7月28日(日)、第30回社団戦の第2日目である。第1日目の成績はチーム2勝2敗だった。7部は全13戦と少ないから、昇級するにはもう1回しか落とせない。
前日にKan氏からメールがあり、台風の余波で、開始(集合)が11時30分になる、とのことだった。台風で東京へ来にくくなる選手への配慮だろうか、微妙なところ。
私も朝は余裕で……と言いたいところだが、けっこうギリギリに、産業貿易センター台東館に着いた。しかもほかのメンバーの集まりも悪く、なかなか7人揃わない。
私は10日前に会社を辞めたので、棋友に会わせる顔がない。勢いで辞めてしまったが貴重な収入源も絶ってしまったわけで、冷静になればそれなりにショックが尾を引いて、もう将棋を指すどころではなかった。
徐々にメンバーが集まってきた。今日は木村晋介会長も参戦である。しかし星野氏、藤原親子の姿はない。Kan氏はいたが、できれば事務の仕事に専念したいそう。そうなるとあと2人はほしいところ。
対局開始時間が近づいたが、まだ足りない。そこにYam氏が滑り込んだ。最後にKan氏に入ってもらい、ようやく7人揃った。しかしこんなことでは、前途多難である。
今回は変則時間なので、持ち時間は20分に短縮される。お昼休みはない予定だったが、30分儲けられた。ただし千石ラーメンに行くほどの時間はないようだ。
相手は「幕張本郷チーム4」。私は大将で、相手に振ってもらい、奇数後手となった。副将以下は藤宮、Yam、Abe、木村会長、Kan、Akuの各氏。それなりに戦えるメンバーである。
▲2六歩△3四歩▲2五歩△3三角▲7六歩。今日は飛車を振りたくないが△2二飛では▲3三角成△同桂▲6五角(参考1図)で、角成りが受からない。
それで△4四歩としてから△2二飛とした(だが変化手順中、▲6五角には△4五桂があり、▲4八銀△5五角で後手有利だった)。
数手後私は△5二金左。向かい飛車に構えたからには、△3二金から△2四歩を本線にしたいところで、そこを短考で△5二金左としたのは失敗だった。
さらに、▲4八飛を見て△2四歩としたのだが、▲2八飛△2五歩に▲同飛と応じられて参った。こんな飛車、当然△同飛としたいところだが、▲同桂が3三角に当たり、後手を引いて勝てない。私は屈辱の△2四歩だが、先手氏にゆうゆう▲2九飛と引かれ、クサッタ。
さらに先手氏は5筋と6筋の位を張る。私には主張点がなく、投げたくなった。
第1図以下の指し手。▲3五歩△同歩▲4四歩△同角▲4五桂△3四銀▲6七銀△4五桂▲同銀△5五角▲4四歩(第2図)
第1図では後手が大作戦負け。どうやって仕留められるのかと思ったが、幕張本郷氏は▲3五歩から▲4四歩。こうやって潰されるのか、と思ったが、▲4五桂には△3四銀と上がり、振り飛車も悪くない。
そこで幕張本郷氏が▲6七銀と引いたのが意味不明で、この銀は5六で頑張っていたほうがよかった。
私は△4五桂から△5五角と捌く。これには▲4四歩が見えるが、あの角が5五に出られれば御の字だ。
本譜も実際▲4四歩。さあここである。
第2図以下の指し手。△5七歩▲6八金寄△4八歩▲同飛△3七角成▲3四銀△4八馬▲4三歩成△5五桂▲5六銀△4七桂成▲5九歩△5一飛▲5五桂(第3図)
私は退職のショックが尾を引いており、手つきに覇気がない。しかしこのぶっきらぼうな感じが逆に凄味を増して、指している相手はイヤな感じがしたのではないだろうか。
第2図で△4五銀▲同飛△4四角は▲5六桂くらいで後手負け。私は△5七歩とおまじないの歩を打ち、▲6八金寄に△4八歩~△3七角成とした。これで後手優勢で、どこで形勢がひっくり返ってしまったのだろう。
やむない▲3四銀に△4八馬と飛車を取れ、望外の戦果となった。
▲4三歩成に△5五桂から△4七桂成は緩いようだが、ほかに手が分からなかった。
△5一飛▲5五桂に、次の手は文字通りノータイムだった。
第3図以下の指し手。△5五同飛▲同銀△5六桂▲5四銀打△6八桂成▲同金△5八歩成▲6三銀成△6八と▲同角△6三銀▲4二飛(第4図)
左の藤宮氏の形勢は悪そうである。とにかく私は、自分の将棋を頑張るしかない。
第3図で△6二金引はたぶん負ける。こんなところで後手を引く手はなく、終盤は駒の損得よりスピード第一である。私はノータイムで飛車を切り、返す刀で△5六桂と打った。
これに▲6七金なら、△5八歩成▲同飛△同成桂でよい。幕張本郷氏は▲5四銀打と重ねてきたが、私はありがたく金をいただき、さらに△5八歩成から駒得した。これはもう負けられぬところである。
第4図以下の指し手。△7二飛▲4一飛成△6九銀▲8八玉△7八金▲9八玉△9五歩▲同歩△8五桂▲7九角△同金▲8八金△9七歩▲同桂△同桂成▲同玉△9六歩▲8六玉△6八角(投了図)
まで、一公の勝ち。
第4図で△7二飛が考え過ぎの緩手で、△5二歩や△7二銀でよかった。これなら先手が何か指した時、△6九銀▲8八玉に、飛車があるから△7八飛▲9七玉△8五桂▲8六玉△7五金▲同歩△同飛成で詰みだった。
本譜△6九銀に▲同玉は△8八金で必至なので幕張本郷氏は▲8八玉だが、今度は駒台に飛車がないので、後手は若干寄せ損ねている。
それでも亀の歩みで、何とか寄せることができた。序盤のひどい作戦負けを思えば、これは僥倖の勝利といえるだろう。
ほかの将棋は、藤宮氏は負けたようだが、あとは分からない。全局を見てもしょうがないので、とりあえず外へ出た。
(つづく)
前日にKan氏からメールがあり、台風の余波で、開始(集合)が11時30分になる、とのことだった。台風で東京へ来にくくなる選手への配慮だろうか、微妙なところ。
私も朝は余裕で……と言いたいところだが、けっこうギリギリに、産業貿易センター台東館に着いた。しかもほかのメンバーの集まりも悪く、なかなか7人揃わない。
私は10日前に会社を辞めたので、棋友に会わせる顔がない。勢いで辞めてしまったが貴重な収入源も絶ってしまったわけで、冷静になればそれなりにショックが尾を引いて、もう将棋を指すどころではなかった。
徐々にメンバーが集まってきた。今日は木村晋介会長も参戦である。しかし星野氏、藤原親子の姿はない。Kan氏はいたが、できれば事務の仕事に専念したいそう。そうなるとあと2人はほしいところ。
対局開始時間が近づいたが、まだ足りない。そこにYam氏が滑り込んだ。最後にKan氏に入ってもらい、ようやく7人揃った。しかしこんなことでは、前途多難である。
今回は変則時間なので、持ち時間は20分に短縮される。お昼休みはない予定だったが、30分儲けられた。ただし千石ラーメンに行くほどの時間はないようだ。
相手は「幕張本郷チーム4」。私は大将で、相手に振ってもらい、奇数後手となった。副将以下は藤宮、Yam、Abe、木村会長、Kan、Akuの各氏。それなりに戦えるメンバーである。
▲2六歩△3四歩▲2五歩△3三角▲7六歩。今日は飛車を振りたくないが△2二飛では▲3三角成△同桂▲6五角(参考1図)で、角成りが受からない。
それで△4四歩としてから△2二飛とした(だが変化手順中、▲6五角には△4五桂があり、▲4八銀△5五角で後手有利だった)。
数手後私は△5二金左。向かい飛車に構えたからには、△3二金から△2四歩を本線にしたいところで、そこを短考で△5二金左としたのは失敗だった。
さらに、▲4八飛を見て△2四歩としたのだが、▲2八飛△2五歩に▲同飛と応じられて参った。こんな飛車、当然△同飛としたいところだが、▲同桂が3三角に当たり、後手を引いて勝てない。私は屈辱の△2四歩だが、先手氏にゆうゆう▲2九飛と引かれ、クサッタ。
さらに先手氏は5筋と6筋の位を張る。私には主張点がなく、投げたくなった。
第1図以下の指し手。▲3五歩△同歩▲4四歩△同角▲4五桂△3四銀▲6七銀△4五桂▲同銀△5五角▲4四歩(第2図)
第1図では後手が大作戦負け。どうやって仕留められるのかと思ったが、幕張本郷氏は▲3五歩から▲4四歩。こうやって潰されるのか、と思ったが、▲4五桂には△3四銀と上がり、振り飛車も悪くない。
そこで幕張本郷氏が▲6七銀と引いたのが意味不明で、この銀は5六で頑張っていたほうがよかった。
私は△4五桂から△5五角と捌く。これには▲4四歩が見えるが、あの角が5五に出られれば御の字だ。
本譜も実際▲4四歩。さあここである。
第2図以下の指し手。△5七歩▲6八金寄△4八歩▲同飛△3七角成▲3四銀△4八馬▲4三歩成△5五桂▲5六銀△4七桂成▲5九歩△5一飛▲5五桂(第3図)
私は退職のショックが尾を引いており、手つきに覇気がない。しかしこのぶっきらぼうな感じが逆に凄味を増して、指している相手はイヤな感じがしたのではないだろうか。
第2図で△4五銀▲同飛△4四角は▲5六桂くらいで後手負け。私は△5七歩とおまじないの歩を打ち、▲6八金寄に△4八歩~△3七角成とした。これで後手優勢で、どこで形勢がひっくり返ってしまったのだろう。
やむない▲3四銀に△4八馬と飛車を取れ、望外の戦果となった。
▲4三歩成に△5五桂から△4七桂成は緩いようだが、ほかに手が分からなかった。
△5一飛▲5五桂に、次の手は文字通りノータイムだった。
第3図以下の指し手。△5五同飛▲同銀△5六桂▲5四銀打△6八桂成▲同金△5八歩成▲6三銀成△6八と▲同角△6三銀▲4二飛(第4図)
左の藤宮氏の形勢は悪そうである。とにかく私は、自分の将棋を頑張るしかない。
第3図で△6二金引はたぶん負ける。こんなところで後手を引く手はなく、終盤は駒の損得よりスピード第一である。私はノータイムで飛車を切り、返す刀で△5六桂と打った。
これに▲6七金なら、△5八歩成▲同飛△同成桂でよい。幕張本郷氏は▲5四銀打と重ねてきたが、私はありがたく金をいただき、さらに△5八歩成から駒得した。これはもう負けられぬところである。
第4図以下の指し手。△7二飛▲4一飛成△6九銀▲8八玉△7八金▲9八玉△9五歩▲同歩△8五桂▲7九角△同金▲8八金△9七歩▲同桂△同桂成▲同玉△9六歩▲8六玉△6八角(投了図)
まで、一公の勝ち。
第4図で△7二飛が考え過ぎの緩手で、△5二歩や△7二銀でよかった。これなら先手が何か指した時、△6九銀▲8八玉に、飛車があるから△7八飛▲9七玉△8五桂▲8六玉△7五金▲同歩△同飛成で詰みだった。
本譜△6九銀に▲同玉は△8八金で必至なので幕張本郷氏は▲8八玉だが、今度は駒台に飛車がないので、後手は若干寄せ損ねている。
それでも亀の歩みで、何とか寄せることができた。序盤のひどい作戦負けを思えば、これは僥倖の勝利といえるだろう。
ほかの将棋は、藤宮氏は負けたようだが、あとは分からない。全局を見てもしょうがないので、とりあえず外へ出た。
(つづく)