22日・23日は第34期竜王戦第2局が行われた。開幕局は藤井聡太王位・叡王・棋聖の逆転勝ち。第2局に勝って2勝0敗となれば、いかに豊島将之竜王といえども残り5局を4勝1敗で乗り切るのは至難の業だ。よって本局、豊島竜王は早くも土俵際に近かった。
将棋は豊島竜王の先手で相掛かりに進む。両者得意の戦型で、このあとはどちらが新味を出すかの展開になった。
というところで19手目、豊島竜王▲6六角!(第1図) 飛車取りに飛び出た。

以下△7四飛▲7五角△5四飛の局面をどう見るか。▲6六角は豊島竜王の研究手だったらしいが初心者が指しそうな手にも見えるし、そもそもこれで先手が良くなるなら、AIがとっくに提示しているのではないか?
私には先手がでかしたようには見えなかった。
その後は藤井三冠の右銀がスルスルと進出し、後手が面白い形勢になった。
さらに指し手は進み、46手目△7三桂(第2図)が、個人的に唸った手だった。

具体的には△6五銀にヒモを付け、場合によっては△8五桂と跳ねる手を見ているが、先手が端攻めしているのを尻目にひょいと桂を跳ぶ図は、四枚落ちの上手が▲9一歩成に△7三桂と跳ぶ味にも似て爽快である。
思うに藤井三冠はすべての駒を目一杯働かせるのがうまい。相手に取られる寸前まで、機能以上の働きを与えている。▲2四歩の垂らしを受けず、ギリギリまで△3二金に門番の働きを与えていたことがそうだ。
結局藤井三冠が70手まで完勝。第1局もほぼそうだったが、第2局も駒を引く手がまったくなく、前進前進の会心譜だった。
ちなみに70手といえば、大山康晴十五世名人と中原誠十六世名人の初対局の手数と同じだった。

局後のインタビューで藤井三冠は、「最後まで際どいところが多いと思っていました」。
快勝だったのにそれをおくびにも出さず、相手を慮ってもいるコメントが秀逸。優等生すぎる。
対して豊島竜王は「結果的にかなりまずい将棋になったので、準備不足だったと思います」と語った。私見だが、▲6六角は見切り発車だったのではなかろうか。
さてこれで、藤井三冠の2勝0敗。両者の通算成績も、ついに藤井三冠の10勝9敗となった。もはや竜王奪取も時間の問題という雰囲気で、時の竜王がこんなに頼りなく見えるのは、藤井猛新竜王が誕生した、第11期の谷川浩司竜王以来かもしれない。
第3局は30日・31日。豊島竜王は劣勢だが、1つ勝てば流れも変わる。それには第3局を絶対に勝たねばならない。
将棋は豊島竜王の先手で相掛かりに進む。両者得意の戦型で、このあとはどちらが新味を出すかの展開になった。
というところで19手目、豊島竜王▲6六角!(第1図) 飛車取りに飛び出た。

以下△7四飛▲7五角△5四飛の局面をどう見るか。▲6六角は豊島竜王の研究手だったらしいが初心者が指しそうな手にも見えるし、そもそもこれで先手が良くなるなら、AIがとっくに提示しているのではないか?
私には先手がでかしたようには見えなかった。
その後は藤井三冠の右銀がスルスルと進出し、後手が面白い形勢になった。
さらに指し手は進み、46手目△7三桂(第2図)が、個人的に唸った手だった。

具体的には△6五銀にヒモを付け、場合によっては△8五桂と跳ねる手を見ているが、先手が端攻めしているのを尻目にひょいと桂を跳ぶ図は、四枚落ちの上手が▲9一歩成に△7三桂と跳ぶ味にも似て爽快である。
思うに藤井三冠はすべての駒を目一杯働かせるのがうまい。相手に取られる寸前まで、機能以上の働きを与えている。▲2四歩の垂らしを受けず、ギリギリまで△3二金に門番の働きを与えていたことがそうだ。
結局藤井三冠が70手まで完勝。第1局もほぼそうだったが、第2局も駒を引く手がまったくなく、前進前進の会心譜だった。
ちなみに70手といえば、大山康晴十五世名人と中原誠十六世名人の初対局の手数と同じだった。

局後のインタビューで藤井三冠は、「最後まで際どいところが多いと思っていました」。
快勝だったのにそれをおくびにも出さず、相手を慮ってもいるコメントが秀逸。優等生すぎる。
対して豊島竜王は「結果的にかなりまずい将棋になったので、準備不足だったと思います」と語った。私見だが、▲6六角は見切り発車だったのではなかろうか。
さてこれで、藤井三冠の2勝0敗。両者の通算成績も、ついに藤井三冠の10勝9敗となった。もはや竜王奪取も時間の問題という雰囲気で、時の竜王がこんなに頼りなく見えるのは、藤井猛新竜王が誕生した、第11期の谷川浩司竜王以来かもしれない。
第3局は30日・31日。豊島竜王は劣勢だが、1つ勝てば流れも変わる。それには第3局を絶対に勝たねばならない。