一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

藤井竜王・名人の課題

2025-01-20 14:01:48 | 将棋雑考
19日に「ポートメッセ名古屋」で、第18回朝日杯将棋オープン戦本戦トーナメントが行われた(主催:日本将棋連盟、朝日新聞社)。この日の目玉は藤井聡太竜王・名人の登場で、開催が地元でもあり、多くの藤井ファンが訪れたと思われる。
朝日杯は優勝賞金750万円。本戦は1日に2局指す早指し戦なので、うまくいけば実働2日で大金が手にできる。もっとも出場棋士に、金額のことは頭にあるまい。純粋に目の前の将棋に勝つことを考えているだけだ。
藤井竜王・名人は1回戦で阿久津主税八段に勝ち、2回戦で服部慎一郎六段と当たることになった。
服部六段は以前からその実力を高く評価されていたが今年度は顕著で、この対局の前まで32勝4敗.889。年度も終盤の1月19日昼の時点で4敗、というのが意味不明だが、ちなみにその4敗は王将戦、王位戦、叡王戦、B級2組順位戦だった。
本局は服部六段の先手で、矢倉になった。藤井竜王・名人は追随せず、玉を中住まいに構える。
これ、以前も当ブログで記したことがあるが、後手は損な形だと思う。先手陣は金銀3枚で上部が厚いのに対し、後手玉は露出している。たとえば△4一玉の形で先手が指してもらいたい手は「△5二玉」ではないだろうか。そのぶん先手が得している理屈で、攻め合いになれば玉が戦場に遠い先手に分があると思う。だから素人の考えながら、このまま進行すれば服部六段が勝つと思った。
服部六段が銀損を覚悟で突撃する。その見返りは桂得で、これで釣り合いは取れていると見ている。
本局もABEMAが無料中継をしてくれている。最近は有料中継が多いが、私はおカネを出してまで中継を見たくないので、今後はABEMAを見る機会も少なくなると思う。
解説は佐々木大地七段。見ると大盤の駒操作がスムーズに動いている、どうもタッチパネルになっているようで、これは使いやすそうだ。
盤面は服部六段が▲5六桂と打ったところ。形勢は服部六段がやや良い。

佐々木七段は、以下△5五銀▲4四桂打△同銀▲同桂△同角▲5三銀△同角▲同歩成以下を説いていた。
実戦もそれに近い形に進んだが、服部六段は▲5三銀のところでじっと▲4五歩と突いた。これがプロらしい手で、私なら何はともあれ▲5三銀と打っている。だが、目先の駒得にとらわれない▲4五歩が、服部六段の好調の証左なのだろう。
ここで形勢は五分に戻ったのだが、流れは服部六段のままである。以下も好調に攻め、119手まで服部六段の勝ちとなった。
本局、好調の服部六段がそのまま表れた感じだった。
対して藤井竜王・名人はまたも完敗。先日ネットの記事にあったが、藤井竜王・名人は棋士になってから、後手番での初手はすべて「△8四歩」だったという。だが今後は作戦面も考え、「△3四歩」もあるかもしれない、と述べていた。
本局の進行でも、後手が△5二玉形を採用する限り、かなり先手が深く研究を深くできる。藤井竜がそれを嫌うなら、2手目に△3四歩を指すしかない。今後、藤井竜王・名人の後手の作戦が興味深くなった。
コメント
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