一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

2019年ゴールデン・ウィーク旅行(14)

2019-08-08 00:53:40 | 旅行記・G.W.編
バス停付近に戻ると、そこから港が一望できた。彼方の民家の庭先では、鯉のぼりが泳いでいる。すでに端午の節句は過ぎたが、面倒で片付けていないのであろう。
今日は平日なので。郵便局で貯金ができるのだ。しかし港近くの集落にはなさそうで、私は陸側の集落に向かう。なんとなく、沖縄のそれを思い出した。
私の鼻は、このあたりに郵便局があることを示唆しているが、見当たらない。庭先にいた住民に聞くと、向こうの県道沿いにある、と教えてくれた。
県道に出ると、立派な建物が見えた。「鵜戸郵便局」507円。次に旅行貯金ができるのはいつになるだろう。
もとの道に戻ると。吹毛井バス停があった。さっきのバスでは同名のJR駅を通っており、本来ならそこから日南線を使いたいところだが、今回はSUN Qパスがある。
ベンチの上に、博多区演舞台でいただいた記念品を並べてみる。すでに奉納した預かり笹は除き、熊本の美味しい水500ml、西鉄ボールペン2本、チロリアンやアルフォートなど、個包装のお菓子10ヶ、キャンディー1ヶ、さらに消しゴム大の意味不明品1ヶ、西鉄絆創膏5枚1組、ポケットティッシュ1ヶがあった。以前トイレットペーパー2ヶをもらった時もそうだったが、これでは募金100円以上の見返りで、却って申し訳ない。
小腹が空いたので、チロリアンを食べる。ああ、幸せだ。



さてこれから、飫肥に行こうと思う。ここは以前一度訪れたことがあるが、冬の時期+雨模様だったので、あまりいい記憶が残っていない。今回はその払拭である。
飫肥行きのバスは13時15分だったが、定刻を15分過ぎてもバスが来ない。さすがに不審に思い、時刻表下に記載してあるバス会社に電話をした。するとその最中にバスがきた。
〆て19分の遅れとは、何をやっていたのだろう。
運転手は遅れの理由を述べることもなく、遅れを取り戻すふうでもなく、マイペースでバスを走らせる。むかし石垣島の空港行きバスで、空港に20分で着くところを40分もかけたバカ運転手がいたが、今回も蔑ろにされたようで、私は不快になった。
定刻を13分遅れの14時09分、バスは終点飫肥に着いた。
そこは大通りが一本サーッと伸びており、左右の商店が城下町風に設えられていた。以前はJRで来たので、ここまで来ることなしに城下町の観光をしてしまったのだ。
ここは映画のセットのようで、私は放心してしまった。



左手に商家資料館、なる建物がある。面白そうだが、有料なのでパスする。
とりあえず飫肥城址に向かう。周りの建物は味わい深く、「九州の小京都」の異名にふさわしい。
こちらの民家にも、まだ鯉のぼりが泳いでいる。
豫預館なる武家屋敷があるがこれも有料。付近7施設に入れる共通券を買えばいいらしいが、すべてを見るのは億劫だし、外観を見るだけで十分なので、ここでも出費を見送る。こうして私は、観光地に来ながら観光地を漫喫しないのである。
飫肥城址前では、高校生らしき男子が、大型ビデオカメラを持っていた。何かの活動だろうか。私はまだ城址には入らず、なおもあたりを散策する。
塀際のお堀に鯉が泳いでいるらしいが、それはこの先だろうか。





明治の外交官・小村寿太郎の生家があった。これは移築で、一部改装がなされ、瓦屋根は現代のものだ。だが家の造りは明治時代を彷彿とさせ、ここだけ空気が違う。
ああちょっと小腹が空いた。とりあえず大通りに戻ると、南側に食事処があったので、入ってみる。
…と、このドアは左の店かと思ったら、右の店だった。それは小さな店舗で、気風のいいオバチャン……否、ママさんが経営していた。
「何かガイドブックを見て来た?」
「いえ、たまたまここに来て、食事ができそうだったから」
「あらあ……ここ、そういう人、多いのよッ!」
出された麦茶をいただくと、乾いた喉に染み渡った。
別に何を食べてもいいのだが、ママさんのオススメは「魚うどん」で、トビウオの身をすりつぶし、それをそのままうどん状にしたものだという。
トビウオは淡白だがダシにすると美味く、私が長崎の九十九島で食べた「あご(トビウオ)ラーメン」は、確かに美味だった。
「飫肥でもPRしてるんだけど、なかなか爆発的には売れてないね」
ではそれをいただくことにした。
出てきた魚うどん(720円)は、パッと見はふつうのうどんと変わらなかった。ただちょっとチリチリがあって、インスタント麺みたいな感じである。
一口すすると、うどんのようなツルツル感はないが、うどん自体にいいダシが染み込んでいて、まさに「魚うどん」を食べている気がした。つゆが美味いのは言うまでもない。
さて飫肥といえば同じ日南市に油津がある。油津は広島東洋カープのキャンプ地だ。ママさんもカープのファンで、選手の人となりをいろいろ知っていた。私はうどんをすすりながらしゃべる。
「丸が広島を出ちゃいましたね。広島の人は不満でしょう」
「でも丸は性格がいいからねえ。私いまも応援しているよ」
「●●はどうです?」
「ああ、あれはダメよ。遊び人だもん。態度でかいし」
「ほう。そうは見えませんが」
「そうじゃないのよ。タクシーなんか乗っても、ふんぞり返ってるらしいのよ。言葉づかい悪いしね」
ママさんは話し好きで、私がウンウン頷いていると、どんどん斬新ネタをぶちこんでくる。私も驚くやら可笑しいやらで、時が経つのを忘れてしまう。
話は芸能界にも及ぶ。
「亀梨クン、彼はいいわあ。以前こっちに来たことあるんだけどね、もう腰が低いの!
芸能人なんてサ、カメラがないと態度が大きいと思うじゃない。でも彼は違う! 食事に行ってもね、レストランで一人、目立たないように食べてたんだって!」
「おおおおそうですか! 亀梨クン、一般人には冷たい気もしますけどね、そうじゃないんですね」
人は見かけで判断してはいけないのだ。
「飫肥城址は行った?」
「いえ、まだ中には入ってません」
「行きなさい! ほら、新聞にも紹介されたんだから」
壁を見ると、飫肥城址が紹介されている、読売新聞夕刊の切り抜きが貼られていた。「ここの飫肥杉がパワースポットなんだから!」
「鯉も泳いでましたね」
「あれはね。何年か前に全滅しちゃったのよ。2、3年前かな、また放流しようってことになって……」
私はまだ鯉を確認していないが、飫肥城址ともども、見なければいけない。
「また来てよ!」
ママさんの元気な声に送り出され、私は店を出た。
(つづく)
コメント
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