hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

三浦しをん『格闘するものに◯』を読む

2012年05月22日 | 読書2

昨日の金環日食を見るのに専用のメガネを使ったが、子供の頃は、誰もが、煤を付けたガラスや、黒い下敷きを使って太陽を見ていた。これは60年ほど前の話だが、いつ頃から専用メガネを使うようになったのだろうか。少なくとも当時の子供たちは、みんな目を傷めたはずなのだがどうなっているのだろうか。



三浦しをん著『格闘するものに◯(まる)』新潮文庫み34-1、2005年3月新潮社発行、を読んだ。

藤崎可南子は、出版社で漫画雑誌の編集者目指して就職活動中。マイペースの就活は案の定苦戦するという就職活動小説で、三浦しをんのデビュー作だ。

藤崎家は政治家の家系だが、可南子も弟の旅人も2人とも政治家になるつもりはまったくなく、家庭でも悶着が絶えない。

K談社の就職試験会場で担当者が、「該当」を読めずに「カクトウするものに丸をしてください」と叫ぶシーンがあり、これが題名の由来。さらにK談社の面接官はニヤニヤしたりセクハラぎみだったり最低の態度だった。一方、集A社の面接官は真摯で主人公の漫画雑誌への提案を真剣に聞く。
(こんなにはっきり書いて良いのだろうかと思ったら、三浦さんは講談社(あっ!書いちゃった)から本を出していなかった)

重松清はと解説に、二十四歳という若さとまばゆい才能に圧倒されたと書き、この本の宣伝フレーズを「吾輩は女子大生である。内定先はまだない」と提案している。

初出:2000年4月草思社より刊行



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

最初に出てくる主人公が作り出した寓話や、特殊な家族関係、さらにおじいさんと脚で結ばれた関係とか、わざわざ特殊な話を持ちだしてくるのに違和感がある。

一方で、主人公の女子大生、可南子が幼すぎて、私のようなおじいさんには違和感がある。まあ、本当の女子大生もこんなもので、三浦さんはわざとそんな風に描いているのだろうが。

しかし、私自身の就職活動を思い出してみれば、充分子供だった。面接前の会社側の失礼な態度が頭にきて、面接時に喧嘩腰になってしまった。就職面接は、会社側が候補者を選ぶのだが、同時に学生が会社を選ぶ場でもあるのだという考え方だったのだ。しかし、そのままではどうしてもネガティブになってしまい上手く行かなかった。結局、面接での応答を楽しんでやろうという考えに変えてギリギリ最後の機会をものに出来た。

三浦しをんの略歴と既読本リスト








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