バルクリ。

XT400Eのバルブクリアランス調整。


シート、タンクを外し、ロッカーカバーを開けて、スパークプラグを外し、左クランクシャフトのメクラとその上の小さなメクラを外す。


左クランクケースカバー上方の小さなメクラは、タイミングマークの覗き穴だ。
写り悪いが、穴の縁の切り欠きにフライホイールのマークを合わせれば、上死点。
バルブが全部閉じてれば圧縮上死点だ。排気上死点なら排気バルブが開いている。

クランクシャフトを回すには、左ケースの穴からフライホイールのセンターナットにソケットレンチをかけて回す。
キックスタータで回してもなかなか思うようにはいかないはずだ。キックを踏むと、クランクシャフトは3-4回も回ってしまうからな。しかも逆転できないし。
こういう作業するなら、工具をそろえてから、だ。
センターキャップは、大きなワッシャなどで回せば溝を傷めにくい。


言うまでもなかろうが、キャブレター側が吸気バルブ、排気管側が排気バルブだ。
これは吸気バルブ。バルブクリアランスを見たら、セカンダリ側がやや詰まっていた。
バルブクリアランスとは、バルブの頭と、バルブを押し下げるロッカーアームの間に、指定の温度で指定の隙間を開けることだ。
XT400Eの場合、冷間、つまりエンジンが十分冷えて常温になっている状態で、吸気側が0.05-0.10mm、排気側が0.12-0.17mmとなっている。
エンジン温度が上がれば、この隙間が詰まって、設計どおりのバルブタイミングと十分なバルブの開きを得られるという寸法だ。

ここが開きすぎれば、エンジン暖まってもバルブを叩く音がしたり、デリケートな高性能エンジンなら、バルブタイミングが狭くなってややパワーが出なくなるかもしれないが、実害はほとんどない。
逆に詰まりすぎると、バルブが完全に閉じなくなる。パワーへの影響はもちろんだが、吸気系統に火が戻るバックファイアとか、排気系統に火が出るアフターバーニングとか、火災につながりかねない現象を招く可能性があるし、バルブ作動機構の異常摩耗を招くかもしれない。
だから、レーサーならともかく、俺は公道車両なら指定値の中間かやや広めを狙って調整している。

写真のような隙間ゲージを入れて、ゲージを動かしたときに、チーズや羊羹を切るときくらいの手応えになるように調整ネジを決めてやる。
この感覚はまるっきり手応えが頼りなので、スキルに大きく左右される。
いちばんいいのは、マイクロメータなどにオイルをつけた隙間ゲージを挟んで、隙間ゲージの表示寸法にマイクロメータを固定して、隙間ゲージを動かして手応えを覚えることだ。逆に、手応えでどのくらい数値が変わるかを体験するのもいい。

XT400Eは静かなので、メカニカルノイズがひときわ目立つ。
ま、ある程度は仕方ないから、詰まり過ぎてないかの定期確認みたいなもんだ。

ハイドロリックリフタとか、ハイドロリックタペットなんてのが付いてるエンジンなら、この隙間は自動的にいつもゼロになるから調整不要だけど、ジープの4DR5でもサンバーのEN07でも、OHVやSOHCなら大概必要な作業なので、できて損はない。

そういや、排気上死点でバルクリ合わせたのを見たことがある。どうなったか?
そう、排気バルブが開かなくなるから、回らない。
圧縮上死点がピンと来なければ、まあ手を出さないほうが無難かもしれないな。
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引き直し。

サンバー、後退灯が点かないという不具合発生。
末端の電球ソケットで見てみようとしたら、レンズのスクリュがサビでかじっていて、小さなトーチであぶったりしてやっと外れた。古いクルマはこれが時間食うのだ。
ソケットに電圧は来てるしアースも悪くない。球も切れてない。
試しにナンバー灯のカプラと差し替えてみたら、後退灯はちゃんと点灯する。
でも元に戻すと、点かない。

KSサンバーの場合、後退灯の電源は、ウインカーなどと共通のヒューズだ。
IGキーONを通り、ハンドルスイッチと後退灯に分岐していることになっている。
ウインカーは正常に作動している。
ハンドルスイッチのカプラからジャンプ線を引き、後退灯スイッチカプラに接続してみたら、点灯する。
つまり、ハーネスがほぼ切れているのだ。
おそらくは芯線1本とかでかろうじてつながっているので、電圧はソケットまで来る。しかし、線が細すぎて点灯させれるほどの電流は流れることができないのだ。
ハーネスのカプラは、電源に近いほうから、
・キャビン床上のハーネスカプラ
・エンジンルームのトランスミッションハーネスカプラ(後退灯、ELスイッチ、4WDスイッチ)
・後退灯スイッチカプラ
・後退灯カプラ
となっている。
後退灯のスイッチは、トランスミッションの左側面についていて、後退用のカウンターギアの位置を感知している。
その後退灯スイッチカプラに、キャビンカプラからジャンプすると、点く。
トランスミッションカプラからジャンプすると、点かない。
キャビンカプラからトランスミッションカプラの間、いちばん長いハーネスのどこかで断線していることがわかった。
そうと決まれば、ハーネスばらして・・・なんてやってられないので、後退灯のハーネスを引き直すことにした。

キャビンカプラの少し下で黒/赤の細い線を切った。
黒/赤はもう1本あるが、太いほうはエンジンのハーネスだ。
既存のハーネスに沿わせて新たな線を引き回し、キャビン内に引き込む。
切断した黒/赤にスプライスで接続。
引いた線の反対側は、トランスミッションの後退灯スイッチカプラにつないだ。
カプラは平端子がT型に配置された2極。
端子も腐食していたので、車体側の♀ごと新たな線に交換した。
引き回したハーネスは、既存ハーネスにタイラップで結束。
電球は切れてなかったが、だいぶ黒くなってきていたので交換。
これでやっと直った。

一度塩でズタボロになってるハーネスだから、まだ同じようなトラブルは出るだろう。
ま、シンプルな電気系統だからそんなに困んないけど、でもメンドクサイんだよな電気系統は。
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