日々是マーケティング

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フジテレビ問題。広告主側の考えは?

2025-02-03 20:55:14 | CMウォッチ

フジテレビの「女子アナに対する性的接待強要(「上納」という言葉を使いたくないので、このような表現をしていることをご理解いただきたい)」という問題。
先日の完全オープン、時間無制限記者会見を行っても、収束する気配は全くない。
理由の一つは、フジ・メディア・ホールディングスの代表である、日枝久氏がこの問題が発覚してから全く表舞台に出てこないからだ。
一部メディアは、日枝氏に突撃取材を試みたようだが、相手も手慣れたもの。
上手にかわしたようだ。

今回の件は、フジテレビだけの問題なのか?ということも、言われるようになり、他局でも戦々恐々とし始めている、という話もチラホラ出て着そうな感じすら受ける。
なぜ、業界全体がこのような事になってしまったのか?ということは、徐々に判明してくるとは思うのだが、何となく根底にあるのは、戦後の日本社会全体が持ち続けてきた「性的思考」と「自己権力と同時に支配欲を満たす」という満足さがあったのでは?という気がしている。

とはいえ、テレビCMを提供していた「広告主」は、今どのように考えているのか?という視点でも考えてみる必要があると思う。
朝日新聞:フジCM「広告主まだ戻れない」 元エステ―宣伝部長に聞く再開条件 

「エステー」と言えば、「消臭力」や「ムシューダ」といった、一般家庭向けの日用品を製造販売している。
エステーHP:空気をかえよう 

当然、直接的な顧客はドラッグストアーということになるが、それらの商品を購入し使っているのは生活者であり、多くの場合女性がそれらの商品の購入決定権を持っている、と言っても過言ではないだろう。
その為、同様の商品を製造・販売している企業は、女性の反応に対して敏感だ。
ハッキリ言うなら「女性から嫌われたら、商品が売れなくなる」だけではなく、「企業存続」に関わる問題という感覚を持っているはずだ。

とはいえ、今回のフジテレビの問題で世間から批判を受ける様になった「静止画・制限付き記者会見」前までは、他社の動向を見ていた、という状況だったようだ。
それが一気にテレビCMを引き上げるきっかけとなったのは、インタビュー記事中にもある様に、フジテレビで冠番組を持っている企業や大口の有名企業である「花王・トヨタ自動車・キッコーマン」といった企業が次々と、CM取りやめを発表したからだろう。
これらの企業が、フジテレビのテレビCM取りやめを発表したことで、スポット的にCMを出している企業も取りやめする流れができた、ということは間違いなはずだ。

もう一つで、以前拙ブログでも指摘しているのだが、テレビ局というメディア媒体が、企業にとって魅力的ではなくなりつつあるのでは?という気がしている。
確かにエステーのような日用品を製造・販売している企業にとって、テレビCMそのものは宣伝効果という点でも、大きな影響を与えているだろう。
しかし、自動車や大手飲料水メーカーのような企業にとって「テレビCM制作費+CM放送の時間枠(あるいは放送回数)」を毎月膨大な費用を投資する魅力が減ってきているのでは?という気がしている。
それよりもYoutubeやInstagram、TikTokといったネット媒体を活用した方が、求める購入者に直接的にアピールできるのでは?と、考える様になった気がするのだ。
それが顕著に表れているのが、Youtubeにおける広告だ。

おそらく、フジテレビに企業広告が戻ってくる為には、相当の時間がかかるだろう。
少なくとも、今年の株主総会が終わり「新生フジテレビ」を生活者が実感できるまでは、難しいのではないだろうか?