
「友だちってのはね、そいつの魂を、何より大事にする相手のことさ」
水淵季里は27歳にして死に、その娘は陣内哲夫と美砂の夫婦に育てられることになった。そして2019年7月……。
“野良猫”こと水淵讃は、見知らぬ少女を拉致しようとしていたヤクザを叩きのめしたことから、人間そっくりのアンドロイドをめぐる陰謀に巻き込まれる。
「平和でなきゃ、マッド・サイエンティストは存在できねえんだ」
日本で一番目か二番目の天才科学者、陣内博士のぼやき。
叙情的な都市幻想譚だった水淵季里の物語に対して、その娘の物語はSF武侠アクション。量子コンピューターを内蔵する美少女アンドロイドは出てくるし、人工知能を搭載したオートバイはビースト形態に変型するし、軍すら動かすステロタイプな“政界の黒幕”に悪のクンフー集団と外連味たっぷり。伊藤勢がコミック化したつもりになって読むとしっくり来るのが当然という作品。陣内美砂は伊藤勢のキャラというより錬金術のイズミ師匠という気がしないでもない。なんにせよ、そういうしっかりした線のコミックに登場したら面白いと思いますよ。
SF大会の『水淵季里クロニクル』の部屋での、この作品の続きはどうなりますか?という問いに、季里の死ぬ理由というのも今となっては陳腐な気がするし、作者に拳法を教えてくれていた師匠はふらりと旅に出たまま音信不通だし、書きたくても続きは書けないという話でした。
話の方はとりあえず敵は退け、新たに築いた要塞にいろいろ変わったメンツが集まって梁山泊の旗揚げ!みたいなところで幕。こいつも続きが読みたいな。
でも、「オレヲヨンダカイ」は特殊能力だったのか!?
【少女武侠伝】【野良猫オン・ザ・ラン】【早見裕司】【水木圭】【高屋良樹】【ゴーヤーチャンプルー】【道】【政界の黒幕】【量子コンピューター】【超素材Z】【自爆装置】