僕はびわ湖のカイツブリ

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“男のためのガーデニング”改め

湖北のアール・ブリュット展2017

2017-11-28 06:33:33 | アート・ライブ・読書
 『アール・ブリュット』は、芸術の伝統的な訓練を受けず、何事にも影響されない、作家自身の想像力の源泉から湧き上がる、真に自発的で自然発生的な芸術のことをいいます。
(湖北アール・ブリュット展推進委員会の案内文より抜粋)

「アール・ブリュット=障がい」という捉え方は正確ではないと思いますが、障がい者施設などでの造形活動から生まれてきた作品も多くあります。
アール・ブリュット作品に興味を持ちだしたのは2015年頃からで、近江八幡市にある「ボーダレス・アートミュージアムNO-MA」の企画展や長浜市街で毎年開催される「湖北のアール・ブリュット展」などに毎回足を運んでいます。
「湖北のアール・ブリュット展」は2012年が第1回開催だったということですから、アール・ブリュットが世に認知されるようになってから当方はその魅力を知ったということになりますね。



ヤンマーミュージアムに設けられた展示室は四方の壁に絵画が展示され、室内の中のスペースには造形作品という形での展示でした。
入ってすぐに目に付くのは武友義樹さんの作品で「つぼ」。

この方は細長く引き伸ばした紐状の粘土を巻き上げながら壺のように仕上げていくそうです。
最近は長い紐を振ることに夢中になっているとのことで、過去にも他の美術展で作品を展示されている作家さんです。



大きな台に数点展示されていた作品はタイトルも作者も不明ですが、まずスフインクスか狛獅子かとも思えてしまうライオン?の造形作品が目を引きます。
顔の周囲や尾のたてがみの突起の密集は、伝説の幻獣の一種に見えてしまいます。





次の塔のようににも見える細長い壺には、数多くのイソギンチャクのような突起物とフジツボのようなものが付けられています。
一部分が顔のように見えてしまう面白い作品です。



楕円形の焼き物に突起物が規則的に並び、それぞれの突起に顔のようなものが付いている作品がありました。
アールブリュット造形作品には突起物が規則的に、あるいは不規則に組み合わされている作品が多いですが、“大量の何者かが生まれ出た時の最初の姿”のようにも見えてしまいます。





「いろんな顔」は松井正美さんの作品で“顔”に見えないものもありますが、素朴なオブジェの印象があり、味わいのある作品だったと思います。



次の作品はミニマムな反復のように同じ造形が規則正しく並んでいる作品で、とても愛嬌のある作品に感じます。
同じアール・ブリュット作品とは一括りには出来ない多様な作家さんがおられますね。



『湖北のアール・ブリュット展』では会場での展示(今回はヤンマーミュージアム)の他にも『まちなかArtBrut』と題して長浜市街地のオ-プンスペースなどを利用しての展示が行われました。
北国街道を歩いて行くといくつかのアール・ブリュット作品との出会いがあります。





長浜市では毎年「湖北のアール・ブリュット展」や「番外展」が開催され、近江八幡市にはボーダレス・アートミュージアムNO-MAで「ボーダレス・アートの企画展」が年に数回行われています。
また、滋賀県立近代美術館は2020年に「神と仏の美」「近代・現代美術」「アール・ブリュット」の3本柱で新生美術館として生まれ変わると計画されています。

障がい者福祉という観点ではなく、アート作品としてのアール・ブリュットが認知されてきていると言えるのではないでしょうか。
それだけの魅力と心奪われるものがアール・ブリュット作品にはあるのだと思います。


コメント
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