一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

異例ずくめの社団戦(4)

2020-09-21 00:46:22 | 社団戦

第3図からの指し手。▲6二金△7一歩▲6三角△7二歩▲同金△7一飛(第4図)

現在2勝2敗で最後の大一番。周りは人が集まり、固唾をのんで見守っている。時間もだいぶ押し、すでに20秒将棋になっていた。
第3図に至る前、どこかで▲7四歩の桂取りを入れれば先手の勝ちだったときがあるのだが、それは言うまい。
第3図では▲6三角が私の第一感だったが、Abe氏は▲6二金と打った。川崎組三将氏は△7一歩。そこでAbe氏が▲6三角と打ったから驚いた。それは△7二歩で竜のタダ取りである。Abe氏、何をやってるの!? 私は眩暈がした。
Abe氏は△7二歩に▲同金とし、これが一応▲8一金の詰めろ。これには△1一飛くらいでもいいが、三将氏は△7一飛とジカに打った。しかしこれは▲同金で先手が得である。
ところが……。

第4図以下の指し手。▲8一金△同飛▲同角成△同玉▲1一飛△7一歩▲7二歩(第5図)

(9月25日註:この前の局面の変化で、「△6五飛」を指摘した読者がいました。よく考えたら第4図の△7一飛でも、まだ△6五飛が成立します。これなら後手の明快な勝ちでした。検討不足をお詫びします)
Abe氏が8一の駒をつまんだから驚いた。そっちの駒を取るの?
以下、角金と飛香の交換になったが、この飛車はもともとタダでくれてやったものだから、実質角金と香の交換となる。終盤は駒の損得よりスピードとはいえ、こんなに駒損をしては勝てない。
Abe氏は▲1一飛と打ったが、△7一歩がピッタリだ。そこで▲7二歩は詰めろでも何でもない。しかも先手は、いちばん渡してはいけない駒を渡していた。

第5図以下の指し手。△3六角▲3五玉△4五飛(投了図)
まで、川崎組三将の勝ち。

△3六角が当然の王手。これで、入玉寸前だった先手玉が捕まってしまった。以下▲3五玉△4五飛にAbe氏が投了した。時に午後5時3分。大熱戦にしては急転直下のフィナーレで、急に場の空気が弛緩した。

チームは初の負けとなり、私は落胆を抑えきれない。Abe氏もよく戦ったからアレだが、第3図からの△7一歩に▲6三角はないだろう。秒読みだった、というエクスキューズはあるにせよ、慌てたら▲7一同金と取るか、▲6一竜と逃げるものだろう。
そのあと、△7一飛に対しての▲8一金も同様である。指す手が分からなかったら、とりあえず飛車を取りそうなものではないか。
恐らくAbe氏は、▲8一から王手する順しか見えなくなってしまったのだろう。だから竜や角金を捨ててまで、強引に王手をした。
……しかしこうなってみると、どこかに私が入っていれば3勝できたんじゃないか、の思いが拭えない。今回思ったのだが、ヒトの将棋を見るのは楽しいが、チームの勝敗を考えると、精神衛生上よろしくない。まだ自分が指していたほうがいい。もし次回も参加できたら、3局は指したいと思った。

何とこの将棋が全組最後で、辺りはもうガランとしていた。
現在コロナ禍ではあるが、軽く打ち上げとなる。参加者は木村会長以下9名。さらにA氏がこちらに向かっているとのことだ。
場所は浅草駅前の和民にしたが、何と休みだった。そういえば和民は、コロナ禍の影響で何店か閉店していなかったか?
ともあれほかの居酒屋をあたる。木村会長は蕎麦屋に入ろうとしたが、9人の団体なので断られた。それに蕎麦屋で長居はできない。「みろく庵」ではないのだ。
磯丸水産があり、ここは入店OKだった。しばらくしてA氏が合流し、ほかの店を探していた三上氏、Kan氏も合流し、総勢10人になった。
では、席の配置を記しておこう。

藤原父 息子 Abe 山野 Kan
  □   □   □   □
木村会長 山本 A 一公 三上

私は最初の1杯目は、生ビール。喉が渇いていたので、一口目は美味かった。
改めて今日の成績は、3-2、3-2、3-2、2-3の3勝1敗。際どい星で勝って、この成績は御の字だろう。Abe監督は、参加した人がみな勝利したので、満足しているようだった。
私は夏子さんの話をしたいのだが、ここはその雰囲気ではない。A氏は私のブログの誤字を指摘してくれた。「私は大沢さんのブログを読み込んでいるんですよ」。それからしばらく文章談義になったが、あまりにもマニアックなので、今年の観戦記大賞に輪を広げる。これで三上氏とKan氏が話題に入れた。
それが終わるとオリンピック談義で、これで山野氏が合流できた。
木村会長は静かに飲んでいるが、落語云々の話が聞こえる。今年の長照寺大いちょう寄席は11月3日の予定だが、このコロナ禍ではどうなるか分からない。
つまみは海産物が多く、どれも美味い。しかし私は自身の立場が不安定なこと、体調が万全でないことも相まって(コロナとは無関係)、心から楽しめる状況ではない。ただこうやって席をともにして語り合っていると、何か癒される気はするのだ。
けっこう飲み食いして、8時前に散会となった。バスで帰るのは私ひとりで、浅草駅前でみなと別れた。
自宅方面へのバスが停まっていたので乗車しようとしたが、ANA Suicaがセカンドバッグから取り出せない。グズグズしていたら運転手から「ガミガミ」と怒鳴られた。
「……何ですか?」
「後ろに人がいるからどいて!!」
振り返ると、後ろに客がいた。ああ、それは私が悪かったが、言い方ってもんがあるだろう。しかもあの運転手の目つき。ヤクザのようだった。
これはこのバスに縁がなかったということだ。昨年の鹿児島・加世田バスターミナルの時と同じく、もうこの便は利用しない。私は自宅まで歩いていくことにした。
だが道に迷ってしまい、自宅まで1時間近くかかってしまった。まあ運動不足が解消されたと思えばよい。
次回の社団戦まで、メンタル面だけでも回復させたいと思っている。
(おわり)
コメント (2)
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