付け焼き刃の覚え書き

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「串刺しヘルパーさされさん~呪われチルドレン」 木村航

2007-12-03 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
 『串刺しヘルパーさされさん~呪われチルドレン』……このC級ホラーが裸足で逃げ出しそうなタイトルだけで勝ったも同然ですね!

 呪いとか祝福みたいな現象が普通に存在すると認識されているだけで、あとは普通の現代日本。理由不明なまま呪われた江戸っ子娘がホームヘルパーとして、同じく呪われた姉弟のいる家庭へやってくるという話。
そう、想像してみてください。べらんめえ口調のメリー・ポピンズが、傘を手に持つ代わりに腹から背中に大きな呪いの剣を突き刺したまま自転車で走ってくるところを……って無理か☆

 根っこの所に重いテーマを据えたまま、キャラクターたちはそんな舞台裏なんか関係ないよとばかり軽快なテンポで物語が進む木村節は健在。展開している話はごく普通の「両親が不在がちの家庭で異母姉弟たちが問題を抱えながら生きているところへやって来た家政婦が、少しずつ心のわだかまりを溶かしていき家族や友人たちとの絆を深めていく」という王道パターンのはずなのに、どこか変で面白い。
 欲を言えば、もう少し「さされさん」と「剣」を中心にしたエピソードが欲しかったですね。プロローグ以後、呪いの剣が「呪われている」という表現記号に落ち着いてしまっている感じがします。せっかく腹から背中に大剣が突き出ているのですから、良い感じに話がまとまりかけているところをぶち壊すツールとして使えるはずだと、ちょっと残念。すっかり慣れているはずだけど、ここ一番というときに「泣きながら追いかけてきた相手を振り向いて受け止めようとした途端に剣の鞘で殴り飛ばしてしまった」とか落としどころはあるんじゃないかな……。

【ホームヘルパー】【串刺し】【呪い】【祝福】
コメント
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