しばらく前、拙ブログで「ソーシャル・ジャスティス」というテーマのエントリをさせていただいた。
そして今日、Huffpostを読んでいたら「ブランド・アクティビズム」が、取り上げられていた。
Huffpost: ”戦わない”ブランドは選ばれなくなる。「ブランド・アクティビズム」がビジネスの新しい潮流となる日
あまりにもカタカナ表現の言葉は、メディアで注目されやすく、言葉の本質ではなくその言葉のカッコよさのような部分だけで、使われる傾向があるのが日本のビジネスシーンだと思う。
そのため、流行する前にその言葉の本質をキチンと理解しておく、必要があるのでは?と、感じている。
Huffpostの記事を読んでいただくとわかるのだが、「ブランド・アクティビズム」とは、社会にある様々な問題に対して声を上げる企業、という意味を含んでいる。
記事で取り上げられている「ナイキ社」の広告は、人種差別に対する抗議を行った選手の顔を起用する事で、「ナイキは人種差別に反対をしている」ということを、訴えている。
記事には取り上げられていはいないが、アメリカのアウトドアブランドとして人気の「パタゴニア」等も、このような「社会的問題」に対して、敏感な企業の一つだと言えるだろう。
「ナイキ」や「パタゴニア」等がこのような広告や企業活動に熱心なのは、企業文化と大きく関わっているからだ。
スポーツメーカー・ナイキは、30年以上前からスポーツ選手に対して奨学金を支給する等の援助をしている。
援助をしているだけではなく、援助をする選手に対して高い社会的倫理を求めている。
スポーツ選手として、優秀であるというだけではなく、その人間性においても秀でたものを持っていなくてはならない、ということなのだ。
当然支給する企業側が高い社会倫理性を求めるのだから、企業側はもっと高い理想の社会倫理を持つ必要がある。
そのような関係があるからこそ、今回のようなブランド広告を打つことができたし、生活者側にも訴える事ができる広告になったのだ。
拙ブログに来てくださる方なら、何となくこの「ナイキ」の広告が示しているもう一つの目的ということが分かるのではないだろうか?
それが、以前エントリをした「シャーシャル・ジャスティス」という、企業活動へと繋がっていく、ということでもあるのだ。
「ソーシャル=社会」+「ジャスティス=正義」=「社会正義」ということになるのだが、この場合の「正義」というのは裁判等での「正義」という意味ではない。
社会における「不公平性」や「問題」等を、指している。
例えば「人権」と言っても、その幅は広い。
例えば「ジェンダー」、「人種差別」時には「ジェノサイド」といわれる、国家による虐待や迫害等も含まれている。
そしてこれらの問題は、日本企業にとって「触れてはいけない」領域でもあった。
それが露呈したのが、昨年だっただろうか?「ユニクロ」や「無印良品」等に対して行われた、「新疆ウイグル自治区産の綿製品」に対する質問状に対する応対だった。
既に、日本の企業が数多く進出しているコトを考えると、このような問題は避けて通れなくなっていて、問題に言及しなくても何等かの方法で、企業としての考えを発信していく必要がある、ということなのだ。
それが、企業にとっての新しい「ブランド価値」を高めることになるだけではなく、「企業における社会正義」についての考えを伝える方法でもあるのだ。