第72期王将戦第3局第2日目、羽生善治九段の封じ手は、玉をナナメ上にやる手だった。大方の予想は玉をまっすぐ上に立つ手だったから、意外だった。
藤井聡太王将は、玉上がりによって生じた隙間に角を打った。当然羽生九段も織り込み済だが、その解答は、何と玉を四段目にやる手だった。私は絶句である。
むかし大野八一雄七段との六枚落ち10秒将棋で、中空に要塞を作られ、惨敗したことを思い出した。まあそれはともかく、中盤の早い段階で玉が屋上に乗るのは珍しい。
羽生九段は銀角を使って飛車をいじめる。しかし、これが羽生九段の構想とは思えなかった。
いっぽう藤井王将は限られた駒を的確にシュートし、羽生玉を追い詰める。
気が付けば、藤井王将勝勢。最後は金打ちで羽生九段が投了した。以下は例によって、歩以外は駒が余らない綺麗な詰み。藤井王将にはこの類の詰み形が実に多い。
羽生九段は惜敗だったが、第1局につづき、悪手らしい悪手はなかった。それなのに手数が進むと、自然に形勢に差が付いてくる。書き遅れたが、第1日目終了の時点で、厳密には藤井王将が有利になっていたらしい。羽生九段有利、と見ていた私は不明を恥じるのみだが、とにかく藤井王将が先手番の利を活かし勝ち切ったというしかない。そう思えば、終了時のギリギリの詰みにも合点がいく。お互い悪手を指さなければ、一手違いの綺麗な投了図になるのである。
それにしても藤井玉の懐の深さよ。本局も、とても囲いとは思えない簡素な形だったのに、キッチリ逃げ切っている。神の将棋を見ているみたいだ。
が、藤井王将は「分からないところの多い将棋だった」と、相変わらず優等生的感想を述べた。
いっぽう羽生九段は、「封じ手が良い手ではなかったかもしれない」と述べた。これはうなずけるところで、やはり玉はまっすぐ立つべきだったのではなかろうか。
さて、3局を終わって藤井王将2勝、羽生九段1勝は、羽生九段から見れば善戦である。とはいえもはや藤井王将の防衛濃厚だが、私としては1局でも多く、ふたりの対局が見たい。
第4局は2月9日、10日。
藤井聡太王将は、玉上がりによって生じた隙間に角を打った。当然羽生九段も織り込み済だが、その解答は、何と玉を四段目にやる手だった。私は絶句である。
むかし大野八一雄七段との六枚落ち10秒将棋で、中空に要塞を作られ、惨敗したことを思い出した。まあそれはともかく、中盤の早い段階で玉が屋上に乗るのは珍しい。
羽生九段は銀角を使って飛車をいじめる。しかし、これが羽生九段の構想とは思えなかった。
いっぽう藤井王将は限られた駒を的確にシュートし、羽生玉を追い詰める。
気が付けば、藤井王将勝勢。最後は金打ちで羽生九段が投了した。以下は例によって、歩以外は駒が余らない綺麗な詰み。藤井王将にはこの類の詰み形が実に多い。
羽生九段は惜敗だったが、第1局につづき、悪手らしい悪手はなかった。それなのに手数が進むと、自然に形勢に差が付いてくる。書き遅れたが、第1日目終了の時点で、厳密には藤井王将が有利になっていたらしい。羽生九段有利、と見ていた私は不明を恥じるのみだが、とにかく藤井王将が先手番の利を活かし勝ち切ったというしかない。そう思えば、終了時のギリギリの詰みにも合点がいく。お互い悪手を指さなければ、一手違いの綺麗な投了図になるのである。
それにしても藤井玉の懐の深さよ。本局も、とても囲いとは思えない簡素な形だったのに、キッチリ逃げ切っている。神の将棋を見ているみたいだ。
が、藤井王将は「分からないところの多い将棋だった」と、相変わらず優等生的感想を述べた。
いっぽう羽生九段は、「封じ手が良い手ではなかったかもしれない」と述べた。これはうなずけるところで、やはり玉はまっすぐ立つべきだったのではなかろうか。
さて、3局を終わって藤井王将2勝、羽生九段1勝は、羽生九段から見れば善戦である。とはいえもはや藤井王将の防衛濃厚だが、私としては1局でも多く、ふたりの対局が見たい。
第4局は2月9日、10日。