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“男のためのガーデニング”改め

「早川鉄平さんの切り絵障子」と「大通寺 馬酔木展」と「長浜曳山まつり」~長浜市大通寺~

2021-04-18 08:08:08 | 御朱印蒐集・仏像・磐座・巨樹・古墳・滝・登山
 昨年はコロナ渦によって中止された「長浜曳山まつり」でしたが、今年は規模を縮小して無事開催されました。
「長浜曳山まつり」は、天下人へと出世した羽柴(豊臣)秀吉が男子誕生を祝い、出世の足掛かりとなった長浜の町民にふるまった砂金をもとに各町が曳山をつくり、八幡神社で引き回したのが起源とされます。

歌舞伎が演じられるようになったのは江戸中期からとされ、ユネスコ無形文化遺産に登録されている祭りですが、中止されたのは大戦中と戦後の混乱期以来71年ぶりだったといいます。
それだけ新型コロナウイルスの感染は、未曽有宇の疫病で危機的な状況の中に身を置いているということになります。
残念ながら今年の曳山を見ることは出来なかったのですが、ながはま御坊表参道の大通寺前で準備中の「諫皷山(かんこざん)」の姿だけは見ることが叶いました。



曳山の保護用に被せていたブルーシートを取り外し、子ども歌舞伎を始めるための準備中といったところでしょうか。
八幡神社の境内や御旅所で見る曳山とは随分と雰囲気が違って新鮮な感じがします。



曳山のこうほうにある大門は「大通寺」の門で、大通寺では「早川鉄兵さんの切り絵障子作品の展示」と「大通寺 馬酔木展」が開催されており、曳山まつりの終わった街へと出向きました。
早川鉄兵さんの切り絵障子は以前にも大通寺で公開されていましたが、本堂の障子18面に表現された切り絵は見事というほかなく、自然と仏を描いた美しい光景にうっとりとしてしまいます。



「本堂・阿弥陀堂」は江戸初期に伏見城の殿舎を移築したものだといい、重要文化財の指定を受けている建物で、
山門付近から見ても大きな本堂の本体部の正面の障子すべてが切り絵障子になっているのが分かります。
さっそく本堂にあがらせてもらい、まずは座って阿弥陀さまに手を合わせる。



次に振り返って、早川さんの切り絵障子を見る。
須弥壇の阿弥陀さまと切り絵の阿弥陀さまが向き合うようにして立ち、両方の阿弥陀さまに挟まれるようにして座ることになる。
作品を製作された早川さんは、大阪でカメラマンとして活躍した後、米原市の山間集落に移住し、自然や動物をテーマに制作活動を行っている方です。



蓮の花が咲く池の後方には須弥山。その後方に後光に照らされた阿弥陀如来。
狼や鶴も阿弥陀如来の方へ向かっている。



左側からは象や虎、雉や兎も須弥山へと歩いて行く。
象の体の部分にも鳥や小動物が描かれていますね。



右側からは鹿や猿や鷺。一番端から須弥山に向かっていくのは鳳凰でしょうか。
実際には存在しない生き物までが切り絵障子には登場します。



本堂を出て渡り廊下へ行くと、その先では「馬酔木展」が開催されており、「大広間(附玄関)」「含山軒」「蘭亭 」や庭園のあるエリアへと向かうことになる。
「大通寺広間」は伏見城にあったときには公式の対面所(謁見の間)として使用されていたとされ、大床の獅子の絵は、中央部分の空間は上段中央に然るべき人物が座ることを想定しているという。



帳台構えも豪奢なものとなっており、人物画が描かれている。
「大通寺広間」は国の重要文化財となっているが、絵画を描いた作者は不明であるという。



大通寺は江戸時代の中期から後期にかけて彦根藩井伊家との関係を深めていったとされ、「玄関」には井伊直弼の七女で大通寺住職に嫁いだ砂千代の所有の籠が置かれてありました。
砂千代は1857年に大通寺の養女となり、明治となった1872年に大通寺第10代住職と結婚したとされます。



大通寺には砂千代の調度品が61件現存するといい、蒔絵を施した調度品や文房具・遊戯具・雛道具・飲食具・衣装・武具なとがあるとされます。
面白いのは「犬張子」という紙製の蓋付き箱で、守り札や化粧道具を納めて安産や幼児の魔除けとして寝所や産室に置かれたものだとされます。



大通寺は真宗大谷派(本山は東本願寺)の寺院ですから親鸞聖人を宗祖としており、寺院には浄土真宗中興の祖である蓮如上人の「蓮如上人御影道中 輿」があります。
「蓮如上人御影道中」とは蓮如上人の没後、福井県の吉崎御坊で勤められている御忌法要に蓮如上人の御影を東本願寺と吉崎御坊を行き来する仏事で300年以上続いているとされます。

道中は「教導」「供奉人」「宰領」の方々が約240㌔の道程を歩くといい、吉崎御坊から東本願寺への御上洛の際には大通寺に立ち寄られるそうです。
この輿は、かつて蓮如上人の御影を乗せて道中を往来したものといわれています。



玄関、本堂・阿弥陀堂、大広間、蘭亭・含山軒のあるエリアは、内部はこんなに広かったのかと驚くほど部屋の数が多く、それぞれ床の間や襖絵のある間となっている。
また、見応えのある庭園がいくつか設えられており、国の名勝となっている「大通寺含山軒および蘭亭庭園」があります。
「含山軒」へいくまでにも小さな庭があり、コンパクトながらも雰囲気がいい。



「含山軒庭園」は江戸中期に作られたという枯山水の庭園で、伊吹山を借景に取り入れた庭とされますが、土砂降りの雨の中では伊吹山は拝めず。
しかも枯山水庭園のはずが、降り続く雨のため池泉回遊式庭園のようになっているのもちょっと面白い。



名勝に指定されているもう一つの庭園は「蘭亭庭園」で、枯池(雨で池になっていますが...)・築山・切石橋・枯滝石組の庭園となっています。
石組が豪快に組まれていますが、こうしてみると雨の庭園もなかなか見応えがあります。





今回の参拝は「馬酔木展」を見ることでしたが、展示期間終了前ということもあって花期を逃してしまいました。
わずかに花の付いた馬酔木がありましたので、まだ元気のありそうな花を撮ってみます。



大通寺には何度も参拝していますが、奥のエリアに入ったのは随分と久しぶりで、入った記憶はあるけれど中の様子の記憶はないといった感じです。
今回は「大通寺 馬酔木展」と「早川鉄平さんの切り絵障子」が目的でしたが、広大な間が続く建築物や多数の障壁画などの文化財・庭園を有する大寺院だったことには驚くほかありませんでした。
浄土真宗寺院の凄さを感じる寺院です。

 

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