付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「サイコスタッフ」 水上悟志

2007-12-26 | 超能力・超人・サイボーグ
「地味で愚直な努力の繰り返しによってのみ 人は強くなれるべきなのよ!!」
 惑星ルルイエ宇宙軍・桜木梅子。

「他人ではなく、自分に誇るために生きたいんだ」
 50億人に1人のB級エスパー・柊光一。

 面白い話ってのは必ずこういう決め台詞の1つや2つはあるもので、こういうのが出てこないってことは登場人物が物語に真っ正面から向き合っていないってことなのかもしれません。
 話自体は、平凡な少年である柊光一が初めてもらったラブレターの相手は、彼の超能力に目をつけて母星ルルイエの戦力にスカウトしようとした宇宙人だった。Bクラス能力といえば、どんな戦況もひっくり返す無敵の念動力。超能力など関係なく、あくまで実力で大学進学しようという光一の前に、梅子や科学の悪魔に魂を売り渡した惑星ヤディスの巨乳校医が立ちふさがる……というツンデレ・ラブストーリー(宇宙戦争付き)。
 嫁さんが表紙を見て「『惑星のさみだれ』の人だ☆」と一瞥して確認。しかし登場するキャラクターたちはみんな端から見るとヘンなやつばっかだけど、行動があまりぶれないよね。それぞれの信念というか目的に従って動いている。それはすごくカッコイイわけで、なにがあっても動じない光一の両親なんかものすごくカッコイイのです。だからこそ、走馬燈からあとの怒濤の展開が盛り上がってしまうのじゃないかと思います。
 でも姫萩先生、根は悪人なんですね……。

【サイコスタッフ】【水上悟志】【縞パン】【年収1万ダゴン】【アルマゲドン】
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「おまけのこ」 畠中恵

2007-12-26 | 時代・歴史・武侠小説
 廻船問屋の若だんな、一太郎は病気をしていなければ病気になりかけているか病気から回復したばかりという病弱な若者。けれど病の床ばかりの若だんなの周囲には、鳴家や屏風のぞきやら物の怪たちが常に右往左往している。実は若だんなは大妖怪の血を引いており、病弱な息子を心配した両親が世話係につけてある手代たちも実はかなりの大物妖怪だったりする。
 そんな若だんなが、身辺に持ち込まれる怪事難事を、妖怪たちの助けも借りて解決したりできなかったり……。

 「しゃばけ」シリーズの第4弾。文庫落ちして購入。ハードカバーでもいいけれど収納場所がないから、文庫になるやつは文庫買いですね。今回は、関わる者は全て不幸になる狐者異(こわい)をめぐる一幕「こわい」、ぬりかべみたいな厚化粧がやめられない娘と屏風のぞきが深夜に問答する「畳紙」、まだ妖怪たちが来る前の若だんなの冒険譚「動く影」、若だんなが吉原の禿を足抜けさせようと大騒ぎの「ありんすこく」、そして所在不明になった真珠の珠と鳴家の「おまけのこ」の5編。いちばん面白かったのは「おまけのこ」かな。周到に計画を立てても結局は無駄骨に終わる「ありんすこく」もなかなか。
 ワンパターンにならず、いつも楽しめるシリーズですね。

【薬種問屋】【寝たきり探偵】【妖怪】
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「黒騎士物語」 小林源文

2007-12-26 | 戦記・戦史・軍事
 四半世紀前に模型専門誌『ホビージャパン』で連載していたコミックの復刻愛蔵版。
 隻眼の戦車隊長バウアー大尉指揮する黒騎士中隊が、スターリングラード近郊からポツダムまでを転戦していく様を綴った戦記コミック。左綴じ雑誌に合わせた形式にアメコミ調の効果音がマッチしてなかなかカッコイイ。カッコイイというか、以後の戦記物でこの作品の影響を受けてない作品は少ないんじゃないかというエポックメイキング的な作品。松本零士の「戦場ロマン」とこの「黒騎士物語」は示準化石みたいなもんですね。
 以前、天下布武からシミュレーション・カードゲームが発売されたときのタイトルが、この作品中で罵り言葉として頻出する「バカモン!俺のケツでも舐めろ!」から採った『俺のケツをなめろ!』
 あまり上品でないタイトルなものですから、おかげで買いに行った店頭でタイトルを告げた途端「未成年には売れない」と店員に怒られたという話も聞きました。いったい何と間違われたのやら……。
 劇画風というか絵物語的な絵が取っつきにくかったけれど読めば面白い話なので、こうして再び手に取れるのは嬉しいですね。ゲームでミリタリー的な雰囲気をつかみたいときには必読です。

【黒騎士物語】【小林源文】【末期戦】【戦車猟兵】【東部戦線】【独ソ戦】
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