一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第23期女流王位戦五番勝負を振り返る

2012-07-16 02:32:44 | 女流棋戦
いまさらという感じだが、前期の女流王位戦五番勝負を振り返る。
第23期は、里見香奈女流名人・女流王将・倉敷藤花が挑戦者になった時点で、甲斐智美女流王位の防衛は危うくなった。甲斐女流王位が1勝を挙げられるかどうか、と私は見ていた。

第1局は4月26日に行われた。甲斐の先手で、▲7六歩△3四歩▲7五歩△8八角成。里見の指し手は意欲的だが、以下の進行を見ると、成功したとはいいがたい。まだ里見の居飛車には、課題があるようである。
甲斐、37手目に▲8五ポン(桂)を敢行した。部分的にはよくある筋だが、後手が十分の構えを取っているから、有効ではなかった。
対して里見の△5五歩が味わい深い好手。▲8五桂を相手にせず、中央の歩を突く。いかにもプロらしいではないか。
この2手を比較すれば、どちらに勝利の女神が微笑みたくなるかは、自明である。以下は里見が巧みに指し、先勝。早くも甲斐は、苦しくなった。

第2局は連休明けの5月8日に行われた。
先番里見、初手▲2六歩。いまや何の違和感もない。甲斐はゴキゲン中飛車に構える。対して里見は超速▲3七銀。里見は角を成り、飛車を成るが、甲斐も△1四角と据えて決め手を与えない。里見は▲3四金と角を殺したが、歩でも同様に角が死ぬから、できればこの金は打ちたくなかった。
ということで、気分的には甲斐を持ちたくなった。以下、見応えのある応酬が続くが、86手目△5六桂がどうだったか。里見に▲5五銀と銀を取られ、△6八桂成に▲同馬で、一遍に先手玉が堅くなってしまったからだ。
船囲いの醍醐味は、戦いながら囲いを固めていくところにある。▲6八同馬は、居飛車党なら指がしなるところであった。
以下は里見のガジガジ攻めに、甲斐が土俵を割った。難敵里見を相手にタイトルを防衛するなら、優勢の将棋は確実に勝たねばならない。それなのに本局、優勢な将棋を落としては、何をかいわんやである。残り3局を、甲斐が棒に勝つとは思えない。本タイトル戦は、ここで大勢決したのである。

第3局は5月23日に行われた。甲斐の先手で、相三間飛車。お互いの構想力が問われたが、甲斐の▲3七桂が危険な一手だった。これでは桂頭が弱く、後に負担になってしまったからだ。
里見は桂を入手して、△3六歩▲同金△4四(2四)桂を狙う。そしてこれが実現すれば、後手が勝つ。
本譜は▲7四歩△同銀▲8四歩としたが、銀を攻めに呼び込んだ形にもなり、微妙だった。
そして△3六歩▲同金に△6五銀左▲同桂△同銀と、後手に思わぬ形で桂が入った。以下▲7八飛(引)と後手を引いた手に待望の△2四桂が入っては、里見が優勢になった。
以下▲2六金△3六歩▲2五桂△同桂▲同金に△1六桂と跳ねた手が、△2一の飛車が▲2五の金に当たって、王手金取り。ここで里見の勝ちが決まった。このあとも指し手は30手以上続くが、これは甲斐の冷めやらぬ闘志が、指し手を進めさせたにすぎない。
里見、盤石の女流王位奪取だった。

ここまで里見は、タイトル戦で負けなしとか。しかし名だたる強豪の中で、まだタイトル戦を戦っていない女流棋士がいる。中井広恵女流六段である。
現役女流棋士の中で中井女流六段が、里見女流四冠からタイトルを奪取する可能性が最もあると、私は見ている。
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中井広恵女流六段バースデーパーティー(後編)・とても楽しかった

2012-07-15 00:29:11 | プライベート
テーブルに載せられたノートパソコンから映像が流れてくる。それは「中井広恵と行く稚内ツアー」での、写真集(スライドショー)だった。
将棋、食べ物、観光。懐かしい景色や名場面が次々流れてきて、稚内の楽しかったひとときが、きのうのことのように思い出された。LPSA1周年のファンクラブイベントのときだったか、それまでのLPSAの活動がスライドショーで流れ、温かい気持ちになったが、それと同じ趣である。
「もう少し経ったらいい写真が出ますよ」
とW氏。W氏と大野八一雄七段、それともちろん植山悦行七段、Minamiちゃんは、事前に見ていたらしい。…あっ、私と中井女流六段のツーショット写真が出た!
ふたりともにこやかで、実にいい絵である。何も知らない他人が見たら、私たちは仲のいい夫婦に見えるだろう。
と、画面から「宗谷岬」の歌が流れてくる。音楽付きとは、これまた凝った編集である。この作業は中井女流六段自ら。ありがたいことで、涙が出そうだ。
約10分間の上映が終わった。これはCDに焼かれ、各自へのメッセージカードとともに、中井女流六段から手渡された。そのメッセージを公開すべきかどうか迷ったが、これはまあ、私と中井女流六段の秘密なので、今回は見送りとする。
なおCDとジャケットの写真は、ノシャップ岬だった。ノシャップ寒流水族館での中井女流六段とのデート、楽しかった! 稚内の4日間は、本当に夢のようだった。中井先生、ありがとうございました。
午後5時半すぎ、「カラオケ館」を出る。このあとは焼肉パーティーに移るが、昨年大野七段を祝った焼肉店には、予約を入れていなかった。
あえて予約をしなくても、その辺の美味しそうな焼肉店でいいでしょ、というわけで、私の一存で、ハス向かいの焼肉店に入った。
2階の奥の部屋に招じ入れられる。Kun氏の姿が見えないが、Kun氏、駅まで奥さんを迎えに行っているのだ。そう、二次会から、Kun氏の奥さんも参加するのだ。
思えば5月の秩父合宿のときも、奥さんは参加予定だった。しかしそのときは、奥さんに急遽仕事が入りご破算になっていた。
しかし…と思う。奥さんがご主人にゾッコンなのはいいとして、奥さんが合宿に参加すれば、私たち将棋バカとも交流することになる。それにはご自身、抵抗はないのだろうか。
先に注がれたビールの泡がなくなってきたころ、Kun氏夫妻が入室した。
き…きれいだ!! 奥さん、綺麗ですよ!! 先日のジョナ研で私が、「Kunさんの奥さんは美人なの?」と愚問を発したら、ノータイムで「美人だよ」と返ってきたが、なるほどその通りだった。例えていうなら、女優の栗原小巻と谷川治惠女流五段、モデルの大河内志保を足して3で割った感じだった。
ではここで、席の配置を記そう。

 R W     Fuj 奥さん Kun
  □ 大野     □
Hon 植山   Minami 中井 一公

11人全員揃ったところで、今度は私の音頭で、中井女流六段・24歳の誕生日に、乾杯!!した。私は酒は飲めないが、一口目のビールは、美味かった。
ここの焼肉店は、ウソかホントか知らぬが、焼肉料金が通常の半額だそうで、私たちはどんどん頼んだ。
いろいろ美味しそうな肉が運ばれてくる。それを網の上で焼くのだが、肉がいいから、ちょっと焼けばすぐに食べられる。またこちらのテーブルのメインの食べ手は、私とFuj氏しかいない。私は遠慮なく、バクバク食べた。
中井女流六段とのおしゃべりも楽しいが、やはりKun氏の奥さんに興味津々だ。奥さんは多趣味で、アクティブなスポーツもやっているらしい。もちろん将棋も指すが、駒の動きがいまひとつ頭に入らないという。
私は「オイオイ、駒の動きぐらいすぐ覚えられるでしょ」と言いたいところをグッとこらえ、「ああ分かります。金と銀の動きとか、むずかしいですよね」と話を合わせておいた。
この焼肉店は人気があるようだ。私の位置からは見えなかったが、順番待ちの客が列を作っているらしい。私たちはピーク前に入室したようだ。
しかし私たちは、とりあえず店を出ることにした。時間にして2時間余りだが、このくらいが味がいい。それにしても、ここの焼肉は美味かった。また利用する価値大である。
三次会。駅前にある、喫茶店に向かう。昼、中井女流六段らが軽食を摂った店であり、私たちが大野教室の帰りに利用する店でもある。
ここでもわいわいおしゃべり。秋のわらび山荘将棋合宿の話になった。Kun氏の奥さんは、今度こそ参加したいという。
わらび山荘は秩父と違って温泉もないし、遊戯施設もない。文字どおり将棋一色で、将棋を指さなければおもしろくもなんともない。それでいいんですかと確認すると、それでもいい、という。
ダンナの将棋趣味に理解を示さぬ奥さんは多いが、Kun氏の奥さんは別だ。これはKun氏、何の憂いもなく将棋に打ち込んでいるはずだ。
もし奥さんが合宿に参加したら、クルマの中で、せいぜい奥さんを笑わせて差し上げよう。
植山七段と薄毛談議。私は毎日の抜け毛に神経の休まる暇がないが、植山七段の危機感はどうなのだろう。植山七段は毛生え薬を使ったことがあるかどうか問うてみると、「効果がある保証がないから、使ったことはない」との返事だった。まあ、そうであろう。それが合理的で、賢明でもある。
時刻はあっと言う間に11時近く。名残り惜しいが、これで散会である。
今回は中井女流六段の誕生日パーティーと題しながら、その実楽しんだのは私たちのほうだった。中井女流六段はどうだったのだろう。
と、そんなことを書くと、「大沢さん、水くさいッ!! 十分楽しかったわよッ!!」と中井女流六段の𠮟咤が飛んでくるに違いない。
人生一寸先は闇だから、来年どうなっているか分からぬが、来年もこうやって中井女流六段をお祝いできれば、これにまさるよろこびはない。
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12日の女流王座戦、3局

2012-07-14 00:04:32 | 女流棋戦
きのう13日のLPSA芝浦サロンは、中倉彰子女流初段と宏美女流二段の担当。久しぶりにお邪魔しようと考えていたのだが、結局行かなかった。やはり芝浦までは遠い。

12日は、里見香奈女流名人・女流王位・女流王将・倉敷藤花-鈴木環那女流二段、甲斐智美女流四段-西山朋佳奨励会2級、島井咲緒里女流二段-山口恵梨子女流初段の無料中継があった。いずれも女流王座戦の本戦1回戦である。しかし、なんで3局もまとめて行うのか分からぬ。バラけて指せばいいのに。
女流王座戦本戦は持ち時間3時間なので、通常夕方に終局する。ちょうど仕事終わりと重なって、仕事中にスマホで観戦するには、まことに味がいいのだ。
女流3局の勝敗予想は、里見◎、西山◎、山口△、というところ。現役奨励会員に対する私の信用度は高い。誤解を恐れずに言えば、里見奨励会初段、西山奨励会2級は、勝つのは当然として、どういった勝ち方をするかに注目していた。なおこの日は、竜王戦本戦トーナメント・飯島栄治七段-佐藤天彦七段戦もあったが、一度も見なかった。
里見-鈴木戦は、意表の相居飛車。里見は振り飛車党だが、居飛車も勉強しているという。将棋はいろいろな戦法がある。貪欲に将棋を勉強している里見が早晩居飛車にも手を出すことは、自明であった。
里見14手目の△8六同飛に、鈴木の▲2六飛(引)が問題の一手。敗着であろう。オンナならここは断乎、▲3四飛と横歩を取らねばならなかった。
いくら里見が女流四冠とはいえ、横歩取りの経験値は鈴木が上である。それを外すことは、己の将棋観を否定することを意味する。鈴木は里見の研究におびえたのだろうか。とにかく▲2六飛は、鈴木らしからぬ手だった。
甲斐-西山戦は、相三間飛車。西山17手目の▲3八銀がよく分からない。なぜなら△8八角成~△2八角があるからだ。果たして本譜もそうなった。相振り飛車を指すとき、この筋はつねにあるから見落としではないと思うが、▲4一角に構わず△1九角成と香を取られては、これが予定の反撃だったとは考えづらい。
だが驚いたことにこの将棋、馬の出入りと飛車寄りの繰り返しで、千日手になってしまったのだ。甲斐、香得でもダメだったのか。
そして西山。こうなるんだったら、最初から▲3八銀と上がるなよ、といいたいところだ。
島井-鈴木戦も相振り飛車。島井ちゃんは実力があるのだが、ときどき指導対局で気の抜けた手を指すことがある。ムラがありすぎていまひとつ信用がないのだ。しかし本局は、落ち着いて指している。△7二金~△6二銀に、島井の工夫を感じた。
里見-鈴木戦は、里見優勢でどう指すかと見ていると、△1四角。控室でも出なかった手だそうで、こういったところにセンスのよさを感じる。
甲斐-西山戦・指し直し局は、千日手で正気に戻った西山が、馬を作って優勢。これは逃さぬ雰囲気だ。甲斐は女流王位…否、女王を失冠してから、すっかり勢いがなくなった。
島井-山口戦は、見応えのある攻防が続いているが、徐々に島井ペースになってきたようだ。
私は、3局をかわるがわる覗く。仕事もせずに、こんなことでいいのだろうか。
4時27分、ついに島井が勝利した。最後は見事な寄せだった。女流王座戦ベスト8は、来期シードで二次予選からの登場となる。これはうれしい勝利だったろう。
さらに里見-鈴木戦、甲斐-西山戦が相次いで終了。もちろん現役奨励会員の快勝だった。
2回戦はこのふたりが激突する。そして片方の山では、伊藤沙恵奨励会1級の名前もある。どうも第2期の女流王座戦は、この中から挑戦者が出るような気がしてならない。
奨励会員のタイトル保持者VS奨励会員の挑戦者。もしこうなったら、第3期からは女流王座戦のエントリー規定が変わってしまうのではなかろうか。
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中井広恵女流六段バースデーパーティー(中編)・カラオケパーティー

2012-07-13 00:37:25 | プライベート
2012年6月24日。中井広恵女流六段、43歳の誕生日当日である。
NHK杯将棋トーナメントを見たあと、「パティシエ イナムラショウゾウ」に、バースデーケーキを取りに行く。
ドアマンに丁重に迎えられ、店に入る。女店員さんが店内放送をすると、パティシエ氏が来た。
「このたびはお買い上げ、ありがとうございます」
と、恭しく頭を下げる。イナムラショウゾウ氏、本人である。「こちらがバースデーケーキになります」
おおぅ…。なんだかこちらも、荘厳な気分になる。中井女流六段の三人娘さんへの手土産も購入し、私は誇らしい気分で、店を出た。
JR川口駅西口前には、午後1時15分の集合である。少し早く着いた私は、東口の100円ショップに向かった。紙皿とフォークは用意したが、ケーキ入刀用のナイフを忘れたからだ。ナイフ105円は安かった。
西口に向かい、ジョナ研メンバーと合流。大野八一雄七段、W氏、R氏、Kun氏、Hon氏、Fuj氏、私。大野七段を除き、女流棋士のバースデーパーティーに臨むのは初めてなので、にこやかな中にも心地よい緊張感が漂う。
再び東口に戻り、某喫茶店前から、中井女流六段、植山悦行七段、Minamiちゃんが出てきた。これで役者が揃った。
1時半、みんなで「カラオケ館」にチェックインする。ここは5時半までの予定である。予約をしていたので、広めの部屋を用意してくれた。
店内には、人数分のお皿とフォークが用意されていた。これも料金のうちに入っているのだろうが、紙やプラスチックよりは数段よいわけで、助かった。
ではここで、席の配置を記そう。

出入口 W 大野 Kun Fuj
TV            R
             Hon
  Minami 中井 一公 植山

私は中井女流六段の右隣。一見特等席のようだが、ここからでは中井女流六段の横顔しか見えない。対面のほうが、中井女流六段の艶姿を拝めるからよいのだ。ちょっと私の席は、近すぎた。
とりあえずバースデーケーキである。ケーキの箱を、中井女流六段本人に開けてもらう。しかしこれは、私が開けて差し上げるべきだったか。
フタを開けるとチョコレートケーキが顔を出し、中井女流六段が「うわあ…」と言った。これは感激の声だろうが、やはり生クリームのフルーツケーキのほうが、見栄えがよかった。
中井女流六段から、お言葉をいただく。
「このたびは、私の24歳の誕生日を盛大に祝っていただきまして…」
いかん、と思う。私は大のローソク(10歳相当)を4本、小のローソク(1歳相当)を3本用意していた。まさか24歳とほざくとは思わなかった。
室内を暗くしてローソクを立て、みんなで「HAPPY BIRTHDAY TO YOU」を歌う。これぞ正統のバースデーパーティーである。
中井女流六段が、ふぅっ、と火を消したあと、Hon氏がみんなに切り分ける。なおHon氏からも、高級シュークリームの差し入れがあった。
中井女流六段がケーキを口に含む。味はどうか。なんだか、自分がケーキを作ったような錯覚に陥る。
「おいしい!」
と中井女流六段の声。私は少しほっとした。
私は続けて、伊勢丹の紙袋を渡す。中は、例のピンクのスカーフだ。
中井女流六段、一応よろこんでくれたが、まあ、こんなものであろう。
オマケで、ベビースターラーメンもプレゼントする。笑いを取るためなら私は、多少の出費はいとわない。
さて、ここからカラオケパーティーの始まりである。
まずはMinamiちゃんがモーニング娘。の歌を歌ってスタート。
2曲目は、というと、W氏が「愛はかげろう」を勝手に入力していた。このブログの読者ならご存知だろうが、私が次回ジョナ研メンバーとカラオケするときに、みんなに聴かせてやろう、と意気込んでいたのが、「愛――」だったのである。
しかし私がカラオケをやるのは、2年前の7月31日、中井女流六段・女流公式戦18連勝の新記録を祝って歌ったとき以来。自慢のノドも錆びていて、とても人様に聞かせる代物ではないのだ。
「いやあ、この歌はマズイって! 2番が字余りと字足らずが多いし、歌いにくいんだって!」
私は断るが、イントロは進行するばかり。渋々歌ったが、あまりいい出来ではなかった。アマ5級。
続いてHon氏、「Shake Hip!」。軽い。軽い振り飛車だ。
4番手はR氏、「ミッドナイトシャッフル」。手堅い。居飛車棒銀、というところか。
「硝子の少年」はFuj氏。私は正月のジョナ研新年会には参加しなかったので、Fuj氏の歌を聞くのは初めて。しかし図体に似合わず、軽快な歌である。三間飛車からの軽快な捌き、という感じ。
「危険なふたり」はKun氏。ジュリーを選ぶところが、Kun氏らしい。石田流本組、という感じ。
「翼の折れたエンジェル」は中井女流六段の選曲だったが、中井女流六段がお手洗いに行っていて、後回しになった。
「栄光の架橋」植山七段。将棋は重厚だが、歌は軽い。四間飛車からの堅調な捌き、という感じ。
Hon氏に再び戻って、英語交じりの歌を歌う。
「アンダルシアにあこがれて」R氏。
次にいよいよ中井女流六段の登場となった。
中井女流六段の歌を聴くのは2年振りだが、相変わらずうまい。左美濃からの手厚い指し回し、というべきか。その声は歌手の誰かに似ているが、それが思い出せないのがもどかしい。
「Every Little Thing ONLY YOU」Kun氏。
「君は天然色」W氏。相変わらず歌い方がエロい。
「渚」Minamiちゃんと続く。
「いちご白書をもう一度」は、大野七段。ひねり飛車、というところか。
これで全員の歌を聴いたが、みんな棋風と歌が違う。同じなのは、中井女流六段だけだった。
さて、みんな乗ってきて、どんどん歌う。
「仮面舞踏会」植山七段。
「ヒーロー」Fuj氏。
「愚か者」R氏。
私の知っている曲ばかりで、さしずめ懐メロ大会である。ここで「GO GOサマー!」のミュージックビデオが流れる。これを歌うのはMinamiちゃん? と言っているところへ、私がマイクを取ったので、みんなが驚いた。
「GO GOサマー!」は私が好きな曲で、スマホに入れて、クルマでの配達中に聞いているのだ。「ギリギリまでわかんないよ。あきらめたらダメよ」という歌詞がいい。
しかしこれ、聞くと歌うでは大違いだった。キーが高くて、とても歌えない。
本曲は、「筋違い角」に終わった。
「大阪LOVER」中井女流六段。テレビ画面が左にあるので、首を曲げるのがつらそうだ。主役の中井女流六段は、部屋中央の奥に座ってもらうべきだった。
「夏の扉」Minamiちゃん。
「ヤングマン」W氏。これは演歌調だった。
「じゃあね」Fuj氏。
「幸せになりたい」中井女流六段。もう十分に幸せでしょう。
「ヒトコイシクテ、アイヲモトメテ」R氏。
「LOVE AFFAIR」大野七段。
「燃えろいい女」W氏。
「La Isla Bonita」中井女流六段。私たちのマドンナが、マドンナを歌った。
「接吻Kiss」W氏。
「LOVEマシーン」Fuj氏。アイドルおたくでもあるFuj氏、モー娘。で攻めている。
「寒い国から来た手紙」R氏。R氏は、語りかけるような歌が好きなようだ。
ここで「ルパン三世・カリオストロの城」のビデオが流れる。「炎のたからもの」で、これを歌うのは私である。本筋は「宗谷岬」だったが、自分の歌いたいほうを選んだ。
「炎――」は知る人ぞ知る名曲。歌っている間、涙がこぼれてきそうで、参った。
「Imagine」Hon氏。軽い。やっぱり軽い。
「WE ARE THE WORLD」Minamiちゃん。なぜこの歌なのだ。世界平和だ。
「春なのに」中井女流六段。この歌をバースデーパーティーで歌うのか。それにしても、こんな至近距離で中井女流六段の歌を聴けるとはやはり贅沢で、将棋ファン冥利に尽きると言わねばならない。こんないいことがあって、私は後で必ず、バチが当たると思う。
「ヘビーローテーション」Minamiちゃん。
「関白失脚」植山七段。これは植山七段の心情をストレートに表わしたもの。涙なしでは聴けなかった。
「シングルベッド」W氏。2年前のカラオケでも聴いた、W氏の十八番だ。これはひときわエロかった。
「上からマリコ」Fuj氏・Minamiちゃん。篠田麻里子は最高だ!!
トイレから帰ってきた私にW氏が、最後はサプライズがあるから、少し時間をくれ、と言う。もちろん了承する。
続いてR氏が、
「これは中井先生への、私の気持ちです。植山先生は耳を塞いでいてください」
と、「言葉」を歌い上げた。
「時間よとまれ」R氏・大野七段。
最後は「Why do …(題名忘れた)」を中井女流六段が締めて、カラオケはここで終わりになった。
時刻は5時を過ぎている。と、中井女流六段が私たちにお返しがあると言い、カバンからノートパソコンを取り出した。私たちは一列に並び、そのパソコンを見た。
(15日につづく)
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クッシー引退

2012-07-12 00:21:41 | 男性棋士
6月29日に竜王戦6組昇級者決定戦・櫛田陽一六段と佐藤慎一四段の一戦が行われ、佐藤四段の勝ち。櫛田六段はフリークラス転出規定により、引退となった。
櫛田六段には「元アマ棋界の強豪」「小池重明氏の弟子」「無頼派」というイメージがあり、加えてあの風貌だから、近寄りがたい雰囲気があった。
そんな櫛田六段と私の距離を一気に近づけたのは、「LPSA金曜サロン」だった。
櫛田六段は、同サロンで植山悦行七段の後を受けて、2010年6月より、手合い係に着任したのだ。いまでは日本将棋連盟の関係者がLPSAの仕事をすることはないが、むかしはこんなリレーがあったのだ。いい時代だった。
櫛田六段は、植山七段の「仕事」には劣るものの、お客との指導対局は積極的に行ってくれた。私も初日に、いきなり教えてもらった。
手合いは角落ちだったが、櫛田六段は振り飛車党だからか、上手なのに「捌き」にきてしまう。
金銀を交換し、桂を交換し、私が角を5五に出た後、▲6六金(打)と△7六銀を責めたら、櫛田六段が突然投了してしまった。何だか、緩め方が下手だった。
櫛田六段は、平手の指導対局は指さない。どんなにアマが強くても、手合いは必ず駒落ちである。私見では、アマが男性プロに平手で挑むのはおこがましいと思っているから、この考えは大いに支持できる。むしろ「駒落ちはツライっすよお」とか言って、すぐに平手を指そうとする、植山七段が異常なのだ。
ある日、たまたまサロンのお客が少なかったので、櫛田六段と担当の女流棋士、それに数人の客とで、超早指しのミニリーグ戦を行うことになった。
このときばかりは櫛田六段もオール平手で、私も恐縮しながら対局したのを思い出す。ただし私との戦型は、櫛田六段の居飛車棒銀だった。
サロンが終わると、みんなと食事に行くこともあった。最初は駒込ジョナサンだったが、馴染むにつれて、居酒屋にも繰り出すようになった。
とにかくあの顔だから、最初はこちらもビビっていたが、櫛田六段の話は機知に富んで、おもしろかった。
また無頼派の櫛田六段だから、世の中に恐いものはないだろうと思いきや、藤森奈津子女流四段をことのほか恐れていたのが、意外だった。
私が「藤森先生って、(ピーーーーーーーーー)」と言うと、「藤森さんに対して、よくそんなことが言えますね」と、妙に感心されたものだった。
そんな櫛田六段にある種の寂しさを感じたのは、櫛田六段がフリークラス在籍で、数年後には強制引退が待っているからだった。
何で櫛田六段がフリークラスに転出したか。真相は関係者のみが知るところであり、私たちが詮索するものではない。
櫛田六段の手合い係は、LPSAの芝浦移転により、同年9月をもって、自然解消。同時に私たちとの交流も、終わりとなった。
NHK杯優勝、「世紀末四間飛車」の著書。記録よりも記憶に残る棋士、それが櫛田六段だった。

最後に、櫛田六段に初めて教えていただいた指導対局の全譜をに記し、櫛田六段25年の現役生活をしのびたい。櫛田先生、本当にお疲れさまでした。

平成22年6月4日
LPSA金曜サロン指導対局
上手(角落ち)・六段 櫛田陽一
下手・一公

△6二銀▲7六歩△5四歩▲5六歩△4二玉▲7八飛△3二玉▲6八銀△4二銀▲4八玉△8四歩▲3八玉△8五歩▲7七角△7二金▲2八玉△7四歩▲6六歩△7三金▲6七銀
△6四金▲3八銀△5五歩▲同歩△同金▲5八飛△4五金▲6五歩△7三桂▲5六銀△同金▲同飛△8六歩▲同角△5三歩▲7八金△5一金▲5九飛△9四歩▲6八角
△8五飛▲7七桂△8一飛▲8九飛△8五桂▲8六歩△7七桂成▲同角△7五歩▲同歩△7六銀▲5五角△5四歩▲4六角△5五桂▲6六金
まで、56手で一公の勝ち。
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