リサイクル。

刈払い機、というのがある。
一応説明すると、長いシャフトの片端にエンジン、もう片端に丸鋸のような刃がついていて、中央付近にグリップハンドルがあり、ハンドルとエンジンの間あたりを肩から吊って、前方の草や細い木を伐る道具だ。
使われる刃はいろいろで、丸鋸様のほか、フェンス際や石や木が配置された庭園などでは太いテグスを振り回すようなタイプの刃もある。テグスを使えばフェンスや庭木を傷めにくいのだ。
俺の仕事では、主として丸鋸系を使う。
最近の主流は、刃先にタングステン合金などの超硬チップを付けたチップソーってやつだ。チップはいわゆる鋸刃のように鋭利ではなく、厚みのある四角になっている。エッジで掻き取るように切るのだ。
このチップソー、チップがヤスリがかからないどころかグラインダでもなかなか削れないくらい硬いので、あまり手入れしないずぼらな使い方でもかなり切れ味が続く。一方、フェンスや石などに当ててしまうと、いとも簡単にチップが飛んでしまう。
1個や2個ならほとんど影響ないが、全数の1/3とか半分もチップが飛んでしまうと、元々刃がついてないので役立たずになる。
また、地面近くを切り続けると、土に擦られてさしもの超硬チップも角が丸まってくる。刃先が丸くなるわけだから、これまた切れなくなるのだ。
角が取れたら角を立てるように研ぎ直せば、切れ味は復活する。しかし、上で述べたとおり硬すぎて研ぎづらいし、単価も安いのでなかなか研いでまで使わないのだ。
だから、仕事場のガラクタ箱にはチップが飛んで摩滅したチップソーがごろごろしている。
そのジャンクを、普通の刃がついた丸鋸に再生したのだ。


素材になったのは、2枚で1000円ちょっとの安物のチップソー。
穴がたくさん開いていて「軽量」が売り文句だが、なんのこたない、材料ケチってるだけなんでないかい。
元の刃のチップのはまっていた跡まで研ぎ落とし、形を整えて、丸ヤスリで刃を付けた。
高速回転体なのでバランスが重要だ。
俺の場合、刈払い機自体を作業台に固定して、グラインダを当てて芯を出した。


刃は、出来合いの丸鋸では7ミリの丸ヤスリに対応しているのが多いが、これは3/16インチ、約5ミリだ。
たまたまそのサイズのチェンソー用のヤスリがあったから、ってだけのことだが。
草刈用なので、刃は使うとき地面側になる面だけを研ぎ落とした片刃だ。鋸刃を一目ずつ交互に振り分ける「アサリ」もつけない。
樹木を主に伐るのなら、刃を一目ずつ交互につけて、アサリをつけてやったほうがいいだろう。

こんなリサイクル鋸だが、試してみたら実に良く切れる。
チップソーは刃先が厚いので、細長い草を引っ掛けて巻きついたり、水面に刃が入ると極端に失速したりするのだが、それがない。
刃がきちんと刃物として切れているので、細長い草やつる草でも刃がきちんと通る。水面を切ってもほとんど失速しない。
堅いススキやアシ、この時期竹のように堅くなるオオイタドリもスパスパ切れる。
樹木に対しても良好で、3-4センチの若木ならチュンチュン切れる。
やってみるもんだな。
調子に乗って何枚か作ってしまったぞ。
ただ、燃料タンク使い切るたびくらいに研がないとならないのはチェンソー同様だ。
石に当てたりしない限り、丸ヤスリでさっとさらう程度でいい。
石に当てたら刃先がつぶれてしまう。使うには注意が要るし、研ぎも必要だ。切れる分だけ、切り株に弾かれるときも強烈だ。
不慣れな使い手には向かないかもしれないな。
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