日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

ホテルのレストランに何を期待しているのだろう

2013-10-30 18:23:24 | アラカルト

先週末に発覚した「阪急阪神ホテルズ」内のレストランでのメニューとは異なる食材を使っていた、と言う事件。
全国各地のホテルに拡がりつつある。
中には、牛肉に牛脂を入れたステーキ肉の食事代が、3,000円を超す値段だったのには驚いた。
「牛脂を入れたステーキ肉」と言うと、私などが思い浮かぶのがスーパーなどで売られている「成形肉」と呼ばれるもので、とても3,000円を超すような材料とは思えないからだ。
ただ、正直に「牛脂入りステーキ肉」とメニューに書いて、注文をするお客様がいただろうか?

そもそも「ホテルのレストランで食事をする」と言うのは、どんな思いで食事をしているのだろうか?
例えば、由緒あるクラシックホテルなどで食事をするのと、シティーホテル(と、今でも言うのだろうか?)での食事とでは、利用する側の気持ちも全く違うと思う。

クラシックホテルでの食事となると、それなりの格式と雰囲気を楽しみながらの食事ということになると思う。
「宿泊まではできないが、その雰囲気だけでも食事を通して楽しみたい」と言う気持ちだ。とは言いつつ、その格式の高さに圧倒され、味も判らぬまま・・・と言う経験しかないのだが。

一方、シティーホテルなどでは、敷居もグッと下がり気軽な感じになる。
当然、「高級」と言われればそれだけの「期待」があるのだが、最近では「高級ホテルのレストラン」よりも安価で美味しい食事を提供するお店が、増えている。
宿泊客や結婚式などでの食事提供が中心で、その宿泊客も夕食などに関しては、ホテル内のレストランでの食事よりも、上述した通り外での食事をされる方が増えているのでは?と、想像するのだ。
言い換えれば、「ホテルで食事をする」ということに「何か特別な理由」が、必要な時代になってきているのではないだろうか?

90年代ぐらいまでは、確かに「ホテルで食事をする」ということだけで、ある程度の満足感を生活者に与えることができた、と思う。
「ホテルのレストラン」とは、どのような意味(と言うと、大袈裟だが)をもっているのか?と言うコトを、ホテル側に考えさせるような事件という気がする。