
手塚治虫に始まりトキワ荘や24年組に続くという形でしか語られることの無かった戦後マンガ史を、戦前・戦中の紙芝居や漫画から最近の作品まで網羅し、誰が誰にどんな影響を与え、社会にどんな影響を与えてきたかをマンガ家の交友や編集部の方針の変遷にまで言及して総括した1冊。
本当は少女マンガを描きたかったさいとうたかを、それまではマニアの変態行為に過ぎなかったフェラチオを世に広めた松本零士、少年マンガの表紙に少女を大きく描いて編集者に怒られたみなもと太郎、24年組に影響を与えた聖悠紀に影響を与えたあすなひろしなどなど、紙芝居や貸本の時代、映画の時代を経由してアニメの時代まで。
印象的だったのは、最近の描き手の特徴として、1コマの絵としての完成度にはとことんこだわるけれど、コマとコマのつながりやネームにはまったくこだわらないものが増えているということ。そしてその延長で10数ページの話のつもりで書いた原作がその4倍以上に脹れてしまっているという話。ホント、話が進まないよね……。でも、こういう形で話を引き延ばしたのは、「あしたのジョー」が最初なんだとか。
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