知念実希人著『レゾンデートル』(実業之日本社文庫ち1-4、2019年4月15日実業之日本社発行)を読んだ。
裏表紙にはこうある。
私がジャックです――殺人者の<存在理由とは>?
末期癌を宣告された医師・岬雄貴は、酒浸りの日々を送っていた。ある日、不良から暴行を受けた岬は、復讐を果たすが、現場には一枚のトランプが――。そのカードは、連続殺人鬼「切り裂きジャック」のものと同じだった。その後、ジャックと岬の奇妙な関係が始まり……。最注目作家、幻のデビュー作!(『誰がための刃 レゾンデートル』改題・改稿)
登場人物
岬雄貴(みさき・ゆうき):青陵医科大病院の外科医。32歳で末期がんの宣告を受ける。両親は交通事故死。
柴田真琴:青陵医科大病院の医師。雄貴と学生時代に付き合い、研修医時代からは親友。
南波沙耶:家で同然で東京に出て来た18歳。雄貴の家にかくまわれる。
上松恵美:沙耶の友人。23歳。金髪長身。
佐川陽介:自称カメラマン。42歳。
益田勉:赤髪の大男。銀髪の真鍋文也を伴う。
興梠(こおろぎ):移植コーディネーター。
瀬川遼子:高校生の時に坂本光男に殺された。坂本は時効後に名乗り出る。兄は順平。付き合っていたのは川原。
楠木真一:楠木組長の息子で若頭。
松田公三:警視庁捜査一課の昔堅気の刑事。部下は所轄署の石川良太。最も嫌いな男はスマートな田中刑事。
宇佐見正人:雑誌「週刊今昔」の記者。連続殺人犯『ジャック』を追い続ける。49歳。
本書は『誰がための刃 レゾンデートル』(講談社2012年刊行)を改題・改稿し文庫化。
私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お好みで)(最大は五つ星)
末期がんの外科医が剣道経験を生かして殺人者に?という設定はいいんじゃない!。
また、切り裂き「ジャック」の過去も含めた犯罪が積み重なり、徐々に薄皮をはがしていくように「ジャック」に迫っていく過程は面白い。
最後の最後の決闘の場面は、映画でブルース・ウィルス(ウイルスではない)が同じことやっていたので、ちょっと興ざめ。
何年後かに、じつは沙耶は受胎していて、生んだ彼の子供が活躍する話を書いて欲しい。