hiyamizu's blog

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雫井脩介『検察側の罪人』を読む

2020年10月26日 | 読書2

雫井脩介(しずくい・しゅうすけ)著『検察側の罪人 上、下』(文春文庫し60-1&2、2017年2月10日文藝春秋発行)を読んだ。

 

上巻の裏表紙は以下。

蒲田の老夫婦刺殺事件の容疑者の中に時効事件の重要参考人・松倉の名前を見つけた最上検事は、今度こそ法の裁きを受けさせるべく松倉を追い込んでいく。最上に心酔する若手検事の沖野は厳しい尋問で松倉を締め上げるが、最上の強引なやり方に疑問を抱くようになる。正義のあり方を根本から問う雫井ミステリー最高傑作!。

 

下巻の裏表紙は以下。

23年前の時効事件の犯行は自供したが、老夫婦刺殺事件については頑として認めない松倉。検察側の判断が逮捕見送りに決しようとする寸前、新たな証拠が発見され松倉は逮捕された。しかし、どうしても松倉の犯行と確信できない沖野は、最上と袂を分かつ決意をする。慟哭のラストが胸を締めつける感動の巨篇!  解説・青木千恵

 

初出は、「文藝春秋」2012年9月号~2013年9月号

単行本は2013年9月文藝春秋刊(文庫化にあたり、上下2分冊化)

 

雫井脩介(しずくい・しゅうすけ)

1968年愛知県生まれ。専修大学文学部卒。
2000年『栄光一途』で第4回新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビュー。
2005年に『犯人に告ぐ』で第7回大薮春彦賞を受賞。
2016年『望み』で山田風太郎賞候補

その他、『虚貌』『火の粉』『クローズド・ノート』『ビター・ブラッド』『つばさものがたり』。

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

検事の仕事が良くわかる力作であることは間違いない。いかにもがっちりした官僚組織だと思う。この小説では警察の影が薄く、捜査や取調べにも検事が参加する。

 

ネタバレ気味になるが、こんなことやる検事が居るとも思えない。下巻の後半はあれよあれよという間に……そうなる予感はあっても、実際に行われるという信じられない展開になる

 

容疑者をしみじみとさせて自供させる森崎の取調べと、暴言を連発して締め上げる沖野の取調べの対比が面白い。

 

登場人物

 

最上毅:東京地検の検事。北海道出身市ヶ谷大学生用寮「北豊寮」の住人だった。の妻は朱美、娘は奈々子。
沖野啓一郎:最上を敬愛する任官5年目の新人検事。東京地検同期の刑事は三木高弘、末入麻里、栗本政彦
橘沙穂(たちばな・さほ):沖野啓一郎のより3歳年下の優秀な立会事務官。
長浜光典:最上毅の相棒の手堅い事務官。30代半ば。
脇坂達也:最上の上司。刑事部の副部長。
永川正隆:最上の上司。刑事部の部長。

青戸公成:警視庁刑事部捜査一課七係の係長。検事の意向を尊重するタイプ。
田名部:警視庁刑事部捜査一課、管理官。23年前、女子中学生絞殺事件の捜査を担当。
森崎:松倉重生容疑者の取調担当。警部補。

 

松倉重生:老夫婦刺殺事件の容疑者。23年前の女子中学生殺人事件の容疑者だが立件できなかった。63歳。
弓岡嗣郎:老夫婦刺殺事件の容疑者の一人。刺殺された都築和直の競馬仲間の一人。
諏訪部利成:闇社会の取引に関わるブローカー。

久住由季:「北豊寮」の寮母の娘。23年前中学2年生のときに、自室で絞殺されるの事件の被害者
都築和直:大田区蒲田の刺殺事件の被害者。74歳。金貸しを業とする。妻・晃子も被害者。

前川直之:最上と大学同期で、同じ学生寮「北豊寮」。弁護士(「街弁」)。
小池孝昭:最上の大学時代の友人。大手弁護士事務所勤務。
丹野和樹:最上の大学時代の友人。元弁護士。政治家(代議士)に転身。大物政治家・高島進の娘婿。
水野比佐夫:学生寮「北豊寮」の先輩。週刊誌『週刊ジャパン』の記者。

 

白川雄馬:人権派の弁護士の第一人者。
小田島誠司:蒲田の老夫婦刺殺事件の裁判で松倉重生被告の国選弁護士。妻は昌子。
船木賢介:蒲田の事件を取材する「週刊平日」の記者

 

 

マル害(丸害):殺人事件の被害者。ガイシャともいう。

強殺:強盗殺人事件

割り屋:取調べ中に、被疑者から自白や、重要な供述を引き出す能力に長けた検事。あるいは、被疑者の言い分に耳を傾けず、ひたすら押し込む能力に長けた検事。

本部係:100人近い刑事がいる東京地検刑事部で捜査本部が立つような凶悪事件を担当

 

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