第3期清麗戦で加藤桃子女流三段が挑戦を決めたとき、「あ、そうなのか」と思った。今年は女流順位戦(白玲戦)の話題一色で、ほかの棋戦にほとんど関心が行かなかったからだ。
それに加え、西山朋佳女流三冠旋風がものすごかったこともある。加藤女流三段も実力者ではあるが、たとえば女流名人リーグでは黒星先行中。それだけに、やや意外な気もしたのだ。
ところが五番勝負第1局は里見香奈清麗に快勝。その直後に倉敷藤花戦の挑戦も決め、これは加藤女流三段が復調したと思った。
ここで加藤女流三段の実績を振り返って見ると、タイトル8期の加藤女流三段は2018年5月、マイナビ女子オープン五番勝負で西山朋佳奨励会三段に敗れ、無冠。その翌年女流棋士に転向したが、その後の成績はパッとしなかった。……というのは私の思い込みで、2019年度は24勝6敗、2020年度は28勝15敗と抜群の成績を収めていた。
そしてタイトル戦は2020年度に、女流王位戦と女流名人戦に登場している。復調どころではない。西山女流三冠のインパクトが強すぎたが、その陰に隠れて加藤女流三段も活躍していたのだ。女流名人リーグは、たまたま黒星が集まってしまったのだろう。
そして清麗戦第2局は13日に行われた。戦型は里見清麗のゴキゲン中飛車に加藤女流三段の超速▲3七銀。里見清麗は銀対抗ではなく、△5六歩から捌きにきた。しかし私見では、中飛車は5五の位が命と考えているので、この手は先手がありかたかったのではないか。
以下▲6七金△5七歩成▲同金となって先手が手厚い。以下も加藤女流三段がのびのびと指し、これは先手が作戦勝ちになったと思った。
数手進んで第1図。
第1図以下の指し手。▲5四銀(途中図)
△5二銀▲5六桂△4一銀▲4六飛△3三金▲3四歩△同金▲4三銀不成(第2図)
△6四歩と銀を打診された局面。控室では▲5六銀を推奨し、これで先手十分と見ていた。しかし加藤女流三段は▲5四銀!(途中図)
これが女流棋士の手で、男性棋士のように▲5六銀と穏便には収めないのである。
対して里見清麗は△5二銀。次に△5三歩から銀を召し取る狙いだが、これは男性棋士の手だった。
加藤女流三段は▲5六桂。これが腰の入った手で、▲6四桂と▲4四桂の両狙いである。里見清麗は△4一銀と退却したが、双方の勢いが違う。
戻って里見清麗の△5二銀では、△5四同銀▲同歩△同飛と捌くのが良かったようだ。
本譜△5二銀以下は、▲4六飛△3三金に▲3四歩が軽打。△同金に▲4三銀不成(第2図)と進み、▲5四銀の勝負手が奏功した。
以下は加藤女流三段が緩急よろしく攻め、149手まで勝利となった。これで加藤女流三段の2連勝。ちょっと意外な気もするが、かつて加藤女流三段はタイトル戦で里見女流四冠に2回勝っており、不思議と言うほどではない。
といっても里見女流四冠にはストレート負けが何度もあり、2連勝からの3連敗もある。
よって加藤女流三段は、次にスパッと決めてしまいたい。
タイトルの分布は西山女流三冠と里見女流四冠のみと思われていたところに、第3の女が絡んでくると面白い。
加藤先生、頑張ってください。
それに加え、西山朋佳女流三冠旋風がものすごかったこともある。加藤女流三段も実力者ではあるが、たとえば女流名人リーグでは黒星先行中。それだけに、やや意外な気もしたのだ。
ところが五番勝負第1局は里見香奈清麗に快勝。その直後に倉敷藤花戦の挑戦も決め、これは加藤女流三段が復調したと思った。
ここで加藤女流三段の実績を振り返って見ると、タイトル8期の加藤女流三段は2018年5月、マイナビ女子オープン五番勝負で西山朋佳奨励会三段に敗れ、無冠。その翌年女流棋士に転向したが、その後の成績はパッとしなかった。……というのは私の思い込みで、2019年度は24勝6敗、2020年度は28勝15敗と抜群の成績を収めていた。
そしてタイトル戦は2020年度に、女流王位戦と女流名人戦に登場している。復調どころではない。西山女流三冠のインパクトが強すぎたが、その陰に隠れて加藤女流三段も活躍していたのだ。女流名人リーグは、たまたま黒星が集まってしまったのだろう。
そして清麗戦第2局は13日に行われた。戦型は里見清麗のゴキゲン中飛車に加藤女流三段の超速▲3七銀。里見清麗は銀対抗ではなく、△5六歩から捌きにきた。しかし私見では、中飛車は5五の位が命と考えているので、この手は先手がありかたかったのではないか。
以下▲6七金△5七歩成▲同金となって先手が手厚い。以下も加藤女流三段がのびのびと指し、これは先手が作戦勝ちになったと思った。
数手進んで第1図。
第1図以下の指し手。▲5四銀(途中図)
△5二銀▲5六桂△4一銀▲4六飛△3三金▲3四歩△同金▲4三銀不成(第2図)
△6四歩と銀を打診された局面。控室では▲5六銀を推奨し、これで先手十分と見ていた。しかし加藤女流三段は▲5四銀!(途中図)
これが女流棋士の手で、男性棋士のように▲5六銀と穏便には収めないのである。
対して里見清麗は△5二銀。次に△5三歩から銀を召し取る狙いだが、これは男性棋士の手だった。
加藤女流三段は▲5六桂。これが腰の入った手で、▲6四桂と▲4四桂の両狙いである。里見清麗は△4一銀と退却したが、双方の勢いが違う。
戻って里見清麗の△5二銀では、△5四同銀▲同歩△同飛と捌くのが良かったようだ。
本譜△5二銀以下は、▲4六飛△3三金に▲3四歩が軽打。△同金に▲4三銀不成(第2図)と進み、▲5四銀の勝負手が奏功した。
以下は加藤女流三段が緩急よろしく攻め、149手まで勝利となった。これで加藤女流三段の2連勝。ちょっと意外な気もするが、かつて加藤女流三段はタイトル戦で里見女流四冠に2回勝っており、不思議と言うほどではない。
といっても里見女流四冠にはストレート負けが何度もあり、2連勝からの3連敗もある。
よって加藤女流三段は、次にスパッと決めてしまいたい。
タイトルの分布は西山女流三冠と里見女流四冠のみと思われていたところに、第3の女が絡んでくると面白い。
加藤先生、頑張ってください。