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女性マーケターから見た日々の出来事

ジェンダーギャップが後退する理由は、もっと複雑だと思う

2019-12-17 18:38:18 | 徒然

新聞各社のWEBサイトに取り上げられている「ジェンダーギャップ、後退」の記事。
huffpost:男女平等はまた後退、ジェンダーギャップ指数2019で日本は過去最低を更新し、121位、G7最低

huffpostの記事に限らず、最低を更新した理由として挙げられているのが「女性政治家の少なさ」だ。
本当に「女性政治家の少なさ」が、日本のジェンダーギャップを後退させているのだろうか?

最近大手企業で、女性の役員人事が話題になるようになってきた。
その役員に抜擢された女性たちの経歴を見て、気づくのは「いわゆる社内からの登用」というよりも、外資などで活躍された実績を買われて抜擢されている、という場合が多いように感じるのだ。

女性社員の場合、男性社員と同期入社であったとしても、「キャリアパス」というものが明確にある企業は、ほとんどないのでは?と、思っている。
いわゆる「出世コース」そのものが、男性であれば用意されていても女性には無いような気がしている。
と言っても、私も会社員を辞めてから随分時間が経ってしまっているので、今の事情はもっと変わっていると信じたいのだが、実際役員の抜擢された女性の経歴を見ると「やはり、この位の経歴が無いと無理なのだ・・・」と、女性側からすれば諦めさせ易く、男性側からは「これだけの経歴があるのだから、当然かもしれない」という、説得材料を持っている女性が抜擢されているような気がしてならないのだ。

長い間企業に女性がとどまること自体、企業側にとってメリットはない、といまだに思い込んでいるような気がしてならないのだ。
その一例となるのが「セクシャルハラスメント」や「マタニティーハラスメント」と、呼ばれるものだろう。
このような「ハラスメント」の問題は、加害者側の意識の低さだろう。
それだけではなく、「結婚=永久就職」と言われていたように、結婚はカタチを変えた就職という高度成長期の女性の生き方のモデルが、今だに根強く残っており、それが崩れ始めているにもかかわらず、意識がそのままになっている、という点もあるのでは?と、考えている。
だからこそ「育児のワンオペ」ということが問題となり、最近では「介護のワンオペ」ということまで、言われるようになってきているのでは?

そのような期間を海外の企業で過ごし、順調にキャリアを積んだ女性を役員として招き入れて「女性役員の数が増えている」と、言ってしまってよいのだろうか?

「給与面」においても、「働く女性の多くがパートなどの非正規社員であるため、男女の給与差が出ても仕方ない。フルタイムで働く女性の多くは、男性に比べ若い為、給与面でも低いのは当然」という指摘も、どこかズレているような気がするのだ。
最近では、男性の非正規社員も増え、年収そのものが下がり続けているので、このような指摘そのものが意味をなさなくなってきているはずだ。
それでも、給与面などで差があるのは、やはり同じ年齢で比較した時、女性の方が給与面でも抑えられている、と考えるのが自然だろう。

「結婚=永久就職」という考えの女性はいるし、それを望む男性もいるだろう。
ただ、社会がそのような形態を維持できなくなってきている今、ジェンダーギャップの問題は「女性役員の人数」とか「女性政治家(や女性閣僚)の数」ではなく、もっと根深く意識の変革が必要な問題だと、考える必要があるのではないだろうか?