hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

角田光代『紙の月』を読む

2012年05月02日 | 読書2

角田光代著『紙の月』2012年3月角川春樹事務所発行、を読んだ。

銀行の契約社員・梅澤梨花(旧姓垣本、41歳)は1億円を横領し、海外へ逃亡し、タイのチェンマイの風景の中に自分の存在を消そうとさまよう。
梨花は、自分に関心がないかのような夫と平凡な生活を送っていた。ほんの一時的に顧客から預かった金を借用し、すぐ返す。そんなとき、大学生・光太と出会い金銭感覚に狂いを生じていく。夫とはつましい生活をしながら、光太とはホテルのスイートに連泊し、高価な買物をして、そのために顧客を偽証書で騙して破滅へ進んでいく。

梨花に贅沢な生活を与えられた光太は自堕落な生活になり、かって借金を重ね離婚に至った梨花の友人中條亜紀は厳しい節約生活を続けていたが、あまりにも厳しい生活のため、娘が万引きする。そこで、逆に・・・。
その他、中学高校の同級生・岡崎木綿子、かつて梨花と付き合ったことのある山田和貴の妻など金銭感覚を失って悲劇に至る過程が語られる。

初出:いくつかの地方新聞に掲載されたものに大幅加筆訂正した。



私の評価としては、★★(二つ星:読めば)(最大は五つ星)

平凡な日常に潜む飢餓感から、ふとしたキッカケで壊れてゆく女性の気持ちが描かれているのだが、ケチで買物嫌い、しかも自分をコントロールできなくなることを何より恐れる私には共感できるところがない。

「3割引よ! 買わなきゃ損よ!」との言葉に、「買わないのが10割引だ」と冷たく言う女性心理をわかってない奴。それが私です。


角田光代
1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。
90年「幸福な遊戯」で「海燕」新人文学賞を受賞しデビュー。
96年「まどろむ夜のUFO」で野間文芸新人賞、
98年「ぼくはきみのおにいさん」で坪田譲治文学賞、
「キッドナップ・ツアー」で99年産経児童出版文化賞フジテレビ賞、
2000年路傍の石文学賞を受賞。
2003年「空中庭園」で婦人公論文芸賞を受賞。
2005年『対岸の彼女』で第132回直木賞。
2006年「ロック母」で川端康成文学賞を受賞。
2007年「八日目の蝉」で中央公論文芸賞をいずれも受賞
2009年ミュージシャン河野丈洋と再婚。習い事は英会話とボクシング。趣味は旅行で30ヶ国以上に行った。
その他、
水曜日の神さま」「森に眠る魚」「何も持たず存在するということ」「マザコン」「予定日はジミーペイジ」「恋をしよう。夢をみよう。旅にでよう。 」「私たちには物語がある 」「 愛がなんだ 」「 ひそやかな花園 」「 よなかの散歩園 」「 さがしもの 」「 彼女のこんだて帖 」「 かなたの子 」「 幾千の夜、昨日の月 」「 口紅のとき 」「 曽根崎心中



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