hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

西川美和「ゆれる」を読む

2007年09月22日 | 読書

「ゆれる」ポプラ社を読んだ。監督デビュー作「蛇イチゴ」で映画賞を総ナメにした西川美和が4年ぶりに挑んだ書き下ろしだ。監督・脚本:西川美和、出演:オダギリジョー、香川照之で2006年に映画化され、各種の賞を受賞した。


東京で写真家として成功した外見もかっこいい弟。さびれた田舎の実家で父親とガソリンスタンドを営んで地味に暮らす従順でおとなしい兄。対照的な兄弟、だが二人は互いを尊敬していた。
弟が母の法事で久々に帰省し実家に戻る。ガソリンスタンドの社員になっていた兄弟の幼なじみの女性、千恵子と弟が一夜を過ごした翌日、3人は渓谷へと向かった。
そして、渓谷の吊り橋から千恵子が落ちてしまい、兄が殺人罪で逮捕される。事故だったのか、事件なのか。裁判が進むにつれ猛の心はゆれる。

自分勝手で父親とそりが会わず、母の葬儀にも帰らなかった弟は、昔から兄をかばってきた。おとなしい兄は、何事も心にしまい、我慢、我慢の連続。そして、「事件、事故を契機として」と、昔からある兄弟の間の愛情と嫉妬の話と言ってしまえばそれまでである。しかし、1章ごとに異なる登場人物の語りで進められていくので、各人の心情が良く分かる。こんな心理を映画で表現できるのだろうか。

小説としては、今一歩ものたりない。各人は良く描けているが、厚みが少ない。残念ながら私は、映画は見ていないのだが、小説と映画の両方を見てみると、より面白いかもしれない。


コメント (1)
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