hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

母 (3)家で介護

2007年09月17日 | 個人的記録

92歳の母が食道の潰瘍で血を吐き、入院し、20日あまりで退院した。

家の中は伝い歩きできるが、外は歩けないので、介護保険で安く車椅子を買った。土日のどちらかは車椅子を押して近所を散歩する。「畑に苗植えたね。サトイモかな」など話しかけても、反応が少ない。昔とは別人のようだ。

母は夜中に何回か起きてトイレに行くのだが、ときどき転んでしまう。家に戻って1ヶ月ほどしたときだった。倒れて起きあがれず、「K子さん、K子さん」と叫んでいた。私が気がついて、起きて1階へ降りて行って、助け起こした。女房は、寝つきは悪いが、寝てしまうと起きない人で、また起きられない人なので、この役目は私の役割となった。この頃これが続いたのは、多分、髞状態なので強い眠り薬を飲んでいたせいでトイレに起きるとき身体がきかないのだろうと思い、メンタル・クリニックへ行き、抗鬱剤を弱くしてもらった。しかし、薬のせいばかりではなかった。

退院後、約2週間たった。女房によると、どうも調子の良い日と悪い日があるそうだ。調子の悪い日は、歩くのもやっとで、何をしゃべっているのか良く解らない。それなのに、知らぬ間に庭に出て転び、玄関の戸を開けられず、ただドンドンと叩いていたそうだ。
「昨日は一人でトイレに起きて、問題もなかったが、今日は、夜トイレに行くときに、また倒れそうだから、あなたは起きていた方が良いかもしれないわ」と女房から言われたので、お得意の夜更かしを許可していただいた。何事もなく、深夜になって寝床に入っても、何か下で物音がしているような気がして眠った気がしない。

母の食欲は相変わらず旺盛で、食間にもバナナ、お菓子など注意してもすぐ忘れて食べてしまう。ご飯を食べるのにやたらと時間がかかる。昼飯は2時間かけて食べた。これでは大変なので夕飯はおかゆにした。

突然、母が居間に入って来て、「2階に○○(甥)が来ているのになんで私を呼んでくれないの?」と言う。「誰も来てないよ」と言うが、一人で階段を上り2階へ上がってしまう。部屋を探して、「どこにいるの?」と、まだ信じない。こんなことが続き、そのうち、知らないうちに自分ひとりで2階へ上がり、降りられなくなる。
階段を転げ落ちてもこまるので、なんだか、母を閉じ込めるようでいやだったが、階段に上り口に年寄りには持ち上げられない柵を作った。まるでいたずらする子供のための柵だなと思った。

車でメンタル・クリニックまで母を連れて行き受診した。「何かやっても叱ると痴呆が進みます」と先生に言われた。プライドがある子供なんだと思っていても、ついつい、「もう勘弁してよ」と思ってしまう。ボケていても、きっと、そんなこちらの態度は敏感に読み取るのだと思う。


クリニックへ行った晩も、4時に起きて布団をあげて、起きる支度をしていた。大きな物音で私達が部屋へ行き、なんとかまた寝かせる事が出来た。

ともかく、何するか分からないので、昼間は女房が付きっ切りだし、夜は私が寝ながら耳を澄ましていて熟睡できない。このままがんばって介護しても、悪くなるのをわずかでも遅らせることができるかどうかで、良くなることはないだろう。子供の世話と違って希望がないのが辛い。世の中にはもっともっと厳しい状況で長くかんばっている人も多いと思うが、まだ退院後、2ヶ月も経ってないのに、ほとほと参ってしまった。


女房からは言い出せないだろうから、私から、「もういい。施設を探そう。しょっちゅう行けばその方が互いにいいんじゃないか」と言った。女房は哀しそうな顔をしたが、反対はしなかった。

しかし、そう簡単にはいかなかった。空きがある施設を見つけるのは絶望的だった。

続く、母(4)

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