一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

「煙が目にしみる」全20話を観終えた

2020-04-24 00:23:26 | 将棋雑記
23日の読売観戦記に、え? と思う箇所があった。詳しく指摘するのは嫌味だから書かないが、記録は「66歳」じゃないの?
よく分からないが。

   ◇

当ブログでは昨年の12月3日に、BS12「銀河テレビ小説・煙が目にしみる」の案内をした。12月11日は、第1話の感想を書いたが、先月だったか、全20話を視聴し終わった。
でも初見当時からの記憶違いが多く、記憶のいい加減さに苦笑した。
まず、オープニングの青野照市七段(当時)の、「煙詰」の指し手が素早い。ササッと進んでいくのだ。私はもっと、一手一手重厚に指したと思った。またオープニング音楽も、私が記憶していた曲と違っていた。
奨励会三段・根本信吾(川谷拓三)の恋人・宮坂千草(根岸季衣)は生活費を稼ぐため、フラメンコダンサーからストリッパーに転身するのだが、それは物語の終盤、たとえば第17話くらいだと思っていた。
実際は最終話で、千草が地方の舞台で踊り、下着を脱ごうというとき、駆けつけた信吾がカーテンを放り投げ、彼女の略奪?に成功するのである。
物語全体の感想としては、間延びしているな、と思った。
各回20分の全20回で、オープニングを1分とすると、本編は19分×20回で380分=6時間20分となる。信吾の四段昇段の記にしては、ちょっと長い気がする。ぎゅっと搾って、2時間半ぐらいのスペシャルドラマにしたらいいと思った。
違和感も数々あるが、真っ先に挙げられるのは、根本の弟弟子・垣見である。垣見は新進気鋭の若手五段、という存在である。だが、演者の誠直也に貫禄がありすぎるのだ。
誠直也は1948年6月25日生まれで、撮影当時は32歳。すでに「ファイヤーマン」「秘密戦隊ゴレンジャー」「特捜最前線」の人気番組に出演経験があり、キャリアは十分だった。
師匠・内堀勇八段(松村達雄)の愛娘・香子(田坂都)と結婚し一軒家に住んでいるのだが、リビングでブランデーをくゆらす画はとても新鋭五段に見えず、突っ込みどころ満載で笑えてしまう。
ほかには、棋士の指し手についてのセリフが微妙におかしい。例えば第6話で、信吾が指した将棋を、内堀と垣見が批評するシーン。

垣見「これが敗着ですねえ。8一ヒなら勝ったんじゃないでしょうか」
信吾「8一ヒか……」
内堀「一目で指し切りだな。気取った手を指すから潰れるんだ」

「ヒ」は「飛車」と言うのではなかろうか。内堀のセリフも、「指し切ってるな。気取った手を指すからそうなるんだ」くらいでどうだろう。
さらに、第12話で内堀が青野七段と指した将棋。

図の△4八歩に内堀が▲5九金と寄った手が好手で、
「内堀先生の一手勝ちですよ。逆転ですよ」
と控室から声が飛んだ。だが、私レベルでは、まだまだ先手の一手勝ちには見えない。
この対局のあと、内堀が料亭で、垣見に漏らす。
「いやー、はじめのうちはもたれて指したんだがね、5筋に角が成られてからずっとこっちが悪かったんだよ。ハハ、最後は指し運だな、王さんが固い分だけ得したよ」
やはり、セリフが微妙におかしい気がする。「指し運」とは「指運(ゆびうん)」のことだろうか。また玉の固さも、双方同じだと思う。ただこちらは、セリフに見合った局面が用意できなかったのだろう。
いずれにしても、脚本は愛棋家のジェームス三木だから、もう少し自然なセリフが書けたはずなのだが。

当時はスタジオ撮影が多く、若干安っぽい印象を受けた。これはこれでとても味があるのだが、いまのNHKが同じドラマを創ったら、もっとリアリティのあるものになるのではないか。
なお、当時の四段昇段条件は、「13勝4敗」か「9連勝」。現行の三段リーグでは、9連勝はもちろん、13勝5敗でも14勝4敗でも、四段に昇段できる保証はない。昇段者も年4人に限られており、当時より厳しくなっている。
コメント
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