もうすぐ王将戦

藤井聡太王将に羽生善治九段が挑戦する第72期王将戦七番勝負は、８日から開幕する。52歳のレジェンドが若き王者に挑戦する図で、ここ数年で最高の盛り上がりだと思う。
羽生九段は不調説がささやかれる中、最難関といわれるリーグ戦を、６戦全勝で駆け抜けた。
対する藤井竜王は、タイトル戦11回連続勝利で、現在五冠。まったく死角はない。
では、両者の対戦成績を見てみよう。

2018-02-17　第11回朝日杯将棋オープン戦本戦準決勝　○藤井五段VS●羽生竜王
2019-10-21　第69期王将戦挑戦者決定リーグ５回戦　○藤井七段VS●羽生九段
2020-02-18　第61期王位戦挑戦者決定リーグ白組１回戦　○藤井七段VS●羽生九段
2020-07-04　第28期銀河戦本戦Cブロック 11回戦　○藤井七段VS●羽生九段
2020-09-22　第70期王将戦挑戦者決定リーグ１回戦　●藤井二冠VS○羽生九段
2021-11-09　第71期王将戦挑戦者決定リーグ５回戦　○藤井二冠VS●羽生九段
2022-09-23　第43回JT杯将棋日本シリーズ２回戦　○藤井三冠VS●羽生九段
2022-12-08　第48期棋王戦敗者復活戦決勝　○藤井竜王VS●羽生九段

藤井竜王７勝、羽生九段１勝。ちょっと開いているか。
参考までに非公式戦も見てみよう。

2017-04-23放送　炎の七番勝負第７局　○藤井四段VS●羽生三冠
2017-03-26　第０期師子王戦決勝戦　●藤井四段VS○羽生三冠
2020-06-21放送　第３回Abemaトーナメント　○藤井七段VS●羽生九段

藤井竜王２勝、羽生九段１勝。私は、非公式戦はお好み対局と理解しているのでほとんど興味はないが、ここでも藤井竜王が勝ち越している。
いずれにしても、データは圧倒的に藤井竜王有利。ただでさえ藤井竜王の通算勝率は８割を優に超えており、七番勝負をふつうに指せば、４勝１敗で藤井竜王が勝ってしまう。羽生九段としては、指し込みを免れるだけで精一杯、というところなのだ。
ただ、それで終えては面白くない。上の師子王戦は、羽生九段の藤井システムだった。藤井竜王は対振り飛車を多少苦手にしており（といっても勝ち越しているが）、久保利明九段や菅井竜也八段にしばし苦杯を喫している。
となれば、羽生九段の振り飛車も面白いのではないか。むろん羽生九段のそれはファミレスの鰻だが、オールラウンダーの羽生九段は、なかなか美味い鰻を出すのだ。
とにかく、羽生九段は第１局を絶対に勝つことだ。負けたら残り６局を４勝２敗で乗り切らねばならず、まず無理だ。
私は、羽生九段の作戦を楽しみにしている。