休み時間は40分前後ある。千石ラーメンがどこにあるか分かればソッコーで食べてこられるが、現状では無理。私は近場をぶらぶらして、コンビニでおにぎり1ヶを買い、それを昼食の代わりとした。
産業貿易センター台東館には、2回戦始まりの10分前に戻った。けっこうギリギリである。
選手のひとりに1回戦の勝敗を聞くと、3勝4敗で負けていた。それは残念だが、本音を言えば、私が勝ってさえいれば、チームの勝敗は重要視しない。
さて2回戦。相手は「将棋の森」である。私はまたも大将で、私が珍しく振り駒をし、先手になった。ペンクラブの副将以下は、藤宮、Yam、Abe、木村晋介会長、藤原父、圷の各氏。Kan氏が業務に専念したが、今回もまずまずのメンバーである。
対局開始で、▲7六歩△3四歩。今日はオール振り飛車で行こうと思ったのだが、先手番なので作戦に迷う。▲1六歩と様子見したら△1四歩だったので、▲2六歩と居飛車で行った。
将棋の森氏は四間飛車に振り、私は急戦で挑む。将棋の森氏は△1二香と上がり、急戦対策は万全だ。だが私も仕掛けざるを得ない。

第1図以下の指し手。▲3五歩△5二金左▲2四歩△同歩▲3四歩△同銀▲3八飛△4五歩▲3三角成△同飛▲5五銀△3七歩(第2図)
▲3五歩から仕掛ける。以下は定跡通りだが、△3三同飛に▲8八角と打つつもりが、気が変わって▲5五銀と上がってしまった。されば将棋の森氏も△3七歩と打って、早くも未知の局面である。

私は▲2八飛と逃げたが、錯覚。当然▲3七同銀と取るべきだった。
以下、数手進んで第3図。

第3図以下の指し手。△3五銀▲4五桂△3六銀▲3三桂成△5六歩▲3四角△6二金寄▲4三成桂△1九角成▲5三歩△5七歩成▲同銀上△5一歩▲3二飛△3五飛(第4図)
左の藤宮氏は横歩取りで、青野流を受けている。しかしうまく応じているようだ。
将棋の森氏は△3五銀と出たが、私の▲4五桂が絶品の跳躍。これに△3四飛は手順に▲2三角なので勢い飛車の取り合いになったが、これは成桂の残る分先手がよい。以下▲3二飛と打ったあたりでは、もう勝った気分でいた。

第4図以下の指し手。▲4六銀△3四飛▲同飛成△2五角▲4四竜△4七銀成▲同金△同角成▲5七銀右△3七馬引▲4八銀打△6九馬▲同玉△3六馬▲4七歩(第5図)
第4図で▲1二角成は△3二飛▲同成桂で、香得も大きいが、成桂がソッポに行くのを嫌った。私は▲4六銀と出たが、これは悪くないと思う。
ただ将棋の森氏に△2五角から△4七銀成と活用されたのは大失敗だった。

だが第5図となってみると将棋の森氏が指し切り気味で、これでも私が優勢だと思った。
ところがここから私の緩手連発と将棋の森氏の好手連発で、形勢がひっくり返る。将棋の森氏の手つきは力強く、これは形勢がいいと思っているほうはイヤなものである。気が付いたらこちらが敗勢になっていて、ホトホト呆れた。
以下数十手進んで第6図。

第6図以下の指し手。▲9五歩△同歩▲9二歩△同香▲9三歩△同香▲9四歩△同香▲8六桂△8四金(第7図)
私は端攻めに出たが、素直に応じられ、▲8六桂に△8四金とされ、まったく手がなくなってしまった。いつもは後手側の手を私がやるのに、これじゃあアベコベである。

第7図で私に指す手がない。時計を見るといつの間にか秒読みになっていて、24秒だった。
私は▲4三金と置きボタンを押したが、気が付くと「End」になっていた。
「0.5秒遅れました」と観戦者。「24」に見えたのは、「29」だったらしい。私は茫然としたが、8年ぶり4度目の時間切れ負けとなった。
いつも思うのだが、秒数の加算方式はやめてもらえないか。30秒から徐々に少なくなっていったほうが分かりやすい。それと、秒読みの音も小さいと思う。
もっとも本譜、仮に▲4三金が成立しても、「△5七成桂」と将棋の森氏。それでもいいし、冷静に△5五銀でも私の負けだ。
と、「失礼します」と将棋の森氏が席を立った。もう戻らない、ということだ。
これ、敗者側が席を立つならいいが、勝者側がやるのは勘弁してもらえまいか。こちらは敗戦の怒りをどこにぶちまけていいか分からない。
ほかの選手の戦績を見ると、藤宮氏は勝ったが、ほかは勝ったり負けたり。一時2勝5敗、の情報もあったが、結果は3勝4敗だった。
1回戦と同じであるが、前局は私が勝ったからよい。本局は私が優勢の将棋を敗勢にし、最後は時間切れ負けだから、相当罪が重い。私はうなだれるよりなかった。
これでチーム2勝4敗。もう昇級の可能性はほとんどなく、あとは消化試合である。
落胆する間もなく、3回戦の開始である。相手は「将GiveチームB」。またも私が大将で、以下も同じメンバーで同じ並び。奇数後手で対局開始となった。
私は四間飛車に振る。将Give氏は若者だったが、古風な5筋位取りできた。

第1図で△4五歩▲同銀△5四銀or△5四歩を考えたが、社団戦なので見送った。
数手進んで第2図。

第2図以下の指し手。▲4五歩△同歩▲同桂△5一角▲2四歩△同歩▲2二歩△3三桂▲同桂成△同角▲4五桂△5一角(第3図)
後手の布陣は大山康晴十五世名人得意の形で、これで攻め潰されたらしょうがない。
△5一角に▲5四歩は、△同銀▲2二角成△4五銀で後手優勢。将Give氏は▲2四歩から攻めたが、手順に桂交換ができて、私は十分と思っていた。
△5一角の局面も、私が十分と考えていたのだが……。

(つづく)
産業貿易センター台東館には、2回戦始まりの10分前に戻った。けっこうギリギリである。
選手のひとりに1回戦の勝敗を聞くと、3勝4敗で負けていた。それは残念だが、本音を言えば、私が勝ってさえいれば、チームの勝敗は重要視しない。
さて2回戦。相手は「将棋の森」である。私はまたも大将で、私が珍しく振り駒をし、先手になった。ペンクラブの副将以下は、藤宮、Yam、Abe、木村晋介会長、藤原父、圷の各氏。Kan氏が業務に専念したが、今回もまずまずのメンバーである。
対局開始で、▲7六歩△3四歩。今日はオール振り飛車で行こうと思ったのだが、先手番なので作戦に迷う。▲1六歩と様子見したら△1四歩だったので、▲2六歩と居飛車で行った。
将棋の森氏は四間飛車に振り、私は急戦で挑む。将棋の森氏は△1二香と上がり、急戦対策は万全だ。だが私も仕掛けざるを得ない。

第1図以下の指し手。▲3五歩△5二金左▲2四歩△同歩▲3四歩△同銀▲3八飛△4五歩▲3三角成△同飛▲5五銀△3七歩(第2図)
▲3五歩から仕掛ける。以下は定跡通りだが、△3三同飛に▲8八角と打つつもりが、気が変わって▲5五銀と上がってしまった。されば将棋の森氏も△3七歩と打って、早くも未知の局面である。

私は▲2八飛と逃げたが、錯覚。当然▲3七同銀と取るべきだった。
以下、数手進んで第3図。

第3図以下の指し手。△3五銀▲4五桂△3六銀▲3三桂成△5六歩▲3四角△6二金寄▲4三成桂△1九角成▲5三歩△5七歩成▲同銀上△5一歩▲3二飛△3五飛(第4図)
左の藤宮氏は横歩取りで、青野流を受けている。しかしうまく応じているようだ。
将棋の森氏は△3五銀と出たが、私の▲4五桂が絶品の跳躍。これに△3四飛は手順に▲2三角なので勢い飛車の取り合いになったが、これは成桂の残る分先手がよい。以下▲3二飛と打ったあたりでは、もう勝った気分でいた。

第4図以下の指し手。▲4六銀△3四飛▲同飛成△2五角▲4四竜△4七銀成▲同金△同角成▲5七銀右△3七馬引▲4八銀打△6九馬▲同玉△3六馬▲4七歩(第5図)
第4図で▲1二角成は△3二飛▲同成桂で、香得も大きいが、成桂がソッポに行くのを嫌った。私は▲4六銀と出たが、これは悪くないと思う。
ただ将棋の森氏に△2五角から△4七銀成と活用されたのは大失敗だった。

だが第5図となってみると将棋の森氏が指し切り気味で、これでも私が優勢だと思った。
ところがここから私の緩手連発と将棋の森氏の好手連発で、形勢がひっくり返る。将棋の森氏の手つきは力強く、これは形勢がいいと思っているほうはイヤなものである。気が付いたらこちらが敗勢になっていて、ホトホト呆れた。
以下数十手進んで第6図。

第6図以下の指し手。▲9五歩△同歩▲9二歩△同香▲9三歩△同香▲9四歩△同香▲8六桂△8四金(第7図)
私は端攻めに出たが、素直に応じられ、▲8六桂に△8四金とされ、まったく手がなくなってしまった。いつもは後手側の手を私がやるのに、これじゃあアベコベである。

第7図で私に指す手がない。時計を見るといつの間にか秒読みになっていて、24秒だった。
私は▲4三金と置きボタンを押したが、気が付くと「End」になっていた。
「0.5秒遅れました」と観戦者。「24」に見えたのは、「29」だったらしい。私は茫然としたが、8年ぶり4度目の時間切れ負けとなった。
いつも思うのだが、秒数の加算方式はやめてもらえないか。30秒から徐々に少なくなっていったほうが分かりやすい。それと、秒読みの音も小さいと思う。
もっとも本譜、仮に▲4三金が成立しても、「△5七成桂」と将棋の森氏。それでもいいし、冷静に△5五銀でも私の負けだ。
と、「失礼します」と将棋の森氏が席を立った。もう戻らない、ということだ。
これ、敗者側が席を立つならいいが、勝者側がやるのは勘弁してもらえまいか。こちらは敗戦の怒りをどこにぶちまけていいか分からない。
ほかの選手の戦績を見ると、藤宮氏は勝ったが、ほかは勝ったり負けたり。一時2勝5敗、の情報もあったが、結果は3勝4敗だった。
1回戦と同じであるが、前局は私が勝ったからよい。本局は私が優勢の将棋を敗勢にし、最後は時間切れ負けだから、相当罪が重い。私はうなだれるよりなかった。
これでチーム2勝4敗。もう昇級の可能性はほとんどなく、あとは消化試合である。
落胆する間もなく、3回戦の開始である。相手は「将GiveチームB」。またも私が大将で、以下も同じメンバーで同じ並び。奇数後手で対局開始となった。
私は四間飛車に振る。将Give氏は若者だったが、古風な5筋位取りできた。

第1図で△4五歩▲同銀△5四銀or△5四歩を考えたが、社団戦なので見送った。
数手進んで第2図。

第2図以下の指し手。▲4五歩△同歩▲同桂△5一角▲2四歩△同歩▲2二歩△3三桂▲同桂成△同角▲4五桂△5一角(第3図)
後手の布陣は大山康晴十五世名人得意の形で、これで攻め潰されたらしょうがない。
△5一角に▲5四歩は、△同銀▲2二角成△4五銀で後手優勢。将Give氏は▲2四歩から攻めたが、手順に桂交換ができて、私は十分と思っていた。
△5一角の局面も、私が十分と考えていたのだが……。

(つづく)