協力ということだろう。
記事を読んで気になったのは、米国を代表とする企業の一部が「反トランプ」を掲げ始めたことだ。
これまで数々の暴言を吐き続け、むしろ米国のブルーカラー(に近い)中間層から圧倒的支持を受け、大統領候補にまで上り詰めたトランプ氏だが、それらの発言が災いして大口の寄付が逃げ始めている、ということらしい。
「反トランプ」の動きが企業に広がってきている最大の理由は「企業イメージを悪くさせない」ためだろう。
「企業イメージ」によって、生活者がその企業の商品やサービスを購入する・しないを単純に判断するわけではない。しかし、「選ぶ」という場面においては「クリーンなイメージ、社会から信頼されているイメージ」のある企業を選びたい!と、生活者が感じることはある。それは「社会からの信頼」の証拠だからだ。
言い換えれば、それらの企業イメージは企業にとっての「無形の資産」と言ってよいだろう。
この「無形の資産」というのは、一瞬で無くなるコトはあっても、簡単に創られるモノではない。
だからこそ、米国の企業の中で「暴言を繰り返すトランプ氏から離れる」という動きが出ているのだ。
いくら自分たちにとって優遇策を打ち出す政党であっても、トランプ氏に寄付をする=トランプ氏のような乱暴な企業というイメージを生活者に植えつけさせないようにするためだ。
上述した通り、日本ではあからさまな「政党支持」を打ち出す企業は無い。
その意味で「政治による企業イメージ」を左右されることはないが、「企業イメージ=無形の資産」という視点を持たないと、三菱自動車のようなことになってしまう。