日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

#検索の落とし穴?

2017-11-29 20:24:51 | マーケティング

Huffpostに面白い記事があった。
Huffpost:2017年に一番人気だったのは、こんなファッションでした

「ファッションは、時代を映す鏡」と言われている。
もちろん、ファッションだけではなく音楽や文学、映画などもその時々を映す鏡となる。
それは「経済」という視点ではわからない、生活者の気分などが反映されることが多いからだ。
そのため、マーケティング担当者は、経済の動きだけではなく、ファッションや音楽、映画などにも興味・関心を持つことが大切だと、言われている。
特にファッションは、女性の生活志向を現していると、見られることが多い。
そのように考えると、Huffpostの記事はとても興味深い内容だといえる。

とはいえ、毎月発行されるファッション誌などをチェックし、その傾向を探るというのは、時間も労力もお金もかかる。そこで最近よく使われるのが、TwitterなどのSNSで使われる#(ハッシュタグ)を使った検索「#検索」だ。
ファッション誌とは違い、TwitterなどのSNSの情報発信者は、ご存じの通りごく普通の生活者だ。
ファッション誌に登場する、セレブでもなければ読者モデルでもない。
その意味で、TwitterなどのSNSの#(ハッシュタグ)を使った検索は、現実的な市場調査を可能としていると、言えるだろう。
実際、若い女性を対象としたサービスや物販のビジネスプランを提供する企業の中には、「#検索」で市場調査の一部を行っているところもある、という話を聞いたことがある。

確かに「#検索」をすれば、これまでの市場調査のような時間とお金と労力は、随分減らせる。
PC(場合によってはスマホ)を活用すれば、わずかな時間で相当量のデータが作れるはずだ。
しかし、「#検索」で作ったデータは、本当の生活者の姿を現しているのか?という、疑問もある。

例えば、インスタグラム。
今年の流行語大賞の候補にも挙がっている、「インスタ映え」を意識した投稿と、見てもらいたいがために数多く「#〇〇」というキーワードなどは、本当の生活者の姿と言って良いのだろうか?と、思うことがある。
それだけではなく、インスタグラムそのものの利用者が比較的若い層である、という点だ。
「比較的若い層」と言えば、市場調査の対象となる層が合致すれば問題なさそうに見えるが、SNSというある種の綴じられた世界での表現である、と考える必要があるように感じている。
言い換えれば、「SNSという世界での演技・演出をしている」という可能性だ。

何故そのようなことを感じたのか?というと、紹介した記事の「日本で一番人気だった#」が、ベレー帽だったからだ。
確かに、休日の繁華街でベレー帽を被った若い女性を見かけたような気はするが、それと同じかそれ以上にベレー帽を被っていない若い女性を見ていたからだ。
一つの傾向値として見ることはできても、SNSで話題になった=現実ではない、という意識を持つ必要があるのではないだろうか?