hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

新川帆立の略歴と既読本リスト

2022年10月06日 | 読書2

 

新川帆立(しんかわ・ほたて)

1991年2月生まれ。アメリカ合衆国テキサス州ダラスで生まれ、宮崎県宮崎市で育つ。東京大学法学部卒業。弁護士として勤務。
高校では囲碁の全国大会へ出場。司法修習中に最高位戦日本プロ麻雀協会のプロテストに合格し、プロ雀士としても活動経験あり。作家を志したきっかけは16歳の頃、夏目漱石の『吾輩は猫である』に感銘を受けたこと。

2021年第19回「このミステリーがすごい」大賞を受賞し、『元彼の遺言状』でデビュー。
2022年『倒産続きの彼女』、『剣持麗子のワンナイト推理』『競争の番人』『競争の番人 内偵の王子』『先祖探偵』
2023年『令和その他のレイワにおける健全な反逆に関する架空六法』『縁切り上等! 離婚弁護士松岡紬の事件ファイル
2024年『女の国会』『ひまわり

エッセイに『帆立の詫び状 おっとっと編』、『帆立の詫び状 てんやわんや編

 

司法修習中に最高位戦日本プロ麻雀協会プロテストに首席で合格。1年間だけプロ雀士として活動。

2021年1月より弁護士を休職し、作家業に専念している。

夫の仕事に伴って、アメリカに1年間住み、その後はイギリスへ。

東大在学時代に共に切磋琢磨した弁護士と事実婚。『元彼の遺言状』を3週間で書き上げたが、この間、執筆中は何もできなくなる彼女に代わり、旦那さんが家事全般をこなしてくれたという。

今でも、「実は夫が家事の9割をやってくれています(笑)。……私の担当は、洗濯物をたたむこと。5歳でもできるようなことですが、そのくらいで勘弁してもらっています」

 

 

 

 

 

 

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新川帆立『競争の番人』を読む

2022年10月05日 | 読書2

 

新川帆立著『競争の番人』(2022年5月9日講談社発行)読んだ。

 

講談社BOOK倶楽部の内容紹介

弱くても戦え! 『元彼の遺言状』著者、注目の新鋭が放つ面白さ最高の「公取委」ミステリー。

ウェディング業界に巣食う談合、下請けいじめ、立入検査拒否。市場の独り占めを取り締まる公正取引委員会を舞台に、凸凹バディが悪を成敗する!

公正取引委員会の審査官、白熊楓は、聴取対象者が自殺した責任を問われ、部署異動に。東大首席・ハーバード大留学帰りのエリート審査官・小勝負勉と同じチームで働くことになった。二人は反発しあいながらも、ウェディング業界の価格カルテル調査に乗り出す。数々の妨害を越えて、市場を支配する巨悪を打ち倒せるか。ノンストップ・エンターテインメント・ミステリー!

「デビュー2年目の勝負作です。わくわくドキドキ、ちょっぴり身につまされ、不思議と力が湧いてくる。理屈抜きで面白い王道エンターテインメントを目指して書きました。エンタメの幕の内弁当、どうぞ召し上がれ!」―新川帆立

©Hotate Shinkawa 2022

 

白熊楓が杏、小勝負が坂口健太郎で「月9」(BSフジ)でドラマ化(最終回9月19日)。

 

公正取引委員会(弱小官庁)の審査局の第六(ダイロク)

白熊楓:公正取引委員会の審査官。一般職採用5年目の29歳。空手で常に2位。母は心配性の三奈江。警察官の彼氏は徹也

小勝負(こしょうぶ)勉:東大首席・ハーバード大留学帰りのエリート審査官。総合職採用の27歳。係長。感情を表さない。

遠山:白熊の元上司。荒っぽく感覚的。

桃園:白熊の直属上司。40代、美貌の女性。3社カルテルの主査。

風見:入局22年目の課長補佐。桃園、小勝負、白熊の上司。40代半ば。ホテル3社カルテル事件のキャップ。

本庄:第六審査長。50代半ばのキャリアの女性。

ホテル3社カルテル事件:「Sクラシカホテル」「温泉郷S」「ホテル天沢S」のカルテル

 

豊島浩平:市役所の道路工事発注担当者。白熊が聴取後、自殺した。娘は高2の美月

安藤正夫:「Sクラシカホテル」のオーナー。刺されて意識不明。

天沢雲海:天沢グループ専務。「ホテル天沢S」経営。ホテル長は長澤。ウェディング部門長は碓井

石田正樹:生花業。安藤殺人容疑で逮捕。妻は七瀬

政岡:「温泉郷S」のオーナー

 

 

本書は「小説現代」2021年12月号~2022年3月号に連載。

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで、最大は五つ星)

 

公正取引委員会という権限少なく、強制力不十分、検察・警察などから軽く扱われる弱小官庁を舞台にした独自性はある。

頭脳明晰で無感情の小勝負、体力派の白熊など登場人物のキャラは立っているが、よくあるパターンで、会話や行動は類型的。軽く読めるが、感心するところは少ない。才能はあるのだがら、伊坂幸太郎のユーモアを見習って欲しい。

 

 

新川帆立の略歴と既読本リスト

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若井克子『東大教授、若年性アルツハイマーになる』を読む

2022年10月03日 | 読書2

 

若井克子著『東大教授、若年性アルツハイマーになる』(講談社介護ライブラリー、2022年1月12日講談社発行)を読んだ。

 

講談社BOOKクラブの内容紹介

元脳外科医で、最高学府の教授でもあった夫・若井晋。
その彼が若年性認知症になるとき、本人は、そして家族は、どうしたのか。

長い苦悩をへて病を受け入れ、新たな道へと踏み出した
夫婦の軌跡を、妻・若井克子が克明に描き出す。

●当事者・若井晋が語る「認知症の人から見た世界」とは?
「最初は『何でだ』と思っていました」
「けれども私は私であることがやっとわかった」
「私が見ている感じと、みなさんが見ている感じが違うんです」
「僕の住んでいる世界は、たいへんなんだよ」
「『大変だったなあ』と一言、言ってくれればよかった」

【著者・若井克子の言葉・・・本文より】
晋は若年性アルツハイマー病になって、知識を、地位を、職を失った。
それは、世間からは「地獄」に見えるのかもしれない。
だが私には、むしろ、すべて失ったことで「あるがまま」を得て、
信仰の、人生の本質に触れたように感じられるのだ。

病は人生の一過程に過ぎない。認知症になっても、私は私であることに変わりはない――。
認知症患者800万人時代を生きるための必読書がここに!

 

第1章 旅に出る 診断、そして東大を離れて南へ

東大医学部教授であった夫・晋(すすむ)のアルツハイマー病発症から確定診断を受け、教授職を退くまでの葛藤が描かれる。

年数回と海外出張も多く、激務で、下痢が続く54歳の晋が、漢字が書けなくなった。しかし自分でMRI画像の海馬を見ても異常が無い。道に迷う、執筆ができない、57歳頃にはATMでお金が下ろせない、学生の論文が読めない、些細な事で腹を立てるようになった。晋だけが「自分がアルツハイマー病の可能性を疑い、違うことを証明しよう」としていた。しかし、米国でのトランジェットに迷い、めまいも起こるようになった。ぎりぎりまで自分を認知症だと思いたくなかったが、ついに定年まで2年半を残し退職を決意した。

克子さんが必死の思いで受診を進めると、晋はややあって「行くよ。でも、東大系の病院はいやだ」 しかし、まだ心は揺れ続け、さまざまな検査を受け、アルツハイマーの診断が下った。2006年3月、59歳で退官した。

 

第2章 南国の日々 南国で見つけた、ささやかな居場所

退職して沖縄に移住した。文字が読めなくなった晋に代わり沖縄戦の英語の本を克子が音読し、訳して二人だけの読書会、散策など穏やかな2年間を過ごした。

 

第3章 告白 アルツハイマー病を公表する

第4章 人々のなかへ 講演行脚の日々と、気づかされたこと

医学雑誌のインタビューを期に病をカミングアウトし、全国を講演でめぐる10年余りの日々。

 

第5章 彼の住む世界 晋は何を感じ、考えているのか

2015年、晋の要介護度は5となり、自宅で寝たきりになった。克子さんが読み取った晋の言葉の意味。

「ちがう」→「僕は今までの僕とは違う。理解しようとすると頭が疲れてきてわからなくなる」

「場所が違うんだ。やめてくれ」→「場所が我家とちがったり、知らない人に何か言われても理解できない」

ひとつのお皿のものだけを集中的に食べる→「僕の住んでいる世界はたいへんなんだよ。いろいろな種類を食べなくてはと思っても、できないんだ」

 

 

私の評価としては、★★★★★(五つ星:読むべき、 最大は五つ星)

 

バリバリと働いている時に、自分がアルツハイマー病の疑いがあると知った時の驚きはいかばかりかと思う。医学部教授であっても、何とか否定したいと思うのだろう。
また、病気の人や周囲の人の役に立ちたいと、病を告白して、言葉も不自由なのに自分をさらして講演するとは!

 

認知症の人が一見意味のない言葉を言ったり、叫んだりするのにも、当たり前と言えばそうだが、意味があることを教えてもらった。それが解るのはいつも傍に居て愛情深く見つめている人だけだとも。

 

克子さんは私のかってのボランティア仲間だ、評価が五つ星と甘くなるのは致し方ない。日本女子大卒業後のことはまったく知らなかったが、劇的な人生を送られたようだ。今は4人お子さんがいて、お孫さんも? と穏やかな生活を過ごされていることだろう。それにしても、当時からまことに敬虔なキリスト者であった。

 

 

若井克子(わかい・かつこ)

香川県生まれ。日本女子大学在学中にキリスト教に入信。卒業後は徳島県の県立高校などで教諭として勤務し、1974年、当時は勤務医だった若井晋と結婚する。二度の海外生活などを経て、1999年、夫が東京大学の教授に着任するが、若年性アルツハイマー病とそれにともなう体調不良により退官。以後、認知症の当事者とその家族として各地で講演活動を行いながら、2021年に夫が最期を迎えるまでサポートを続けた。

 

若井晋(すすむ)

1972年東京大学医学部卒
1974年克子と結婚
1981年台湾彰化基督教病院脳神経外科医長
1983年アメリカ国立衛生研究所研究員
1991年日本キリスト教海外医療協力会主事
1999年東京大学大学院医学系研究科・国際地域保健学教室教授
2006年早期退職

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今朝の朝焼け

2022年10月02日 | 日記

 

10月2日、朝5時31分。5時36分の日の出前。

南の空が朝焼けだ!

東から西へスマホを振る。

 

 

日が出て、あっという間に、ばらけて消えて青空に。

早起きは3文の得。

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藤井一至『大地の五億年』を読む

2022年10月01日 | 読書2

 

藤井一至著『大地の五億年 せめぎあう土と生き物たち』(ヤマケイ文庫2022年7月5日、山と渓谷社発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

今から5億年前、地球上に「土」が誕生した。ひたすら土を食べて土壌を耕すミミズ、岩を溶かすように進化したキノコ、土で塩分を補給するオランウータン……。土は動植物の躍進を支えるとともに自らも変化し、恐竜の消長や人類の繁栄に大きな影響を及ぼしてきた。土の中に隠された多くの謎をスコップ片手に掘り起こし、土と生き物たちの歩みを迫った壮大なドキュメンタリー。文庫化にあたり書き下ろしのあとがきを収録。

 

山と渓谷社」の新書発行時の内容紹介も引用。

生き物たちの営みを「土」から理解するための一冊。
生命の進化・絶滅から、生き物たちの共生関係、そして農業という人の営みや戦争の原因まで。
「土」から考えてみれば、そういうことだったのか! と納得できることがたくさんあります。
5億年前、岩石砂漠だった大地に生まれた土。
本書では、土壌学者である著者が世界中を飛び回って見て来た土を訪ねながら、その歩みを追います。
土をめぐる自然現象の精緻さと、過酷な条件下でたくましく生きてきた動植物、そしてヒトへの驚きと感動が詰まった一冊です。

 

 

まえがき

多くの惑星は岩石の風化によって生まれた砂や粘土で覆われている。地球の歴史46億年の中で、41億年目まで地球にも土はなかった。今から5億年前に植物が陸に上がったことで、砂や粘土に腐った動植物遺体が混ざり、土が生れ、緑と土に覆われた大地が誕生した。この土が、植物、昆虫、動物、人間を養い、逆に土も養われている。土壌の生成には数百年から数百万年かかり、現在では、平均すると厚さ1メートルになって大地を覆っている。しかし、人口増加、経済高度化などによる砂漠化、酸性雨、熱帯雨林の減少など土は危機に瀕している。

 

プロローグ 足元に広がる世界

一般には、土壌とは岩石の風化によって生まれた砂や粘土に腐った動植物遺体が混ざったものと定義される。

土壌の生成には数百年から数百万年かかる。

雨が少ない砂漠では蒸発などで炭酸カルシュウムを含んだ水が上昇し、水を失ったところで沈殿し、土はアルカリ性となる。雨が多い森林地帯の土は、炭酸カルシュウムは流れ、弱酸性になる。また、植物や微生物が放出する酸性物質によって土は徐々に酸性に変わっていく。

 

 

第1章 土の来た道:逆境を乗り越えた植物たち

池で浮いていた藻が陸に上がりコケになった。コケや地衣類は有機酸を放出して岩を溶かして初めての土を作った。

(赤毛のアンの舞台・カナダ東海岸のプリンスエドワード島の土は鉄酸化物により赤い。4億年前、プリンスエドワード島は赤道近くにあって熱帯土壌だった。その後、2億年かけて赤道を渡り現在の位置まで移動したのだ。)

3億年前、樹木(裸子植物)は木質成分・リグニンを生みだし、幹の強度を高めて高くなり、風雨に強く、害虫への防御力を高めた。土の微生物はリグニンを含む植物遺体はまずく食べ難く、土の中に倒木や落ち葉などの有機物が蓄積した。これらが石炭となった。

2.5億年前、白色腐朽菌によりリグニンを分解し、木材を白く腐らせるキノコが生れ、有機物が分解され始め、石炭蓄積時代を終らせた。
(キノコとは、飯食のためキノコ(子実体)をつくる微生物で、担子菌(たんしきん)や子(し)のう菌の総称)

 

亜熱帯の林では雨が多く、土や岩石を風化させ、カリウムやカルシウムを流し、酸性になり、長年の後には栄養分の少ないアルティソル(究極の土)になる。

熱帯の土は貧栄養で、肥沃な表土は薄く、その下には風化した養分の少ない土がある。雨が多く酸性になるほかに、さらにリンが欠乏する。熱帯では岩石の風化が早く、土壌にリンを供給する岩石が少ない。

 

第2章 土が育む動物たち:微生物から恐竜まで

落ち葉は10%ほどの美味しい成分と90%の食べにくいセルロース(多糖類)とリグニン(木質成分)からなる。微生物は分解酵素「セルラーゼ」を出してセルロースをグルコース(ブドウ糖)に分解しエネルギー源にする。ヒトはセルラーゼを持たず、野菜の主成分・セルロースを消化できず、腸内細菌で分解しエネルギーを得るしかない。ヒトの腸内細菌は1.5Kgにもなる。

 

第3章 人と土の一万年

現在の日本では窒素肥料が過剰で余った窒素は硝酸に変わり、土の酸性化を進める。

 

第4章 土の今とこれから:マーケットに揺れる土

日本では、窒素肥料を硫安タイプから多少高いが尿素タイプに代えることで酸性化のリスクは少なくなった。

 

文庫版あとがき

土を耕し過ぎると10年のうちに厚み1㎝の土が失われるが、その土が再生するには100年から1000年の時間がかかる。持続的に土を利用できなければ、ニューヨークも東京も、メソポタミア文明の廃墟と同じような末路をたどるかもしれない。

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで、最大は五つ星)

 

土の不思議に興味がある私のような変わり者は是非読んで欲しい。

 

ただし、過去と言っても5億年もの歴史をたどるので長い話になる。余談が多く、話は面白いのだが、途中で本筋が見えなくなりそうになる。

 

内容としても、岩石、キノコなどの菌類、材木や作物、ヒトなどの動植物が複雑に絡み合い、進歩したり、退歩して消えて行ったり、歴史的経緯と共に複雑な関係を説明しているので、ややこしすぎる。

 

 

藤井一至(ふじい・かずみち)

1981年富山県生まれ。

2009年京都大学農学研究科博士課程修了。京都大学博士研究員、日本学術振興会特別研究員を経て、国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所主任研究員。
専門は土壌学、生態学。

インドネシア・タイの熱帯雨林からカナダ極北の永久凍土、さらに日本各地へとスコップ片手に飛び回り、土と地球の成り立ちや持続的な利用方法を研究している。

第1回日本生態学会奨励賞(鈴木賞)、第33回日本土壌肥料学会奨励賞、第15回日本農学進歩賞受賞。『土 地球最後のナゾ』(光文社新書)で河合隼雄賞受賞。

 

 

レゴリス:砂や粘土の堆積層

地衣類:カビ(菌類)と藻類が共生した生き物

泥炭:植物遺体が分解されずに堆積した土壌。ピートモス(園芸用の土)。

 

日本は海に囲まれた小さな島国で、3千メートル級の山から海へ急流が流れる。明治政府のお雇い技術者ヨハネス・デ・レーケは「これは川ではない、滝だ」と言ったという。

 

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