中澤まゆみ著、小西輝子法律監修「おひとりさまの『法律』」2008年10月、法研発行を読んだ。
法律は武器にも凶器にもなる。 葬儀と相続、離婚、お金、病気などの問題を当事者目線から解説した、「おひとりさま」を強力にサポートする本。
本の帯には、上野千鶴子 東京大学大学院教授のメッセージが。
おひとりさまになってしまったあなた、おひとりさまになりたいあなた、ずぅーっとおひとりさまのあなた、法律は武器にも凶器にもなる。法律をつよーい味方につけて、老後も死後ものりきろう。
難しくなりがちな内容をわかりやすい文章で、豊富な具体例を使って説明する。なるほどと思う知識や法律が満載のハウツー本だ。急に訪れるパートナーの死などの場面で、あらかじめ読んでおくのと、まったく知らないのでは大違いだ。まだまだ関係ないと思っている世代にもオススメです。
この本は、上野 千鶴子 さんのベストセラー「おひとりさまの老後」の続編だが、著者はノンフィクションライターの中澤 まゆみさんが、弁護士の小西輝子さんの監修を得て、分かりやすく書いている。
著者の中澤まゆみは、1949年長野県生まれ。雑誌編集者を経てフリーランスに。ノンフィクションライター。最近は医療、福祉、介護関係の取材、単行本の構成・編集も数多く手がける。
法律監修の小西輝子は、1943年東京都生まれ。中央大学法学部卒業後、1971年弁護士登録。東京家庭裁判所調停委員、2007年まで人権擁護委員。東京都内に、小西輝子法律事務所を開設する。民事、商事事件を中心に、弁護士活動を行っている。
以下、いくつか紹介する。
超高齢社会の日本では、65歳以上の女性の5人に1人は「おひとりさま」だ。
パートナーが急死したときの臨終から葬儀まで3日は、悲しむ暇もなくバタバタして、なれないことゆえ、葬儀社の言うままに流れに乗せられすべてが進みがちだ。
病院出入りの葬儀社は高いことが多い。葬儀社がいう葬儀一色に含まれているのは、祭壇とお棺と人件費だけで、斎場使用料、火葬料、車両関係、飲食費は含まれていない。
葬式には、合計231万円が使われていたという調査結果があるが、死亡がわかった時点で入出金は相続が確定するまでストップされ故人の預金は下ろせなくなる。生命保険は1週間から1ヶ月ほどで支払われる。
2007年からは離婚による年金分割制度が始まり、熟年離婚が急増すると騒がれていた。しかし、結果は減少傾向。夫が死んだときは厚生年金の3/4を妻が受取れる。1/2の離婚より得と、嫌な夫を我慢して死ぬのを待っている妻が少なからずいるという。
離婚の際に住宅ローンが残っているマンションは売ってしまう方が良い。住宅ローンをすべて返済しないと、妻が自宅を自分の名義に書き換えできない。
第1章 葬儀と相続の人間ドラマ(死は突然やってくる;相続と、どう闘うか)
第2章 離婚したいと思ったら(別れるためのプロセス;離婚後の生活はどうなるのか
第3章 お金は大事、だまされない(離婚した夫婦は財産をどう分ける?;おひとりさまの住宅トラブル;おひとりさまは危険がいっぱい)
第4章 おひとりさまが病気になったら(おひとりさまの医者選び;いのちの活かし方・守り方)
第5章 おひとりさまの終わり方(おひとりさまがボケたとき;老人ホームについて知っておく;遺言だけは忘れずに;お葬式もいろいろ)
私の評価としては、★★★★★(五つ星:是非読みたい)
始めての五つ星だ。これまででも“是非読みたい“と思う本はあった。しかし、小説、エッセイは人によって好みが違い、ハウツー本も対象とならない人にとっては価値がないので”是非読みたい“とは言えなかった。しかし、誰でも年はとり、そして多くの人がいずれおひとりさまになる。そのときの心がけなどはその人の人生、考え方で異なるが、法律だけは万人に等しく適用される。
この本は、老後の具体的な場面を想定して法律面からの基本知識、ノウハウを教えてくれる。著者自身が自分の問題として考え、現場と調査して、利用者の立場で分かりやすく語っている。
以下、蛇足。
Jim : My wife is so serious about losing weight. That’s why she rides horseback every day.
Tom : Did your wife lose any weight ?
Jim : No, but the horse lost ten kilos in one week.
「うちの女房はね、本気で体重を減らそうとしているんだ。だから、毎日乗馬をやっているのさ。」
「それで奥さんの体重減ったかい」
「それがね、一週間で馬の体重が10キロも減ったんだよ」
丸山孝男「英語 ジョークの教科書」2002年3月、大修館書店発行より。