令和初の北海道旅行である。平成は31年間、毎年冬まつりに出かけたが、令和はどうなるだろう。
今年は11日の建国記念の日が火曜日で、もし会社勤めを続けていたら、10日(月)を休むかどうか、大いに悩むところだった。
皮肉にもそれは杞憂?に終わり、行きは7日(金)、帰りは12日(水)の日程となった。帰りはいつでもよかったが、求職中とあっては、いつまでも遊んでいるわけにはいかない。
今回はANAの無料航空券の利用である。行きは13時00分の便だった。
7日(金)朝、準備を整える。今回は長期旅行なので、ビデオ録画の容量をかなり空けなければならない。一部はブルーレイディスクに移動したりして、かなり面倒だった。
そしてもうひとつ大問題。ANAカードが財布になかった。これはクレジットカードとSuica機能も有していて、かなり重要なアイテムである。もちろん今回の予約でも使用した。そのカードが見当たらなくなっていた。
いつもはジャンパーのポケットに入れていたのだが、ここ何日かの間に消え、JR利用の際は、普通のSuicaを使っていた。でもANAカードは財布にあると思っていたのだ。
実は今日、オフクロも日帰り旅行に出ることになっており、11時に家の近くから出発する。ちょうど私と同じ時間に出る感じだったが、私がこんな有様では出発できない。オフクロには先に出てもらい、私は心当たりを探しまくった。
と言ったって調べるところは限られているから、すぐに窮した。
あれえ? どこに行ったのだ‼
出先で失くしたということはない。だから家にあるはずなのだが……。
どうしようもなく、私は出発した。こんなに不安な出発は初めてだった。
駅前の金券ショップで浜松町までの切符を2枚と、モノレールきっぷを1枚買い、山手線に乗った。みんなは働いているのに、私はプーの立場で旅行。これはかなり空しかった。
浜松町からのモノレールは、空港快速ゆえか、意外に混んでいた。
羽田空港第2ビルに着き、ANAのカウンターで、チケットを発券してもらう。これはANAカードがなくてもできる。係の女性は、帰りのチケットも発券してくれた。
ANA065便に搭乗すると、スッチーはマスク姿だった。新型コロナウイルスの対策だが、こんないでたちは初めてだ。とはいえ、マニアには堪らない姿である。
定刻に出発。傍らのオーディオ機能は最新版で、前の席のモニターにいろいろ映った。道理で、スッチーが積極的に、イヤホンを配っていたわけだ。
通常の仕様では、番組を選択して受動的に聴くが、ここでは自分の聴きたいアイテムをリピートできた。これはすこぶる便利である。それで私は、村下孝蔵の「初恋」、渡辺美里の「My Revolution」を交互に聴いた。東京オリンピックにはこの機能のものが普及して、世界からの観光客を楽しませてくれるのだろう。
蛇足ながら、落語は「桃太郎」だったが、これは湯川恵子さんの落語で聞いていたから、ここでは聞かなかった。
なおスッチーが飲み物を配る時は、透明の手袋をつけていた。日本でコロナウイルスの感染者が見つかったのは先月下旬だが、さすがに航空会社で、感染予防には万全を期していた。
新千歳空港には、14時35分に着いた。私はまず、オヤジに電話をする。いろいろ考えたのだが、私はこの1週間前にトコヤに行っている。その際私はいつも、玄関脇の文机の抽斗に、メガネを置いてゆくのだ。その時、ANAカードも無意識に置いたのではないか? そしてそれを取り忘れた、と。もうこのくらいしか、カードの在処を思いつかなかった。
だがオヤジとは繋がらなかった。
気を取り直して、旅行貯金である。今日は平日なので、できるのだ。たしか空港内に郵便局があったので、そこで済ませたい。
それで、以前の記憶を頼りに探したが、ない。インフォメーションセンターで聞き直すと、どうも変なところを案内された。
戸惑いつつその場に着いたが、やたら狭い。不安感満載のまま局員に聞くと、現在は切手販売と発送しかやってないとのこと。以前あった郵便局は閉鎖し、規模を縮小したらしかった。
いやこれは誤算である。札幌まで行けば郵便局はいくらでもあるが、それでは午後4時を過ぎてしまう。
それと、切符の問題がある。例年は3~4日の行程だから行く場所も決まっていたが、今年はあっちこっち行けそうだ。となれば「北海道フリーきっぷ」が便利だ。JR全線の特急列車とJRバスに1週間乗れるヤツだ。
ただ不愉快なのが、ANAカードで買えないことだ。いま、政府はキャッシュレスを推進していて、いくらかポイントバックがある。ANAカードにもそれが適用されそうだが、カードがない。仮に適用されなくとも、通常のマイルは溜まる。それがなくなってしまうのが痛いのだ。返す返すも、私は痛い忘れ物をしたのだ。
みどりの窓口に行って、同きっぷを買う。27,430円はけっこうな額だ。なお支払いには、銀行系のカードを使った。
次の千歳線下りは15時15分発の快速エアポート153号である。札幌まで行ったらタイムアウトだから、どこかで降りねばならない。ただ幸いなことに、どこで降りようが、もう追加料金はかからない。
15時22分、千歳で降りた。この西口駅前に郵便局があったからだ。
今年の北海道は雪が記録的に少ない。数日前にドカ雪は降ったらしいが、どのくらいのものだろう。果たして駅前の雪は少なかった。
「千歳郵便局」207円。
15時37分の快速エアポート155号に乗り直す。車内は適度に混んでいたが、座れた。外国人の姿は、思ったよりなかった。
さてここで、再び選択である。札幌で降りて、夜の「さっぽろ雪まつり」を愉しむか。それともこのまま小樽へ行って、「小樽雪あかりの路」を愉しむか。
やはり「さっぽろ」は明るいうちからじっくり見たいということで、小樽まで行くことにした。
16時07分、札幌着。我が155号はこのまま小樽まで行くのである。6分後の13分、出発した。
手稲を過ぎて、日本海の荒波が見えてくるはずだが、私は海を背にして座っているので、見られない。それで、スマホを繰っていた。何となく、「小樽雪あかりの路」の最新情報を入手しようと思った。
……なにい⁉
まさかの情報に、私は目を剥いた。
(つづく)
今年は11日の建国記念の日が火曜日で、もし会社勤めを続けていたら、10日(月)を休むかどうか、大いに悩むところだった。
皮肉にもそれは杞憂?に終わり、行きは7日(金)、帰りは12日(水)の日程となった。帰りはいつでもよかったが、求職中とあっては、いつまでも遊んでいるわけにはいかない。
今回はANAの無料航空券の利用である。行きは13時00分の便だった。
7日(金)朝、準備を整える。今回は長期旅行なので、ビデオ録画の容量をかなり空けなければならない。一部はブルーレイディスクに移動したりして、かなり面倒だった。
そしてもうひとつ大問題。ANAカードが財布になかった。これはクレジットカードとSuica機能も有していて、かなり重要なアイテムである。もちろん今回の予約でも使用した。そのカードが見当たらなくなっていた。
いつもはジャンパーのポケットに入れていたのだが、ここ何日かの間に消え、JR利用の際は、普通のSuicaを使っていた。でもANAカードは財布にあると思っていたのだ。
実は今日、オフクロも日帰り旅行に出ることになっており、11時に家の近くから出発する。ちょうど私と同じ時間に出る感じだったが、私がこんな有様では出発できない。オフクロには先に出てもらい、私は心当たりを探しまくった。
と言ったって調べるところは限られているから、すぐに窮した。
あれえ? どこに行ったのだ‼
出先で失くしたということはない。だから家にあるはずなのだが……。
どうしようもなく、私は出発した。こんなに不安な出発は初めてだった。
駅前の金券ショップで浜松町までの切符を2枚と、モノレールきっぷを1枚買い、山手線に乗った。みんなは働いているのに、私はプーの立場で旅行。これはかなり空しかった。
浜松町からのモノレールは、空港快速ゆえか、意外に混んでいた。
羽田空港第2ビルに着き、ANAのカウンターで、チケットを発券してもらう。これはANAカードがなくてもできる。係の女性は、帰りのチケットも発券してくれた。
ANA065便に搭乗すると、スッチーはマスク姿だった。新型コロナウイルスの対策だが、こんないでたちは初めてだ。とはいえ、マニアには堪らない姿である。
定刻に出発。傍らのオーディオ機能は最新版で、前の席のモニターにいろいろ映った。道理で、スッチーが積極的に、イヤホンを配っていたわけだ。
通常の仕様では、番組を選択して受動的に聴くが、ここでは自分の聴きたいアイテムをリピートできた。これはすこぶる便利である。それで私は、村下孝蔵の「初恋」、渡辺美里の「My Revolution」を交互に聴いた。東京オリンピックにはこの機能のものが普及して、世界からの観光客を楽しませてくれるのだろう。
蛇足ながら、落語は「桃太郎」だったが、これは湯川恵子さんの落語で聞いていたから、ここでは聞かなかった。
なおスッチーが飲み物を配る時は、透明の手袋をつけていた。日本でコロナウイルスの感染者が見つかったのは先月下旬だが、さすがに航空会社で、感染予防には万全を期していた。
新千歳空港には、14時35分に着いた。私はまず、オヤジに電話をする。いろいろ考えたのだが、私はこの1週間前にトコヤに行っている。その際私はいつも、玄関脇の文机の抽斗に、メガネを置いてゆくのだ。その時、ANAカードも無意識に置いたのではないか? そしてそれを取り忘れた、と。もうこのくらいしか、カードの在処を思いつかなかった。
だがオヤジとは繋がらなかった。
気を取り直して、旅行貯金である。今日は平日なので、できるのだ。たしか空港内に郵便局があったので、そこで済ませたい。
それで、以前の記憶を頼りに探したが、ない。インフォメーションセンターで聞き直すと、どうも変なところを案内された。
戸惑いつつその場に着いたが、やたら狭い。不安感満載のまま局員に聞くと、現在は切手販売と発送しかやってないとのこと。以前あった郵便局は閉鎖し、規模を縮小したらしかった。
いやこれは誤算である。札幌まで行けば郵便局はいくらでもあるが、それでは午後4時を過ぎてしまう。
それと、切符の問題がある。例年は3~4日の行程だから行く場所も決まっていたが、今年はあっちこっち行けそうだ。となれば「北海道フリーきっぷ」が便利だ。JR全線の特急列車とJRバスに1週間乗れるヤツだ。
ただ不愉快なのが、ANAカードで買えないことだ。いま、政府はキャッシュレスを推進していて、いくらかポイントバックがある。ANAカードにもそれが適用されそうだが、カードがない。仮に適用されなくとも、通常のマイルは溜まる。それがなくなってしまうのが痛いのだ。返す返すも、私は痛い忘れ物をしたのだ。
みどりの窓口に行って、同きっぷを買う。27,430円はけっこうな額だ。なお支払いには、銀行系のカードを使った。
次の千歳線下りは15時15分発の快速エアポート153号である。札幌まで行ったらタイムアウトだから、どこかで降りねばならない。ただ幸いなことに、どこで降りようが、もう追加料金はかからない。
15時22分、千歳で降りた。この西口駅前に郵便局があったからだ。
今年の北海道は雪が記録的に少ない。数日前にドカ雪は降ったらしいが、どのくらいのものだろう。果たして駅前の雪は少なかった。
「千歳郵便局」207円。
15時37分の快速エアポート155号に乗り直す。車内は適度に混んでいたが、座れた。外国人の姿は、思ったよりなかった。
さてここで、再び選択である。札幌で降りて、夜の「さっぽろ雪まつり」を愉しむか。それともこのまま小樽へ行って、「小樽雪あかりの路」を愉しむか。
やはり「さっぽろ」は明るいうちからじっくり見たいということで、小樽まで行くことにした。
16時07分、札幌着。我が155号はこのまま小樽まで行くのである。6分後の13分、出発した。
手稲を過ぎて、日本海の荒波が見えてくるはずだが、私は海を背にして座っているので、見られない。それで、スマホを繰っていた。何となく、「小樽雪あかりの路」の最新情報を入手しようと思った。
……なにい⁉
まさかの情報に、私は目を剥いた。
(つづく)