梨木香歩著『西の魔女が死んだ』新潮文庫な-37-2、2001年8月新潮社発行、を読んだ。
「西の魔女が死んだ」とその後のまいの物語「渡りの一日」を併録。
「西の魔女が死んだ」
中学に進んでまもなく登校拒否となってしまった少女まいは、田舎の祖母のところでひと月ほど生活することになる。祖母は英国生まれで、その家系が魔女の血筋だった。魔女は草木についての様々な知識を代々受け継ぎ、物事の先を見通す能力を持つ人だという。
まいが始めた魔女修行は、何事も自分で決めること。そのため、野苺でジャムをつくり、鳥小屋の卵を収獲したり、足で踏んで洗濯したりと、自然の中で規則正しい生活をするうちにまいの心は癒されていく。
まいが「おばあちゃん大好き」というと、祖母は「アイ・ノウ」と微笑む。
「渡りの一日」
その後のまいとちょっと変わった親友のショウコの一日。
梨木香歩(なしき・かほ)
1959年生れ。同志社大学卒。英国留学。
『西の魔女が死んだ』で日本児童文学者協会新人賞、新美南吉児童文学書受賞
『裏庭』で児童文学ファンタジー大賞受賞
『家守綺譚』で本屋大賞3位
『沼地のある森を抜けて』でセンス・オブ・ジェンダー賞大賞、紫式部文学賞受賞
『渡りの足跡』で読売文学賞随筆・紀行部門受賞
エッセイ『春になったら苺を摘みに』
私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)
小中学生向けだろう、読みやすい。しかし、大人も十二分にさわやかで、しんみりできる。
木々に囲まれた田舎の生活が爽やかで、美しく描かれ、人間本来の生活を思わせる。まいの気持ちも見事に描かれ、女の子に人気の小説であることは納得できる。
また、「おばあちゃん」の一言一言が、単純だが味わい深い。結局、人は一人なのであり、決めるのは自分自身なのだが、だからこそ寄り添う人の温かい一言や、思いやりに助けられるのだ。