
大学生にして人気作家の甲斐抄子の言葉。創作活動というのはその作者の人となりを裏表まで全部さらけ出すということなのだ。
「馬鹿が戦車でやってくる」(1964)というハナ肇主演の邦画があって、戦後の田舎を舞台にした悲喜劇なんだけれど、一方でジェームス・ガーナー主演の「ミスター・タンク」(1984)という洋画もあって、どちらも虐げられた者が最後にすがる拠り所が鋼鉄の塊だった……という話なんだけれど、タイトルでは「馬鹿が戦車でやってくる」の方がインパクトが大きいなあ。
そんなインパクト大のタイトルをもじったのであろう『バカが全裸でやってくる』だけど、そのまんまだよ、これ。確かに小中高生向けのライトノベルとしては売れない話です。
作品を書くと言うことについての思い入れや必要とされる能力とか、新人賞に応募された作品がどのように選ばれていくのかとかを、何人かの視点から、時代を前後させつつ描いていくメタ・フィクションっぽい何か。帯に推薦文を書いている甲斐抄子が面白かったので、彼女視点でじっくり読みたい気もしました。
ただ、悪いことをした人間が罰を受けないまま話が終わってしまう点だけはすっきりしませんでした。この伏線は、どこかで回収されていたのかな……?
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