hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

高田郁『夏天の虹 みをつくし料理帖』を読む

2012年05月07日 | 読書2
高田郁著『夏天の虹 みをつくし料理帖』時代小説文庫た19-8、2012年3月角川春樹事務所発行、を読んだ。

「みをつくし料理帳」シリーズ、『八朔の雪』、『花散らしの雨』、『想い雲』、『今朝の春』『小夜しぐれ』『心星ひとつ』につづく第7弾で、まだ完結編ではないが、シリーズもいよいよ終局に近づいた感がある。

身分の異なる侍への恋にははじめの部分で決着がつき、最後の最後で幼馴染の吉原の太夫は危ういところを助けだされ、主人公のさがり眉の澪(みお)と対面する。しかし、お世話になった名料理屋「天満一兆庵」の若旦那はまだ姿をみせない。そして相変わらず澪の創作料理は江戸の人をあっと驚かすが、料理人として決定的な障害が澪を襲う。

ハルキ文庫の書きおろし。
いつものように、巻末付録に話の中に登場する4品の詳しいレシピが付いている。また、特別付録の瓦版に、つる屋の料理の値段が600円から900円であること、今年5月に巻末に掲載されていない料理のレシピ、写真と随筆の本が出ることなどが知らされる。



私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

第7弾まで来て、いろいろな事が明らかになっても、まだまだこの先を早く読みたい。すっかり数々の困難を乗り越えてきた澪の応援団長になってしまっている。

料理番付争いに敗れたことにより、澪は自分が何のために料理を作っているのかを改めて考えさせられる。そして、身体が不自由になり、食べる気持ちを失った人の身になることにより、人々に食べる愉しみを思い出してもらう料理を創りだすことができた。

最初のページから、祠(ほこら)、神狐(しんこ)、蹲る(うずくまる)、寒蜆(かんしじみ)など見慣れない漢字を駆使して江戸の雰囲気を出している。



高田郁(たかだ・かおる)は兵庫県宝塚市生れ。中央大学法学部卒。
1993年、川富士立夏の名前で漫画原作者としてデビュー。
2006年、短編「志乃の桜」で北区 内田康夫ミステリー文学賞区長賞受賞。
2007年、短編「出世花」で小説NON短編時代小説賞奨励賞受賞。
2009年~2010年、『『みをつくし料理帖』シリーズ第1弾~第3弾
第1弾「八朔の雪」で「歴史・時代小説ベスト10」、「最高に面白い本大賞!文庫・時代部門」、「R-40本屋さん大賞第一位」を獲得。
2010年『銀二貫
みをつくし料理帖シリーズ第4弾の「今朝の春」
2011年『みをつくし料理帖シリーズ第5弾の「小夜しぐれ」
みをつくし料理帖シリーズ第6弾の「心星ひとつ」



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする