hiyamizu's blog

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川上未映子『黄色い家』を読む

2023年06月13日 | 読書2

 

川上未映子著『黄色い家』(2023年2月25日中央公論新社発行)を読んだ。

 

中央公論新社のインタビュー冒頭の内容説明

2020年、20代女性への監禁・傷害の罪で吉川黄美子被告・60歳の初公判が開かれた。その記事を読んだ花は、黄美子との過去を思い、当時一緒だった蘭と会う。今は行方不明の桃子を含め、かつて同居した4人は、警察にいえないことをしていたらしい。物語は1990年代後半にさかのぼり、15歳の花がスナックで働く母の友人・黄美子と出会い、ともに過ごした20歳すぎまでの年月を描いていく。

そのような構成の川上未映子『黄色い家』(中央公論新社)は、非合法な“シノギ”に手を染める内容でエンタテインメント性がありつつ、女性4人の共感と齟齬を細やかにとらえている。本作は、どのように生まれたのか。著者に訊いた。 (円堂都司昭/1月31日取材・構成)  

2024年本屋大賞ノミネート

何も持たずに家を飛び出した15歳の少女が、なんとか生き残り、そして、その後も生活できるようになるため、必死で働く。しかし、火事でそのスナックを失ってしまう。初めて得た自分の“家族”4人を守るために花が選んだ手段は犯罪しかなかった。そして、“家族”はバラバラに。

 

 

物語は、40歳になっていた伊藤花が、偶然ネットで見つけた記事で始まる。傷害、脅迫、逮捕監禁の罪に問われていた女の名前は、かつて花が、数年間を共に暮らした、吉川黄美子だった。

 

話は25年前の東京・東村山に戻る。花は、シングルマザーの母から離れ1人暮らしをするために必死に貯めたアルバイト代・72万円余りを、母親の元彼・トロスケに盗まれる。絶望した花は家出し、偶然出会った母の友人・吉川黄美子と三軒茶屋で暮らし始める。

 

ふたりはスナック「れもん」を始める。そこに、キャバクラで働いていた少女・蘭と、裕福な家庭を飛び出してきた少女・桃子が加わり、4人は一つ屋根の下で家族のように、仲良く暮らすようになる。

 

下の階からの火事で「れもん」が焼失し、収入源を失い、保険証などを持たず、未成年の花は、銀行口座を作ることも、新しい店舗を借りることもできなかった。花は必死に稼ぐ手段を探すが、生活能力に乏しい黄美子は頼りにならず、蘭と桃子はそのままダラダラ過ごすだけだった。

 

花は犯罪に加担することで稼ぐようになり、蘭と桃子も巻き込む。やがて、3人の間にきしみが生じ……。

 

日本語題名は「黄色い家」だが、表紙には英語で “Sisters in Yellow” とある。

初出は「読売新聞」2021年7月24日~2022年10月20日。
四六判:608ページ。13章。

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで、最大は五つ星)

 

「親ガチャ」に外れた家庭に生まれた花は、まともな生活に入り込みたいのだが、その方法がわからない。ただ、金を溜めることしかできなかった。その金を盗まれて、絶望して家出する。バイトでも、スナックでもただただ一生懸命、バタバタと働いてなんとかしようとするが、見通しとか計画は立たない。懸命に働いても、結局負の連鎖になってしまう。


ようやく4人の疑似家族で楽しく暮らし始めるが、状況が悪化すると、犯罪に手を染めるしかなく、さらに花の狭い考えで蘭、桃子を縛るので、“家族”はバラバラになっていく。

 

女性4人のそれぞれの生き方に興味がある人(女性?)は面白く読めるかもしれない。花のあぶない生き方にハラハラしたりして。しかし、おじいさんにこの内容で600頁はキツイ。

 

 

 川上未映子の略歴と既読本リスト 

 

伊藤花:母親・愛はバーで働くが、金の管理ができない。

吉川黄美子:先の事など考えることができない。左右を覚えられず、右手に墨を入れられた。母親は刑務所。

加藤蘭:キャパクラで働くが稼ぎが悪い。

玉森桃子:親は金持ち。美人の妹にいじめられる。居場所がない。

琴美:黄美子の親友。美人のキャパクラ嬢。

安映水(アン・ヨンス):黄美子の友人。36歳。在日韓国人。兄は雨俊(うじゅん)。

ヴィヴィアン:カード詐欺の元締め。

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