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京都と福井では随分と距離があるように思いますが、若狭では「京は遠ても十八里」という言葉があるように、実は京都は近いという言い方をされるそうです。(1里は約3.9kmで、18里は約70km)
そのような都と深いつながりもあって、小浜は「文化財の宝庫」と呼ばれるほど寺院や仏像の多く残されている土地だといわれます。
小浜ではさほど遠くない範囲にいくつかの寺院があり、神宮寺に参拝した後に妙楽寺へ向かいました。
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妙楽寺は高野山真言宗の寺院で、719年に行基が二十四面千手観音を彫刻してこの山腹の岩窟に安置したのが開基とされます。
797年には巡錫中の空海が瑞光が山中に現るとして岩窟中の尊像を感得し、堂宇を建立して安置したと伝わります。
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此岸と彼岸の境界の橋の向こう側には1777年に再建されたとされる仁王門が見えます。
この門もシンプルな造りになっていますが、小浜の寺院の仁王門には何となく共通点がありますね。
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門の両側で阿吽の金剛力士像が睨みを効かせていますが、妙楽寺の仁王様は力強く厳しい表情をしています。
仁王像は室町後半から江戸時代の作という話もありますが、近年に修復されているようです。
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まず梵鐘を撞かせていただきました。
この梵鐘は1602年の鋳造と書かれてあり、1602年は関ヶ原の合戦の2年後で江戸幕府の始まる前年の鋳造となりますから、深い歴史を感じさせてくれる梵鐘です。
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本堂は鎌倉時代末期の1296年に建立されたと推定される建築物で、桁行5間・梁行5間と正方形に近い桧皮葺の古刹感のあるお堂でした。
この本堂は福井県最古の寺院本堂建築物といわれ重要文化財の指定を受けています。
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堂内では内陣にも後陣にも入ることが出来て、仏像を間近で拝観出来るのが嬉しい寺院です。
1296年の銘のある厨子には珍しい二十四面千手観音立像(平安期・像高176.3cm)が安置されており、この素晴らしい仏像を間近で観ることが出来るのは大変ありがたいことでした。
また、この仏像は永らく秘仏だったこともあって、黄金色が綺麗に残っています。
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ポストカード
須弥壇には厨子に安置された本尊の周囲4方を「広目・多聞・持国・増長(鎌倉期)」の四天王が守護しています。
右側には平安期の聖観音立像(像高161.5cm)が安置されており、やや手が長く腰周りの細い美しい仏像でした。
右の脇陣には弘法大師坐像が祀られ、左の脇陣には平安期の不動明王坐像。
特に不動さんは苔の花を模した岩窟の造りの中に安置されていましたので、その迫力には見惚れるばかりです。
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内陣にいた時に白人系外国人のおばさんが一人で拝観に入って来られて、その時に内陣にいたのは当方とその方の二人だけだったので英語で話しかけられたら困ったなぁと思っていると、案の定話しかけられてしまいました。
しかし、日本語の堪能な方で“裏にもうひとり千手観音がいるよ!”とこちらの方が教えてもらうこととなりました。
後陣へ回ってみるとおっしゃっていた通り、本尊の真後ろに千手観音立像(江戸期)が安置され、周囲には千手観音の眷属である二十八部衆が祀られています。
後陣の千手観音立像は、本尊が秘仏だった時代のお前立ちだったのかと思われますが、本尊の凄さには叶わぬものの魅力的な仏像であったと思います。
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地蔵堂には平安期の地蔵菩薩坐像が安置されているとのことでしたが、ガラス張りで中は暗くそのお姿を見ることは出来ませんでした。
薬師堂も同様に内部の様子は見えませんでしたが、中には薬師如来が安置されているのかと思われます。
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妙楽寺を出る時に寺院の方に“仏像を拝観するのが好きなんですが、小浜には他にどんな寺院がありますか?”と聞いてみると...
“近くの多田寺さんは仏像が多いですよ。高齢のおばあさんが一人でいますが今日は日曜なのでおられると思います。”ということで多田寺へ向かいました。
行ってみたところ残念ながら多田寺には誰もおられず、堂内へ入ることは出来ませんでしたので、外から参拝するのみで終わりました。
雰囲気のある本堂で拝観できなかったのは名残惜しかったのですが、神社・仏閣ではこういうことは多々ありますね。
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多田寺 仁王門
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多田寺 金剛力士像
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多田寺 本堂(1807年再建)