先日、FM番組を聞いていたら興味深い話があった。
それは「日本のゲーム業界は、世界市場で負けている」という、内容の話だった。
私自身はテレビゲームをはじめ、ネットでのゲームもしたことがないので、世間ではやっているゲームというものを知らない。
「コロナ禍」の中で、様々な人たちが参加した「あつまれどうぶつの森」は、タイトルとしては知ってはいるのだが、ゲームの内容そのものに関しては全く知らない。
それほどゲームそのものを知らないのだが、FM番組での話は「ゲーム」そのものの話ではなく、海外でのゲーム市場と日本のゲーム市場とでは、「マネタイズ=事業の収益化」の考え方が違うという話だった。
それを象徴するのが、マイクロソフトが米国のゲーム会社・アクティビジョンブリザード社を8兆円という額で、買収をしたという点だという。
東洋経済:マイクロソフト、ゲーム買収に8兆円もかけた真意
マイクロソフトがゲーム会社を8兆円ともいわれる高額な金額で買収をした、ということ自体「何故、マイクロソフトがゲーム会社を買収?」という疑問を持たれると思うのだが、「メタバースを見込んでの買収」ということらしい。
そもそもメタバースといわれて「???」という方のほうが、まだ多いのでは?
「メタバース=コンピューターやネットワーク上にある3次元の仮想空間やそれらを提供するサービス」ということのようだが、まだまだ日本では「メタバース」そのものの事業を始めている企業があまりないということ。
何より「仮想空間」といえば、10年余り前に電通が仕掛けた「セカンドライフ」が失敗に終わっていることなどから、日本ではこのような「仮想空間」そのものに対しての興味が、低いのかもしれない。
考え方を変えてみれば、ゲームの世界はまさに「仮想空間」の世界かもしれない。
RPGと呼ばれるゲームは、ゲームをする人自身が当事者となりゲームの世界で様々なことを体験するというゲームだからだ。
そしてRPGだけではなく、コンピューターゲームなどで世界をリードしてきたはずの日本が、徐々に世界市場で優位ではなくなりつつある、という。
その要因の一つが、上述した「マネタイズ」という点だ。
今やゲームの世界でも、「サブスクリプション」が主流になり始めているという。
音楽の配信サービスとして馴染みのある「サブスクリプション」だが、定額の料金を支払うことで「使い放題」になる、というサービスだ。
ところが日本では、いわゆる「課金」というシステムが、まだ主流であるという。
ゲームを楽しむために、「様々なアイティムを購入する=課金する」という、「事業の収益の上げ方」では単体のゲームでしか楽しむことができない。
それに対して「サブスクリプション」であれば、様々なゲームを楽しむことができる。
それが「e-スポーツ」などにも関連してくるのでは?と、想像している。
確かに、日本の代表的ゲーム企業といえば「任天堂」ということになると思う。
ゲーム機の発売とは別に、そのゲーム機に合わせたソフトを販売することで、収益を上げているということになる。
それが「任天堂」のゲーム機で、任天堂のゲームが「サブスクリプション」で楽しめるとなると、ゲームソフトを買うのではなくオンラインでつながることで、同じゲームを楽しむ見知らぬ人とつながり、一緒にゲームを楽しむということができるようになる。
マイクロソフトのような企業にとって、ユーザーがどのようなゲームを使い、どのような人と繋がっているのか?ということがわかれば、単なるメタバースの社会に向けた買収というだけではなく、ユーザーの様々な趣味的志向などもつかめる一助になるだろう。
日本のビジネス社会では、テレビゲームやネットゲームというと、どこか「遊び」という範疇でしか見ていないところがあると思う。
しかしマイクロソフトが、米国最大のゲーム会社を8兆円という例のない高額な額で買収したのはなぜなのか?ということを、考えていくと「遊びの中にある仮想空間」から得られる情報の多さに、気づくのではないだろうか?