日々是マーケティング

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長尺企業CMは、動画サイト向き

2025-02-14 15:10:04 | CMウォッチ

Youtubeを見ていたら、あるCMに目が留まった。
明治:コーポレートCMカカオ「人、社会、地球の健康」篇 90秒 

このCMを見たのが、バレンタインデー直前だったこともあり、明治の主力商品の一つであるチョコレートをキーワードにした企業CMなのだな、とすぐにわかったのだが、CMの内容が「今のカカオ事情」ということを踏まえた内容で、明治という企業が「チョコレート」という商品についての考えを丁寧に表現している様に感じた。

明治は、毎年のようにバレンタインデーが近づくと、このような「チョコレート」をキーワードとした、企業CMを制作してきたように思う。
カカオの産地に行き、カカオの収穫する風景などフェアトレードチョコレートとは違う、企業だからこそできるカカオの生産地への思いや考えを、表すような企業CMだ。

ただ今回は、今カカオの産地で問題となっているカカオ栽培をやめる農家が急速に増え続けている為、カカオ豆の高騰が続いていることを踏まえた内容になっている。
ご存じの方もいらっしゃると思うのだが、現在のような状況ではカカオ豆はもちろん、コーヒー豆なども生産者の減少が危ぶまれている、と言われている。
生産者の減少の理由は、カカオ豆やコーヒー豆の取引価格の変動が大きすぎ、安定的な収入に結び付いていない、と言われている。
確かに、カカオ豆やコーヒー豆の産地の多くは、まだまだ貧困国と呼ばれる国々が多い。
もう一つ価格が安定しない理由の一つが、地球温暖化による天候不順ということも言われている。
そのような経済環境の中で、安定的な収入を得る、ということ自体難しいのでは?と、想像することはできる。
経済の安定を求めれば、価格変動が激しいカカオ豆やコーヒー豆の生産よりも、もっと安定した生産性と収入が得られる農作物へと変えていってしまうのは、ある意味仕方ないのかもしれない。

とはいえ、消費者側からすれば嗜好品的要素が高いとはいえ、カカオ豆からとれるチョコレートやコーヒー豆を丁寧に焙煎し、自分好みに引いたコーヒーを頂く一服は、何物にも代えがたい、と感じている方も少なくないはずだ。
だからこそ、今回明治は企業CMのテーマとして「人、社会、地球環境の健康」としたのだろう。

当然のことながら、このようなテーマの企業CMとなれば、それなりの長尺となってしまう。
通常テレビCMが15秒~30秒なので、この短い時間に盛り込むコトができないと、判断し、動画サイトでの公開にしたのでは?と感じたのだ。
テレビでも流しているのでは?と、想像しているが、昨今の「タイパ」指向の生活者に、例え30秒のCMであってもチャンネルを変えられてしまう可能性もある。
であれば、視聴者がスキップして見飛ばすにしても、その判断は視聴者側にあり、投稿された動画にも影響は少ないだろう。
むしろ長尺のメリットを考え、視覚的にも凝ったストーリー性のあるCMが、つくりやすいかもしれない。
そう考えると、長尺でしっかりつくり込まれた企業CMは、動画サイト向けのような気がする。