27日は第80期B級2組順位戦が行われた。ここまで1勝4敗の谷川浩司九段は、高崎一生七段と対戦。中盤まで優位に進めたがそこから変調をきたし、第1図は何とも言えない形勢。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0e/73/3b55db6ede68844c2d83e79bbd07360f.png)
ここで谷川九段は▲4四成香と引いたが、これがココセの大悪手だった。以下△同金▲同玉△5三銀(投了図)まで、谷川九段の投了となった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/44/03/4a59b08daff4c9e1c49c531a1b6f164e.png)
以下は▲5五玉△4四金▲5六玉△5五香まで、とくに妙手もない並べ詰みである。戻って▲4四成香では、▲4四飛くらいで難しい戦いが続いていた。
第1図で谷川九段にはまだ持ち時間が残っていた。そこでココセを指した理由が分からぬ。かつての四冠王・十七世名人の谷川九段も寄る年波には勝てないのかと、さびしい気持ちになったのである。
これで谷川九段は1勝5敗。他者より1局多く指している関係もあって、現在の順位は25名中24位である。これは降級点取得の勢いだ。
残る対戦相手と対戦成績を見ると、大石直嗣七段1-6、窪田義行七段1-0、深浦康市九段13-18、中田宏樹八段6-3である。この4局を●○●○と仮定して3勝7敗。今期降級点は6名なので、付くか付かないか微妙なところである。
ところでこの日は、弟弟子の井上慶太九段が深浦康市九段に超手数の将棋を制し、5勝1敗とした。
谷川九段と井上九段はよい信頼関係にある。井上九段は五段時代の1989年、第47期C級2組順位戦で8勝1敗の成績で、最終戦を迎えた。その将棋は必勝形だったが、最終盤で大悪手を指し、頭ハネで昇級を逸した。
そのとき谷川九段は井上五段に「報われない努力はない」としたためた手紙を出したとされる。
なおこのとき3位にすべりこみ昇級したのは、佐藤康光四段だった。
その10年後の第57期A級順位戦では、谷川九段7勝0敗、井上八段2勝5敗、島朗八段2勝5敗で最終戦を迎えた。しかし谷川九段が島八段に負け、井上八段が羽生善治四冠に負け、井上八段が降級してしまった。このときも谷川九段が「井上君には申し訳ないことをした」と語ったとされる。
これらのエピソードからも分かる通り、谷川九段は井上九段のいい兄貴分なのだが、現在は同じクラスで対照的な成績となっている。これが勝負の世界の厳しいところである。
そして谷川九段は来年4月6日に、60歳となる。かつて中原誠永世十段が60歳になったときは、その年の将棋の日に「十六世名人」を襲位した。
となれば谷川九段の場合も、来年の将棋の日に日本将棋連盟が十七世名人襲位を打診する可能性が高い。
そのとき谷川九段が受けたら、順位戦B級2組に十七世名人がいては相当まずいだろう。少なくとも谷川九段はそう考える。だからもしその話が来た場合、谷川九段には固辞してもらいたいが、もし受けたら――。それが現役引退の引き金になりそうで、こわい。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0e/73/3b55db6ede68844c2d83e79bbd07360f.png)
ここで谷川九段は▲4四成香と引いたが、これがココセの大悪手だった。以下△同金▲同玉△5三銀(投了図)まで、谷川九段の投了となった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/44/03/4a59b08daff4c9e1c49c531a1b6f164e.png)
以下は▲5五玉△4四金▲5六玉△5五香まで、とくに妙手もない並べ詰みである。戻って▲4四成香では、▲4四飛くらいで難しい戦いが続いていた。
第1図で谷川九段にはまだ持ち時間が残っていた。そこでココセを指した理由が分からぬ。かつての四冠王・十七世名人の谷川九段も寄る年波には勝てないのかと、さびしい気持ちになったのである。
これで谷川九段は1勝5敗。他者より1局多く指している関係もあって、現在の順位は25名中24位である。これは降級点取得の勢いだ。
残る対戦相手と対戦成績を見ると、大石直嗣七段1-6、窪田義行七段1-0、深浦康市九段13-18、中田宏樹八段6-3である。この4局を●○●○と仮定して3勝7敗。今期降級点は6名なので、付くか付かないか微妙なところである。
ところでこの日は、弟弟子の井上慶太九段が深浦康市九段に超手数の将棋を制し、5勝1敗とした。
谷川九段と井上九段はよい信頼関係にある。井上九段は五段時代の1989年、第47期C級2組順位戦で8勝1敗の成績で、最終戦を迎えた。その将棋は必勝形だったが、最終盤で大悪手を指し、頭ハネで昇級を逸した。
そのとき谷川九段は井上五段に「報われない努力はない」としたためた手紙を出したとされる。
なおこのとき3位にすべりこみ昇級したのは、佐藤康光四段だった。
その10年後の第57期A級順位戦では、谷川九段7勝0敗、井上八段2勝5敗、島朗八段2勝5敗で最終戦を迎えた。しかし谷川九段が島八段に負け、井上八段が羽生善治四冠に負け、井上八段が降級してしまった。このときも谷川九段が「井上君には申し訳ないことをした」と語ったとされる。
これらのエピソードからも分かる通り、谷川九段は井上九段のいい兄貴分なのだが、現在は同じクラスで対照的な成績となっている。これが勝負の世界の厳しいところである。
そして谷川九段は来年4月6日に、60歳となる。かつて中原誠永世十段が60歳になったときは、その年の将棋の日に「十六世名人」を襲位した。
となれば谷川九段の場合も、来年の将棋の日に日本将棋連盟が十七世名人襲位を打診する可能性が高い。
そのとき谷川九段が受けたら、順位戦B級2組に十七世名人がいては相当まずいだろう。少なくとも谷川九段はそう考える。だからもしその話が来た場合、谷川九段には固辞してもらいたいが、もし受けたら――。それが現役引退の引き金になりそうで、こわい。