hiyamizu's blog

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ハン・ガン『そっと 静かに』を読む

2020年01月26日 | 読書2

ハン・ガン著、古川綾子訳『そっと 静かに 新しい韓国の文学18』(2018年6月25日株式会社クオン)を読んだ。

 

音楽、特に歌曲への著者のかかわりについて語る短編集。

 

【目次】
日本の読者の皆さんへ
1.くちずさむ
 子どもの頃から現在に至るまで、著者にとって音楽がどんな存在だったか。
2.耳をすます
 記憶の端っこに今もぶらさがる著者の思い出の曲
3.そっと 静かに
 著者が作詞作曲を手掛けて自ら歌った曲の歌詞と、そこに込めた想い
4.追伸
 原書ではまえがきに相当するが、日本の読者へのあいさつを新たに頂いたのでここに移した。
訳者あとがき
ハン・ガン オリジナルアルバム
 邦訳のために著者が再構成した。

 

 

紙のピアノ

5年生のころ、友だちのピアノ教室について行って、ピアノがたまらなく好きになる。母にせがんだが、貧しい家では買えるわけもなかった。文房具屋で買った紙の鍵盤を机に止めて、熱心に練習した。後に母はその姿を見るのがなにより辛かったと語った。

 

Let it be

手助けが頼めるひともいない子育ての時、書くことを封印し辛かった期間の事。この曲をかけ、家中の二重窓をすべて閉め、最大限にボリュームを上げ、部屋中の明かりをつけた。滑る靴下をはいてフィギュアスケートの選手のように床を滑って踊った。オムツも取れない子供が一緒に飛び跳ね、床を滑った。声の限りに歌いながら、たまに泣いた。興奮した子どもはその場でジャンプを続けた。それから子どもはヘイピーしよう、ヘイピーしようとねだるようになった。「レットイットビー」という言葉を覚えたのだ。

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

著者ハン・ガンに関する部分は非常に面白い。例えば、上に書いた二つのような、子ども時代を含めた彼女自身の生活に関する部分には大いに興味を持って読んだ。

 

しかし、語られるおそらく韓国では有名な歌曲や、有名歌手に、まったくなじみがないので、歌の話には乗れなかった。

また、ところどころに注付きで登場する生活用品も詳細がわからない。例えば、「アレンモク」(オンドルの焚きだし口に近くて暖かい場所)、「プルパン」(金属の焼き型に小麦粉の生地を流し込んで焼いた食べ物)など、ズラズラと出てくる。残念なことに韓国は日本と遠い国だと思った。おそらく逆も真なのだろう。隣国のことを知らなくては! その歴史も含めて。

 

 

ハン・ガン(韓江)の略歴と既読本リスト

 

 

古川綾子(ふるかわ・あやこ)

神田外語大学韓国語学科卒業。延世大学校教育大学院韓国語教育科修了。神田外語大学講師。
第10回韓国文学翻訳院翻訳新人賞受賞。
訳書、ウ・ソックン『降りられない船――セウォル号沈没事故からみた韓国』(クオン)、パク・ヒョンスク『アリストテレスのいる薬屋』(彩流社)、ユン・テホ『未生 ミセン』(講談社)、キム・エラン『走れ、オヤジ殿』(晶文社)などがある。

 

 

 

コメント
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