一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第36回将棋ペンクラブ大賞

2024-09-09 23:02:50 | 将棋ペンクラブ
きのうの当ブログのアクセスは、1656UU、3660PVだった。内容は大したことないのにこれだけアクセスが増えたのは、「日本将棋連盟100年」が各サイトでにぎわっていたからだろう。
期待して当ブログを読んだ方には、申し訳なかった。

   ◇

いまさらだが、第36回将棋ペンクラブ大賞をお知らせする。

【観戦記部門】
・大賞
若島正 第71期王座戦第3局 ▲藤井聡太七冠VS△永瀬拓矢九段(日本経済新聞)
・優秀賞
後藤元気 第81期名人戦第1局 ▲渡辺明名人VS△藤井聡太竜王(朝日新聞)

【文芸部門】
・大賞
弦巻勝 『将棋カメラマン:大山康晴から藤井聡太まで「名棋士の素顔」』(小学館)
・優秀賞
松本博文 『棋承転結 24の物語 棋士たちのいま』(朝日新聞出版)

【技術部門】
・大賞
藤井猛 『藤井猛全局集 竜王三連覇とA級の激闘』(マイナビ出版)
・優秀賞
金子タカシ 『ロジカルな必死200』(浅川書房)

【特別賞】
熊澤良尊  『駒と歩む』(名駒大鑑刊行会)
半世紀に渡る駒作りと駒の研究、『駒と歩む』の出版等に対して


観戦記部門の大賞は若島正氏。若島氏は詰将棋の大家だが、観戦記者としてもむかしから良作を発表している。
大賞局は、永瀬王座の研究量の深さ、藤井七冠の終盤力の凄さがよく表現されていた。
なお若島氏は、本戦トーナメントの▲村田顕弘六段VS△藤井七冠戦でも観戦記を担当していたが、藤井七冠渾身の勝負手「△6四銀」の「感激度合い」がちょっと薄かった。やはり、大賞局のほうが勝る。
優秀賞は後藤元気氏。後藤氏は古今東西の観戦記に精通しており、「将棋観戦記コレクション」の著書もある。
本局は、開幕局にふさわしい書き出し。歴代の名棋士も多数登場し、筆者の知識の深さを思わせる。ただそれゆえ、対局者の存在感がほんのわずか薄くなったのが残念だった。
また、序盤をじっくり描いた分、中盤が駆け足になったのが惜しまれた。
今回も入賞は2本ともタイトル戦になったが、予選の将棋でもキラリと光る観戦記もあるはずだ。選考委員は、フラットな視線で選考を進めてもらいたい。
文芸部門の大賞は弦巻勝氏。将棋カメラマン50年の弦巻氏が、50年分のエピソードを1冊にまとめている。これが面白くないわけがない。
優秀賞は松本博文氏。松本氏はLPSAの対局中継のレギュラー執筆者でもあり、LPSA女流棋士との親交が深い。本書にもLPSA女流棋士が多く登場するのがアレだが、だからこそ引き出せた話も多く、面白く読めた。
技術部門はどちらも未読だが、藤井猛九段、金子タカシ氏とも、出す棋書はどれも折り紙付きである。
藤井九段のそれは口述だかライターがいるのか分からないが、大盤解説での軽快な口調をそのまま文章にしたとすれば、こんなに面白い技術書はないと思う。
金子氏の本は、問題と解答をすべて暗記してしまうのがいいと思う。対局で似た局面が現れたとき、その局面に見覚えがあるのとないのとでは、エライ違いである。
熊澤良尊氏の本は、美術書というべき。棋士なら必携すべきである。だけど、買わないんだろうなあ。

恒例の贈呈式は、10月5日(土)、神保町の出版クラブホールで行われる。参加費はちょっと上がって9,000円。カネを払って、他人の受賞を祝う。まことにバカバカしいが、受賞者には、時の勢いがある。参加して、良運を頒けてもらおうか。
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「将棋ペン倶楽部 通信63号」

2024-07-12 23:12:08 | 将棋ペンクラブ
先月、「将棋ペン倶楽部 通信63号 2024年夏号」が発行された。
今号の表紙は、5月25日に行われた、関東交流会の一コマ。堀彩乃女流初段に対峙しているこのオッサンは誰だ、と思ったら、どうも私っぽい。うしろから見ると、意外と禿げていない。私の場合、頭頂部が禿げており、それが前方まで波及している。だから鏡を見るのがきつい。
巻頭は3氏による関東交流会のレポート。岡松三三さんはペンクラブの専属カメラマンだが、ほかのK氏,
M氏は初投稿だ。K氏は以前当ブログにも登場したが、元高校竜王の現役東大生で、交流将棋対局では美馬氏に勝った。
残念なのは、その将棋に触れているも、局面が載っていなかったことだ。K氏の棋力なら指し手を覚えているはずで、それを紹介してほしかった。
もうひとりのM氏は将棋初心者だが、将棋対局では最後に勝てて何よりだった。
美馬和夫氏の「将棋狂の詩」は、「親将物語」の続編。前回、予選決勝で勝ち将棋を負けてしまった娘さん。私の予想通り、娘さんは全国大会に進出できたのだが、それは意外な理由からだった。
天童での全国大会で、娘さんは父親直伝の振り飛車穴熊を指す。これがなかなかサマになっていて、さすがに蛙の子は蛙である。
娘さんは高校に入っても将棋を続け、3年生の大会を終える。ここでなんと、次号に続く、である。今号は中編で、次号が後編なのだった。
今号は私も投稿している。題して「タイトル戦の持将棋」で、2019年に当ブログに発表したものを加筆・訂正した。具体的には今年2月の第49期棋王戦第1局、それに3年前の叡王戦2局の持将棋を加えている。
最初は棋王戦だけを加筆したのだが、直後に叡王戦を失念していたことに気づいた。この叡王戦はタイトル戦史上初の連続持将棋で、七番勝負が十番勝負になったことでも話題になった。この記事を書けたのは大きかったと思う。
なお持将棋は現在、「入玉宣言法」や「500手ルール」があるが、本文とは趣旨が異なるので、割愛した。
今号の投稿は、むかしの分量規定の4ページぴったりだった。別に計算したわけではないから私が天才的なのだが、編集部がうまくやってくれたのだろう。編集部の皆様にはいつも感謝している。
中山氏は「春のアウトドアイベント」として、3つのイベントを紹介している。そのうちの一つ、「シモキタ名人戦」は私も何度もお邪魔したが、ここ何年かはよんどころない事情で、お邪魔できないでいる。よって本文も、読みたいような読みたくないような、複雑な気分だった。
土日や祝日を当たり前のように休める環境に戻りたいが、いつになるだろう。
そのほかにも常連氏の執筆があり、全部で40ページ。冊子号は、せめて48ページはほしいが、会員が投稿してくれないことにはどうしようもない。新人の投稿を待つ。
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将棋ペンクラブ関東交流会(4)

2024-06-29 23:46:03 | 将棋ペンクラブ

第8図以下の指し手。△――
まで、87手で一公の勝ち。

「負けました」
第8図で、なんと加藤結李愛女流初段が投了してしまった。私はびっくりである。
「△8六角成▲同玉△8四飛があるじゃないですか」
私は言う。以下予定では▲8五飛だったが、△8二飛▲同飛成に△6四角の王手竜がある。
よって▲8五飛では黙って▲8五歩か。以下△8二飛(参考B図)。

このとき、先の「▲2二金△4一玉」の交換が不必要になってくる。これがなければ、▲2一飛△同玉▲2二銀で上手玉が詰むのだ。
……あ、そうか。だからやはり「▲2二金△4一玉」はいらなかったのだ。この詰めろを残しておけば、上手は△8四飛の王手馬を掛けるヒマがない。△2三金と成桂を取れば、▲8五歩とでも打って下手必勝なわけだ。
もっとも参考図でも、▲3三成桂と取る手が大きく、下手の有利は動かない。
いずれにしても加藤女流初段は劣勢を自覚し、潔く駒を投げたというわけだった。
「大沢さん、▲3三飛成と金を取るとき、すごい迫力でしたよ」
と山野氏が言った。私の背後で観戦していたらしい。
自分ではそのつもりはなかったが、知らず知らず、加藤女流初段に脅威を与えていたのかもしれない。
その山野氏と手合いがついた。彼は横歩取り△4五角をやる気満々なので、私が先手を持って指す。

定跡通り進んだが、図の△4五桂が見慣れぬ手。ここは△5四香が定跡で、以下▲8五飛△2五飛▲同飛△同歩▲8五飛と進んだ気がする。
本譜は▲6六馬と引いたがやや疑問だったようで、△5四香と畳みかけられ、形勢を損ねた。
終盤も私の惨敗形なのだが、山野氏は詰ましに来ない。だから私が詰ましにいったが、全然詰まないのに山野氏が雑な玉の逃げ方をするので、詰むや詰まざるやになってしまった。
結局詰まず、私が投了。すると、観戦していた美馬氏が「この筋で詰まない?」と言う。調べるとそれでも詰まなかったが、際どかった。さすがにアマ強豪の視点は違う。
これで対局は終了。全体的に、女性の参加者が少なかった。たぶん1人で、数人が集った数年前とはエライ違いである。いまは「観る将」が流行りだが、私たちは「書く将」「読む将」で、女性ファンの入る余地は少ない。これの女性陣が気づいてしまった。
表彰式&自己紹介では、5勝の人がいた。見たことのない若者で、彼はどこから来たのだろう。
私は2勝だったが、意外と早く呼ばれた。
「私は女流の先生から2勝したんですけど、女流からの勝利は1勝で10勝分になるので、きょうは私が最多勝だと……」
景品は、加藤女流初段の「結実」の色紙をいただいた。
全員の自己紹介が終わっても棋書がはけないので、追加で1冊、持っていっていいことになった。私は中原誠十六世名人と南芳一九段の著書と迷ったのだが、南九段の「地蔵流実戦次の一手」(マイナビ出版)をいただいた。
ここから懇親会である。こういうとき、将棋会館と違い、椅子と机がくくりつけなのでラクだ。缶ビールやつまみが揃い、乾杯となる。音頭はもちろん窪田義行七段。会場が御徒町に移ってすっかり棋士の参加がなくなったが、窪田七段だけは、毎年参加してくださる。ありがたいことだ。
軽食は湯川恵子さんのお手製。恵子さんの料理はいつも美味い。これをいつもいただける博士氏は幸せ者なのだが、当人がそれに気づいているかどうか……。
私の対面にはA氏がおり、ふたりでおしゃべりしていたら、周りに何となく集まってきた。
この中で異色だったのがK氏で、彼は元高校竜王。現在は東京大学に通っているという。今回は美馬氏に勝ったらしく、そういえば美馬氏は4勝1敗だったが、その1敗はK氏に食らったものだったのだ。
K氏は関西が地元らしく、今回はわざわざ東京までお疲れ様、と思ったら、東大だからもう東京に住んでいるのだった。
しかし東大か……。どういう勉強をしたら東大に入れるのかと思うが、当人は勉強でつらかった記憶がないという。
どうも、彼には将棋と受験勉強が同列なのだろう。受験勉強も将棋と同じく楽しかったに違いなく、乾いたスポンジに水が吸い込まれるごとく、知識を得ていったのだろう。
そんな彼には社団戦に入ってもらいたいが、彼はすでに東大チームからスカウトが入ったという。それじゃダメだ。
いっぽう美馬氏はあす5月26日、アマ竜王戦茨城県予選2日目に出場するという。そのため同日の職団戦は休まざるを得ないという苦渋の選択となった。お疲れさまである。
懇親会は2時間の予定だったが、1時間で終了。なお、まだ棋書が余っている、持って帰ってよい、とのことだったので、中原十六世名人「決断の一手!」(楽天ブックス)をいただいた。
二次会があったのかなかったのか知らぬが荷物も多くなったし、「あさこ・梨乃・かしゆかの5万円旅」も見たかったので、そそくさと帰宅したのだった。
また来年、何事もなく参加できればうれしい。
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将棋ペンクラブ関東交流会(3)

2024-06-28 22:53:33 | 将棋ペンクラブ

第8図以下の指し手。▲5三銀(途中図)

△4一玉▲6三飛成△6七歩▲4二銀打△同金▲同銀成△同玉▲3三歩成(投了図)
まで、131手で一公の勝ち。

私は中空に▲5三銀と打った。これが起死回生の好手で、こちらを見た堀彩乃女流初段の視線が止まった。「なにこれは?」という顔だった。
▲5三銀を△同玉は▲4三歩成(両王手)△同玉▲6三飛成△4二玉▲5三角成△4一玉▲5二竜(参考図)まで詰み。よって堀女流初段は△4一玉と逃げたが、私は▲6三飛成として、たちまち必勝形になった。

なお蛇足だが、▲5三銀で▲4三銀は、△6二玉と逃げられる。
本譜▲6三飛成に△3一玉の早逃げは、▲3三歩成△同金▲4二銀打で寄り。よって堀女流初段は△6七歩と形を作った。以下は▲4二銀打~▲3三歩成まで、堀女流初段の投了となった。

投了以下は、△3一玉に▲3二歩が利いて詰みである。
「ああそうか、次の一手みたいな手がありましたね」
と堀女流初段。私は「はあ」とそっけないが、内心はうれしい。
「でも棒銀で来るかと思ったら銀を引かれて、意表を衝かれました」
私は苦肉の策だったが、上手の目にそう映ったことは意外だった。
私はだいぶつらい将棋だったが、何とか勝てて安堵した。私の灰色の人生で、将棋に勝つことだけが、唯一の光明だ。下手が気づかないくらい、適当に緩めてくれた堀女流初段には、心から御礼を申し上げたい。
加藤結李愛女流初段のところは、まだ山本氏だけなので、加藤女流初段にも指導対局をお願いした。

初手からの指し手。▲7六歩△8四歩▲6八銀△3四歩▲7七銀△4二銀▲2六歩△3二金▲4八銀△6二銀▲7八金△5四歩▲5六歩△8五歩▲6九玉△3三銀▲5八金(第1図)

加藤女流初段に指導対局を受けるのは初めて。加藤女流初段は勉強熱心というで、古今の将棋を研究しているイメージがある。
畏れ多くも本局も平手で、私はやはり矢倉を志向した。問題は上手がどこで変化してくるかで、急戦矢倉や例の△5二玉型まで、どこででも変化の可能性がある。

第1図からの指し手。△3一角▲6六歩△7四歩▲7九角△5二金▲3六歩△4四歩▲6七金右(第2図)

現在加藤女流初段は二面指しだから一局に集中できないが、それにしてもそっぽを見ていて、この将棋を考えているようには見えない。
それでもふっと思い出したように指す。これが加藤女流初段の考慮スタイルなのだろう。
アレッ?と思ったのだが第1図からの△3一角で、急戦矢倉は居角が常道だから、これは正調相矢倉になるということである。さすがに加藤女流初段、下手の指したい手に追随してくれるのである。

第2図以下の指し手。△6四角▲3七銀△4一玉▲6八角△3一玉▲7九玉△5三銀▲8八玉△2二玉▲1六歩(第3図)

△6四角もなつかしき昭和の手で、こう覗くことにより、先手の作戦を見るわけだ。私は銀を上がり、またも棒銀の構え。ただしこれは、▲4六銀と上がる手も見ている。
▲1六歩の打診に、次の手は意外だった。

第3図以下の指し手。△4二銀右▲1五歩△4三銀▲3八飛△9四歩▲9六歩△7三角▲1七香△6四歩▲4六銀△8四角▲3七桂△4二金右(第4図)

加藤女流初段は△4二銀右と引いた。下手の攻めを待っているのだろうが、受けすぎの気もした。▲1五歩に△4三銀。なるほどそれで、△4三金右を保留していたわけだ。ただ、ほかに有効な指し手があったのではないだろうか。
私は▲4六銀と出て、▲3七桂と跳ねる。同じ加藤でも加藤一二三九段が得意にしていた戦法で、これが名人や十段獲得の原動力になった。
△4二金右に、いよいよ仕掛ける。

第4図以下の指し手。▲3五歩△同歩▲2五桂△2四銀▲3五銀△同銀▲同角△8六歩▲同歩△6五歩(第5図)

▲3五歩と開戦する。のちに3筋に歩を打つ意味でもこの手は必須だ。しかしこの手が令和の時代になっても指せるとは思わなかった。
△3五同歩に▲2五桂の跳躍がうれしい。昨今では飛車先の歩を2つ伸ばすが、昭和後期は1つで止めるのが主流だった。それもこの桂を跳ねるためである。
△2四銀に▲3五銀から銀を捌いて好調。△8六歩▲同歩の次、△2四銀の辛抱を考えていたが、加藤女流初段は△6五歩。このまま下手に攻めさせてくれるのかと思ったら、やっぱり反撃された。まあ、そうであろう。
とはいえ私も、攻めを継続するのみである。

第5図以下の指し手。▲3三歩△同桂▲1三桂成△3一玉▲4六角△7三角▲3四歩△3七歩(第6図)

▲3三歩△同桂と取らせて、▲1三桂成とこちらに行くのが筋。これを△同香は▲1四歩で、これが▲1三角成△2一玉▲1二銀までの詰めろになる。
よって加藤女流初段は△3一玉と逃げたが、ひとつは△同香と桂を入手すべきではなかったか。
私は角を引き、▲3四歩の桂取り。そこで△4五桂を考えていたが、加藤女流初段は△3七歩と打った。ここは考えどころである。

第6図以下の指し手。▲3三歩成△同金直▲3七飛△8七歩▲同玉△6六歩▲同金△8五歩▲2三成桂△8六歩▲同銀(第7図)

第6図で▲3七同飛は、△4五桂で後手を引く。米長邦雄永世棋聖の至言「風邪を引いても後手引くな」が思い出される。
▲3三歩成としたとして、△3八歩成のときどうするか。▲3二と△同玉(△同金は▲7三角成△同桂▲6四角)で、持駒に金銀桂歩。それに角が加わり、攻め切れるかどうか。
でも桂得の実利は魅力なので、▲3三歩成と踏み込んだ。すると加藤女流初段は△同金直。この桂得は大きかった。
加藤女流初段は△8五歩の継ぎ歩。これに▲2三成桂としたのが失着で、かなりのリードをフイにした。
ここは▲8五同歩と取り、玉頭をしっかり応接するのだった。△8六歩に▲同銀と露出する形になり、ちょっと気持ち悪くなった。

第7図以下の指し手。△4六角▲同歩△5九角▲3三飛成△同金▲6四角△4二銀(途中図)

▲2二金△4一玉▲8二角成(第8図)

加藤女流初段が素早い動きで△4六角とした。これは意外で、盤上から双方の角がいなくなると、私のほうに王手飛車(▲6四角)の狙いが残る。よってありがたい気もしたのだが、続く△5九角が継続の手で、私の楽観ムードは吹き飛んだ。加藤女流初段、下手に攻めさせるだけ攻めさせて、一瞬のスキに反撃し、もういい勝負になっている。さすがプロだと思った。
もっとも△5九角には▲3三飛成が用意の手で、以下王手飛車が決まった。
ただし△4二銀(途中図)のときが考えどころで、ここ、ふつうに▲8二角成とすると、△2三金と成桂を取られてしまう。そのとき▲3九飛の王手角取りがあるが、△3七飛(参考A図)の逆王手で切り返されてしまう。

それで、甚だ遺憾だが▲2二金で成桂をつなぎ、△4一玉に▲8二角成と飛車を取った。この金を打たなければ、▲8二角成が▲2一飛△同玉▲2二銀までの詰めろになったのだが、やむを得なかった。
というわけで、本譜も難しいことは難しい。私はいっそう気を引き締めた。
ところが……。

(つづく)
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将棋ペンクラブ関東交流会(2)

2024-06-27 22:24:28 | 将棋ペンクラブ

第2図で私は、△3三玉と逃げるつもりだった。だが、いったん△1三同歩と取り、▲同香成に△3三玉と逃げれば、香を1枚得できる。それで△1三同歩と指したのだが、ミスター中飛車氏に黙って▲2五桂と打たれ、愕然とした。
いままでさんざん受けてきたのに、また受けるのか……。そう思ったらバカバカしくなって、投了してしまった。
ところが、これを観戦していた五段氏が、「投了は早いでしょ」と言った。
どうもクリアな目で見ると、この局面は私が有利だったらしい。後手は▲4九金をいつでも取れる形で、△3九馬と飛び込む変化もあるので、相当楽しみがあるらしい。後手は3一に逃げられるのが大きいという。
いずれにしても、私に勝利の執念がなかったということだ。
指導対局に空きが出たので、入ろうと思う。ただ、加藤結李愛女流初段のこちら側で指している女流棋士が分からない。……あぁ……あれ? あれが堀彩乃女流初段か!? 堀女流初段といえば黒のスーツがトレードマークだったが、ずいぶん明るいお召し物だ。何があった!?
1,000円を払い、堀女流初段との指導対局に入る。改めて、白のブラウスに臙脂のスカートで、別人のようである。
「堀先生、女流初段昇段、おめでとうございます」
「ありがとうございます」
「(昇段が)遅いですよ」
この一言が余計なのである。いずれにしても、イメージチェンジした堀女流初段は、大いに好感が持てた。

初手からの指し手。▲7六歩△8四歩▲6八銀△3四歩▲7七銀△6二銀▲2六歩△3二金▲4八銀△4二銀▲7八金△4四歩▲5六歩△4三銀▲6九玉△8五歩▲3六歩△7四歩▲2五歩△3三角(第1図)

私が入って、3面指しになった。左は湯川博士幹事で、どうも飛車落ちのようだ。湯川氏が将棋を指すのは珍しいが、何があったのだろう。局面は湯川氏が勝勢である。
右は阿部氏が指しているが、局面は芳しくない。
私は平手で、私は矢倉を志向した。矢倉はあまり好きではないが、食わず嫌いだったところもあり、この歳で改めて勉強である。
近年「相矢倉」は将棋界の死語になったから堀女流初段の作戦が注目されたが、雁木だった。昨今は意味不明の中住まいが流行っているが、それを思えば、雁木は大人しい作戦といえる。

第1図以下の指し手。▲3七銀△5四歩▲5八金△7三桂▲6六銀△6四歩▲2六銀△6五歩▲5七銀△4二角▲4六歩△8六歩▲同歩△同角▲8七歩△6四角(第2図)

このあたりが作戦の岐路だが、私は▲3七銀と棒銀に出た。藤井聡太竜王・名人がタイトル戦で、相手の雁木に棒銀で出ていた。よってこの作戦は合っていると思う。
堀女流初段が△7三桂と跳ねたところで、阿部氏の将棋が終わった。やはり堀女流初段の勝ちだったようで、堀女流初段は丁寧に要点を教えている。
私は▲6六銀と出たが、数手後△6五歩と突かれ、▲7七銀と引くようでは何をやっているか分からないので▲5七銀と引いたが、これは玉が薄くなってよくなかった。
堀女流初段は要所に角を据え、十分の形勢といえるだろう。私はこのあたり、まったく自信がなかった。

第2図以下の指し手。▲3七銀△3三桂▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲2七飛△5二金▲9六歩△9四歩▲1六歩△8一飛▲2六銀△6三銀(第3図)

第2図で▲3五歩といきたいのはヤマヤマだが、私は▲3七銀と辛抱した。飛車のコビンが間接的に狙われているのを嫌ったのである。
とはいうものの、私は待つ手もなくなって、再び▲2六銀と出た。相変わらず何をやっているのか分からないが、1局目の轍は踏まぬよう、暴発しないことを心掛けた。

第3図以下の指し手。▲3五歩△5三金▲3四歩△同銀▲3七飛△4三金寄▲2七飛△2四歩▲3五歩△2三銀(第4図)

ここらあたりで湯川氏の将棋も終わったようである。やはり湯川氏の勝ちで、快勝といったところ。堀女流初段は、「面白い構想で、感心しました」と対局者を持ち上げる。湯川氏も、「そうだね、この進行ならいけると思った」と、満更でもない様子。これが指導対局の神髄で、下手を悦ばせることが肝要なのである。
私は▲3五歩。今度は桂頭を攻める味があるから、▲3五歩の意味はある。
堀女流初段は△5三金と上がった。ここ△3五同歩は▲同銀△3四歩に▲2四歩でどうか。
ほかには△4五桂と跳ねる奇手もあるが、▲同歩と取り、△1九角成に▲4四歩で銀を取れるから、下手が指せると思った。
▲2七飛の局面では△4五桂の筋が復活していたが、堀女流初段は△2四歩。私は▲3五歩と打ち、ここの位が取れれば、まずまずだと思った。

第4図以下の指し手。▲3七銀△4二玉▲3六銀△1四歩▲3七桂△9五歩▲同歩△9六歩▲7九玉△9五香▲9八歩△5二玉(第5図)

2筋を強化されたところをこじ開けにいっても無理なので、私は再び▲3七銀と引く。▲3六銀と位を確保し、桂を活用した。こうした手に悪手はないと思う。
堀女流初段は△9五歩。さすがにいちばんイヤなところを突いてくる。▲同歩に△9六歩か△9七歩かは難しいところで、今年の名人戦第1局でも、似た筋で藤井聡太竜王が熟考する場面があった。
堀女流初段は△9六歩を選び、私は謝りまくった。
第5図でも、私は我慢する。

第5図以下の指し手。▲1七香△7五歩▲7七角△9一飛▲7五歩△同角▲4五歩△7六歩▲8六角△8四角▲4四歩△同金▲4五歩△4三金引▲2五歩△同歩▲同桂△2四歩▲3三桂成△同金上(第6図)

左では加藤女流初段の対局相手がいなくなり、加藤女流初段は所在なさげだ。
しかし新規で入った山野氏は堀女流初段の前に座る。あえて後手番を所望し、横歩取りの将棋を指す。むかし懐かしい「△4五角戦法」だ。私もかつて愛用したことがあるが、指してみると奥が深いのだ。
加藤女流初段のほうはしばらくして、山本氏が入った。山本氏は駒を並べながら冗談連発で、とても指導対局を指す雰囲気ではない。でも和気藹々として、いいと思った。
私は▲1七香と我慢した。上手にこれといった手がないことを見越したもので、我ながらこの対局のときは、妙に冷静だった。
私は▲1七香と浮いた。ここでも我慢の一手で、暴発はしない、の意気が窺える。
堀女流初段は△7五歩と突っかけた。私は▲7七角と上がる。これが狙いの手で、香を守って堀女流初段は△9一飛。そこで▲7五歩△同角に▲4五歩。堀女流初段は△7六歩と打ったが、そこで▲8六角とぶつけた。
これに△同角▲同歩なら、次に▲8二角があるので、先手を取れる。よって堀女流初段は△8四角と、交換を避けた。堀女流初段も、「本気」である。
しかし私は4筋の位も確保し、桂を持てば▲4四桂がある。その桂を入手すべく、桂を交換した。

第6図以下の指し手。▲4六桂△8八歩▲同金△7四桂▲5九角△6六歩▲3四歩△3二金▲6六歩△同桂▲同銀△同角▲6七飛△6五歩▲2六角△3九角成(第7図)

▲4四桂は両取りじゃなくなったので、▲4六桂と控えて打った。しかしこの瞬間がなんでもないので、堀女流初段の反撃が始まる。
△8八歩▲同金を利かし、△7四桂が厳しい。▲5九角△6六歩には▲3四歩△3二金のあと、銀桂交換を甘受した。でも、のちの▲4四桂が楽しみである。
それなのに私は、▲6七飛、▲2六角と、▲4四桂を決行しない。このあたりの落ち着きが、我ながらよく分からぬ。ただ、桂を渡すとまた反撃が来るし、大駒を働かせるのが急務だと思った。

第7図以下の指し手。▲4四桂△同金▲同歩△6六歩▲6九飛△2八馬▲3五角△3七馬▲4七金打△6七銀▲同金△同歩成▲同飛△7五桂(第8図)

私は待望の▲4四桂。△同金に、じっと▲同歩が深謀遠慮の手だった。何か、将来の妙手が見えたのである。
堀女流初段は馬を活用する。私は▲4七金打と防戦一方である。
堀女流初段は金を剥がし、△7五桂の飛車取り。一見よさそうだが、ここは△6六歩▲同飛△6五歩がよかったかもしれない。以下▲7六飛が幸便に見えるが、△3六馬▲同金△6七銀の飛車取り詰めろが一例で、下手が容易ではなかった。
本譜も厳しい局面に見えるが、私に起死回生の鬼手があった。

(つづく)
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