付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「アルテミス・ファウル 失われし島」 オーエン・コルファー

2010-09-09 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
 gooのブログ内サーチの形態が変わったら、まったく使えなくなりました。『アルテミス・ファウル』の前作は感想を書いたっけ?と検索かけても引っかからないのだもの。どういうこと? はっきり言ってgoogleサーチの方が使えます……。

「罪の意識をひきずるのは、精神的健康に悪い影響を与えるの」
 だから、謝罪をしたら自分の過ちにけりはついたのだとミネルバ・パラディーゾ嬢。

 さて、『ハリー・ポッター』最大の功績は、二匹目のドジョウを狙った、児童向けの海外ファンタジーの翻訳を一気に拡大させたことにあります。1冊2000円を超えるハードカバーがぞろぞろ翻訳され、かつ書店に並ぶだなんて、ハリポタ以前では考えられませんでした。良い世の中になりました。柳の下のドジョウばんざい!……って、最近、ドジョウ見ないね。グルメ番組の柳川鍋くらい。自分の子供の頃は、普通にどこにでもいたのにね。
 それはともかく、悪の天才少年アルテミス・ファウルの冒険譚の5冊目です。
 父親の遺した犯罪組織を引き継いだ天才少年アルテミスですが、死んだはずの父親とも再会し、一度は誘拐した妖精警察の捜査官とも和解し、ビジネスも次第に合法的な分野へとスライドさせています。かなり丸くなりました。やはり家族円満が大事です。
 そんなアルテミスが知的興奮を求めて手に付けた研究から、妖精界8番目の種族、異次元に隠れ住んでいたデーモン族の魔法が溶け始め、彼らの世界が人間世界に出現しかけていることに気づきます……というのが大ネタなのだけれど、メイン・ストーリーはライバル出現!ですね。
 アルテミスの行く先々に先回りし、彼以上に正確に計画を進めていく謎の少女ミネルバ……。

 これですよ! 悪の天才少年vs謎の天才少女!(「元・悪の」とか書きたいけれど、まだ非合法ビジネスから完全に手を引いちゃいないんだよね)
 この丁々発止の駆け引きが前半の見所。これにアルテミスの凄腕ボディガードのバトラー、元・妖精警察のホリー捜査官やらケンタウロスの天才技術者フォーリー、そしてドワーフで窃盗魔のマルチといったお馴染みの面々が加わって、次元移動とか時間移動やら妖精警察の官僚機構の腐敗っぷりたっぷりの物語を繰り広げていきます。
 夜更かしして一気に読了。個人的にはハリポタよりこっちの方が好き。構成の巧さとか、脇役の活かし方とか、キャラクターの成長とか、嗜好の波長が合うんですよね。

【アルテミス・ファウル】【失われし島】【オーエン・コルファー】【タイムトラベル】【ボーイ・ミーツ・ガール】【ガウディ】【台北101】【白鯨】【ゴーメンガースト】
コメント
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